言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2014'04.23.Wed
てんてんと春がくる。こけつまろびつ生き物たちが動き出し、風を回し、土を起こす。やれどっこいしょと盛り上がり、ぞろぞろと染めあげていく。甘い風に乗って産声は広くこだまし、叫ぶものもわらうものもみな明日にはひとかたまりになる。さかまきに風が踊るのも湖面が割れるのも春のせいにして、芽吹くものは姿を隠した。途方もなく絶望感に覆い尽くされ、もう後戻りはできない。月だろうが雨だろうが声を上げて拒むものを燃やしていった。どろりと這いあがってくるものは四散し、あまやかなぬくもりに包まれる。奔流に巻き込まれ身を委ねたものはやがて散り散りになり、白や黄色になってとろりと木々を染めた。あますことなく広がってやがてはひとつになるものはその一端に不安を孕み、一方では真水に毒を溶かしていく。嗚呼、声を高く、羽ばたきがそれを消していく。落ちては浮かび、また溶ける。てんてんと春がくる。
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2013'11.21.Thu
てんてんと水に沈む。
空を仰ぎ馬を呼んだ。
春の訪れをよそに、私はそうである。
黄色が浮かぶ夜空。
柔らかいものに包まれて夢を見た。
呼ぶ声。
片足を上げて巡る。
今日はお祭りなので、拾いに行きましょう。
Rの文字が光る間は自由だ。
タイピストが笑う声も知らず、タイヤが回る。
そうでしょうとも。
虹色の波が襲いきて、一夜を染めてしまったとて、小さい生き物は得るだけだ。
革靴が叩く星を投げ入れる。
つながったり離れたり、歪んだり。
手に掛かる重さはさりとて、白磁にはかなわぬ。
夜に満ちて。
空を仰ぎ馬を呼んだ。
春の訪れをよそに、私はそうである。
黄色が浮かぶ夜空。
柔らかいものに包まれて夢を見た。
呼ぶ声。
片足を上げて巡る。
今日はお祭りなので、拾いに行きましょう。
Rの文字が光る間は自由だ。
タイピストが笑う声も知らず、タイヤが回る。
そうでしょうとも。
虹色の波が襲いきて、一夜を染めてしまったとて、小さい生き物は得るだけだ。
革靴が叩く星を投げ入れる。
つながったり離れたり、歪んだり。
手に掛かる重さはさりとて、白磁にはかなわぬ。
夜に満ちて。
2010'09.13.Mon
鞄に物をたくさん詰め込む。沢ガニ、三角のガラス、風鈴、蝉の抜け殻、これはアブラゼミ。隙間のないようにきっちりと、また引っ張りだしては組み替える。しけった花火、絆創膏、きゅうり、ひまわりの種。これは後回し、これはあの隙間に入りそうだ。黄色くなった文庫本、ミサンガ、ラジオ、お誕生日ケーキのろうそく。あれは入れたっけ、あれは?赤いリード、朝顔の種、日焼けしたTシャツ、サンダルは片方なくした。そう、それも、そっちのも。黒い日傘、指輪、まぶしい青、半券。どれのこと?どこに……
まだ欠けた茶碗やオレンジの花も入れてないのに、たくさん集めて鞄はもうはちきれそうだ。きっと抱えきれないだろう。底に穴もあいているし、ファスナーも閉まらない。ねぇだから、このたくさんのものを、全部あげるから。だから、もう一度あなたに。
まだ欠けた茶碗やオレンジの花も入れてないのに、たくさん集めて鞄はもうはちきれそうだ。きっと抱えきれないだろう。底に穴もあいているし、ファスナーも閉まらない。ねぇだから、このたくさんのものを、全部あげるから。だから、もう一度あなたに。
2009'12.30.Wed
雪の中を赤トンボが横切った。カワセミを追っているらしい。彼は昨日猫に指をかじられ、パン生地で補修したばかりだ。空が赤らむ午前5時、仕事を終えた勤め人が遊びの支度を始める。クレーン車が消防車に絡まり、それを見るに今日は日曜であるようだ。霜を踏みしめるとにゃあと鳴く。家へ帰ると馬が私を迎え、肩に積もった赤い雪を払い落とした。手の中の砂金を差し出すと彼女は大袈裟に驚いて見せ、明日はもうだいじょうぶね、と笑う。空を見に行こうよ、金魚を誘って。まつげが震える。きっとそうしましょう、彼女はそう言うが、馬は約束をするのが嫌いだ。飛び回るティーカップを捕まえる。外は雪が積もって真っ赤だった。
2007'04.11.Wed
泣かないでよ愛しい人。君があんまり泣くと僕は離れる日が来るのが怖くなる。
「どうしたの、泣いてちゃわかんないよ」
「いや」
「ほら、もう泣かないで。美人が台無しだ」
母親似のきれいな顔をくしゃくしゃにして彼女は泣き続ける。理由を聞いても首を振るばかりで何もわからない。
彼女が悲しいと僕まで悲しい。誰が彼女の笑顔を奪ったのだろう。落ち着かせるためにゆっくり頭を撫でて長い髪をすいた。しばらくそうしていると少しずつ落ち着いてくる。
「どうしたの?」
「……笑わない?」
「絶対ね」
「……あのね、でんぐり返しができないの」
「でんぐり返し?」
「それでね、ショウちゃんが笑うの。サナは頑張ってるのに」
「そう」
「でんぐり返しができないと小学生になれない?」
「そんなことないよ」
ようやく安心したらしい彼女は笑顔を見せた。まだ幼い彼女には重大な事件なのだろう。
娘も遂に小学生になる。男手一つで育てていくには苦労が増えてくるだろう。男親には言えない悩みや、助けられないことが幾つも想像できる。
「……やだなあ」
家政婦でも雇おうか。娘をベッドに連れて行き、父親は深く溜息を吐く。
「どうしたの、泣いてちゃわかんないよ」
「いや」
「ほら、もう泣かないで。美人が台無しだ」
母親似のきれいな顔をくしゃくしゃにして彼女は泣き続ける。理由を聞いても首を振るばかりで何もわからない。
彼女が悲しいと僕まで悲しい。誰が彼女の笑顔を奪ったのだろう。落ち着かせるためにゆっくり頭を撫でて長い髪をすいた。しばらくそうしていると少しずつ落ち着いてくる。
「どうしたの?」
「……笑わない?」
「絶対ね」
「……あのね、でんぐり返しができないの」
「でんぐり返し?」
「それでね、ショウちゃんが笑うの。サナは頑張ってるのに」
「そう」
「でんぐり返しができないと小学生になれない?」
「そんなことないよ」
ようやく安心したらしい彼女は笑顔を見せた。まだ幼い彼女には重大な事件なのだろう。
娘も遂に小学生になる。男手一つで育てていくには苦労が増えてくるだろう。男親には言えない悩みや、助けられないことが幾つも想像できる。
「……やだなあ」
家政婦でも雇おうか。娘をベッドに連れて行き、父親は深く溜息を吐く。
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