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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.04.Sat
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2016'03.13.Sun
向かい合って一礼。

しょうもない慣習だ。明石は慣れきったお決まりの行動からゆっくり顔を上げた瞬間、戦場に似た殺気を感じて飛び退いた。眼前を横切った切っ先に体が反応して刀を抜く。すかさず振り下ろされた次の攻撃を受け止め、その向こうで光る瞳に射抜かれる。知らず口角が上がると、対峙した相手はわずかに眉をひそめた。

「また、とんだタヌキやな」

「何のことですかな」

一期一振はその刃の鋭さと同じ冷たい声で明石を斬り捨てる。かみ合う刀身は嫌な音を立て、一瞬たりとも引く気を見せない一期を笑って力を緩めた。すかさず切りこんでくるのは想定済みで、引いた瞬間にしゃがんで足払いを仕掛けた。わずかによろけた一期はしかし気を抜かず、その爪先を迷わず明石の顎へ蹴り上げる。とっさに避けたつもりがかたい靴の先はわずかに肌をかすめ、バランスを崩して倒れ込んだ。

「ははっ」

思った通り明石の油断を見逃すはずもなく、「一期一振」が振り降ろされる。ぴたり、と目の前で止まった刀は美しく、その向こうで明石を見下ろす男もまた、人形さながら息どころか髪さえ乱していない。

「明石殿、真面目にお願い致します」

「真面目やってんけどなァ」

手合せ程度で殺気を放つのが真面目なら、明石には一生まねできない、倒れたまま笑うと一期はわずかに目を細めた。

欲しいものはきっと、手に入れると消えるだろう、それを伝える術もまた消えてしまった。
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