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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.04.Sat
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2016'03.13.Sun
分野が違えば自分の知識はまるで役に立たなかった。一から勉強した人工知能。それは燭台切の想像をはるかに超えた複雑さだった。日々進化していく人工知能の最先端技術を追い、数々の研究データを調べ、それは永遠に続くのではないかと思われるほど。

きっと宇宙を解析する方が簡単だった。手を伸ばす薬研から逃げず、じっと彼を見つめる。薬研のあたたかい手は燭台切の頬を撫で、名残惜しそうに離れていった。

「どうしたの?」

「……俺のことを一番わかってるのはあんただろ?」

薬研は肩をすくめて笑う。ふっと視線を落とし、改めて燭台切を見た。どこか不安の滲む瞳が燭台切を映し、唇が震える。

映画を見せた。何十、何百と、共に古今東西の映画を見た。薬研を隣に、恋愛映画を。

薬研の手が燭台切の手を掴む。強すぎず、縋るような。

「あんたが好きなんだ」

どんな学会にだって、発表などしないだろう。燭台切はただ、恋を教えた。ロボットにではなく、ただ愛しい人と気持ちを重ねるために。

「僕もだよ」

燭台切に罪はないはずだ。人は神の領域など、とっくの昔に踏み入っているのだから。
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2016'03.13.Sun
向かい合って一礼。

しょうもない慣習だ。明石は慣れきったお決まりの行動からゆっくり顔を上げた瞬間、戦場に似た殺気を感じて飛び退いた。眼前を横切った切っ先に体が反応して刀を抜く。すかさず振り下ろされた次の攻撃を受け止め、その向こうで光る瞳に射抜かれる。知らず口角が上がると、対峙した相手はわずかに眉をひそめた。

「また、とんだタヌキやな」

「何のことですかな」

一期一振はその刃の鋭さと同じ冷たい声で明石を斬り捨てる。かみ合う刀身は嫌な音を立て、一瞬たりとも引く気を見せない一期を笑って力を緩めた。すかさず切りこんでくるのは想定済みで、引いた瞬間にしゃがんで足払いを仕掛けた。わずかによろけた一期はしかし気を抜かず、その爪先を迷わず明石の顎へ蹴り上げる。とっさに避けたつもりがかたい靴の先はわずかに肌をかすめ、バランスを崩して倒れ込んだ。

「ははっ」

思った通り明石の油断を見逃すはずもなく、「一期一振」が振り降ろされる。ぴたり、と目の前で止まった刀は美しく、その向こうで明石を見下ろす男もまた、人形さながら息どころか髪さえ乱していない。

「明石殿、真面目にお願い致します」

「真面目やってんけどなァ」

手合せ程度で殺気を放つのが真面目なら、明石には一生まねできない、倒れたまま笑うと一期はわずかに目を細めた。

欲しいものはきっと、手に入れると消えるだろう、それを伝える術もまた消えてしまった。
2016'03.13.Sun
明日は早く起きなければならない。それはお互いわかっていたから早く寝ようといろいろ片づけていた。それが思いのほかてきぱきと片づいてしまったばっかりに、ちょっとぐらいいちゃいちゃしてもいいんじゃないかな、と思ったのが間違いだったわけで。膝の上でとろりと俺を見上げる薬研にのどを鳴らす。

「どーすんだ、コレ」

「うっ」

薬研の指先が服の上から立ち上がりかけたそれをなぞる。いや、さも俺が悪いみたいな言い方してますけど、煽ったの薬研さんですからね。えっちなのが悪いんです。ちょっとだけ、のキスをちょっとじゃなくしたのは薬研だ。

「何だよその顔。ちゅーぐらいでちんちんおったててるあんたがどうかと思うぜ」

「薬研さんは悪くないと」

「俺が何か悪いことしたか?」

どうしてそうも、誘惑してくるんでしょうか。じゃあ自分でどうにかする、と言うと薬研はぱちりと驚いて瞬きをし、少ししてやった、という気になる。すぐに薬研を掴まえてうつぶせにベッドに押さえつけ、尻をあげさせて太腿をぴたりと合わせた。その隙間に指を差し込むと、薬研の背が震える。

「自分でどうにかするからここ貸して」

「あ、ちょっと……何する気だ」

「ちんちん挟みます」

「ばかじゃねえの」

「本気ですよ」

はいたままでも素股ができる怪しからん短パンをはいている薬研くんが悪いのです。指を抜き差ししてやると薬研がシーツを握る。

「薬研は何もしなくていいよ」

拒絶の言葉はついぞ出なかった。
2016'03.13.Sun
少し寒さが緩んだので油断していた。湯たんぽの準備を忘れて布団に入ったが、やはり少し寒い。寝てしまえばきっとwからない、と思いながらも、どうも寝つけそうになかった。酒でも入れててっとり早く体を温めて寝ようか、と布団を出て、寒さにふるえ永田台所へ向かおうと部屋を出る。

「どうした?」

途中で出会った薬研はまだ起きていたらしい。風呂上りらしく、髪は乾かしているがまだ頬が赤く染まっている。

「寒くてなあ」

「ああ……湯たんぽ、してやろうか」

にやりと笑う薬研を断る理由は何もない。さあ、とうながされるまま早足で部屋へ戻り、そのまま薬研と布団にもぐりこむ。薬研の体はぽかぽかと温かく、しっかり腕の中に抱きしめるとこちらの体もあたたまるようだ。

「冷えてんなあ。寝れそうか?」

「うん」

薬研の手が背に回る。指先まであたたかい足がすりよせられ、足の甲がすねを撫でる。うつらうつらとするまで時間はかからず、ぎゅうと抱いていた力も緩む。薬研がもぞりと動いて、あたたかい手が首を覆うように撫でた。

「……アンタ、ほんとに寝ちまう気か」

あ、しまった、と思うのももう遅い。意識は吸い魔にのっとられ、思考は枕に溶けていく。

「……おやすみ、また明日」

また明日。今日はおやすみなさい。
2015'09.15.Tue
ひとり部屋を与えられている薬研の部屋に入ると、そこほ少しひやりとしていた。やはり人が多い部屋とは違うようだ。大倶利伽羅が入ってきたのを見留めて薬研は本から顔をあげ、肩からかけていた布団を落とす。そのままで、と言う間もなく、薬研のそば立ち上がり、代わりに大倶利伽羅に座るように促した。

「まだ布団を敷いてなかった。ちょっと待っててくれ」

口より先に体が動く薬研は言いながらもう押し入れを開けている。そして大倶利伽羅が座るまでもなく布団が延べられ、結局そのまま布団に座った。

「先に布団にもぐっときゃよかったな」

「どうした」

「大したことじゃないが、手足が冷えて」

触れるのがためらわれる、と言いたいのだろうか。向かいあって座った薬研は両手を擦り合わせて苦笑する。大倶利伽羅はその手をとって少し驚いた。確かに朝夕の気温が随分と下がり、次郎太刀もそろそろぬくい酒もいいねぇ、などと話している。しかし日中はまだ夏の名残を残しているかのごとく暑い日もあるのだ、冬とは違う。しかし薬研は風呂もすませた様子であるにも関わらず、指先が冷たく冷えている。

「具合でも悪いのか」

「いや、いつものことだ」

そんな女は多いのだ、と薬研はあっけらかんと言い放つ。薬研はなんらかの影響でこの本丸に女として現れた。なんの因果か大倶利伽羅を選んで隣を許している。

布団にいるうちにあたたまるからもうしばらく待ってくれ、と薬研は灯を落とし、共に布団に潜り込んだ。隣でほとんど頭まで潜るようになっている薬研はその中で小さく笑う。

「起きてるあんたとおとなしく並んでるなんざ初めてかもな」

それはなにかしてやれと言うことだろうか。手を伸ばしてまさぐり、両手を包み込む。大倶利伽羅の熱を移すように一回り小さな手を両手に挟んでやれば、やはりくふくふと薬研は笑った。

「あんたは俺を熱くするのが得意だな」

何を言っているのだろう。脚を寄せるとやはりひやりとした爪先が触れ、それも足の間に強引に挟み込む。薬研は息をはいて顔を出した。さっきまで笑っていたのが嘘のように神妙な顔をしている。

「そこそこでいいぜ。あんたが冷えちまう」

「……俺はこんなに冷たくなったことはない」

「ははっ、あんたが冷たいのは態度だけか」

再び笑い出した薬研に抗議するように大倶利伽羅は更に手を強く握った。子どもがするように薬研はわざといやがって身をよじり、布団が肩から落ちていく。それが一緒に着物をずらし、胸元の白い肉を覗かせる。柔らかな曲線が現れたことに薬研はまだ気づいていない。握った手を離さないようにしながら、大倶利伽羅はそこへ口を寄せた。ひく、と薬研は体をそらし、逃げようともがくが手も足もすっかり大倶利伽羅が拘束している。

「あっ」

歯を立てると小さく声が降ってくる。針でつくととろりと蜜が流れそうな柔らかさを唇と歯の先でもてあそび、ときに舌を這わせてときにすいつき、好き勝手にもてあそぶ。薬研は逃げることは諦めたようだが――そもそもこういうことをしにきたのだが――せめて手足を自由にしようともがいてた。当然大倶利伽羅には簡単に離してやる気はなかったので、結局薬研の抵抗は無駄だった。

薬研がようやく諦めた頃には着物から覗く範囲の胸元はすっかり触れてない場所がないほどで、舌先でその奥を探ろうとするが遊びを越えないその動きに、音を上げたのはやはり薬研の方だった。

「大倶利伽羅ッ……」

薬研の指先にはすっかり大倶利伽羅の熱が移って、それは元よりも熱くなっている。同時に火の点った瞳もらんらんと、すでに気温の低さなど忘れていた。
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