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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.18.Sat
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2010'10.10.Sun
容赦なく謙也をこき下ろす女子と、こいつだけは何があっても女子じゃないと思っている謙也が、言い合っているのが見たい。まあ、私の中で像はあるんだけど。くるっくるの巻き髪で黙ってて座ってればただの美人。口を開いて動き出すと残念な美人。カテゴリーは白石と近いかもしれない。頭は悪くてもよくてもいいな。でも何をやっても謙也ととんとん、ってのがいいな。

んで、お互いを「ゴリラ」「千日前」と呼びあう。仲が悪いって言うか仲良しになる気はさらさらない。

まあ、小石川くんの彼女の話なんですけど……。
小石川×彼女っていうか、その彼女と火花を散らす謙也とかからかって遊ぶ白石とかが見たい。

というわけで需要はわかりませんが小石川くんと捏造彼女さんの話です。














「イケメンは裏切るけど、非イケメンは裏切らない」
「はぁ?」

手鏡から顔を離し、少女は不満げな声を上げた白石を見る。呆れた顔の白石は、わざとらしく溜息をついた。

「お前それはさすがにこいちゃんがかわいそうやわ」
「誰が小石川くんが非イケメンやー言うてん。イケメンやん。んでさりげなく自分をイケメン枠に入れんなアホ」
「この白石蔵ノ助はイケメン枠以外ありえへんやろ!」
「アホや、お前はただのアホや!千日前もアホ!」
「千日前って呼ぶな!とばっちりやん!」
「やめてや謙也と一緒とか!」
「そっちかーい!」
「千日前はウザい枠でもええわ」
「とばっちりと見せかけて俺への個人的なバッシングや!」
「それがウザいねん。なぁ、小石川くんおれへんの?千日前も白石もいらんねんけど」
「オサムちゃんとこや」
「え~?何なん?オサムちゃんも小石川くん狙いなん?」
「何それきしょい」
「ああそっか、部長がアホで役に立てへんから副部長が呼ばれてんな」
「部長と副部長で仕事きっちり分けてるだけや」
「あーあ、せっかく今日の髪型めっちゃうまくいったから見せようと思ったのに~」

きれいに巻かれた毛先に指を絡めて溜息をつく。お前そんなことのためにわざわざ来たんか、呆れた口調の謙也は机の下で蹴り飛ばす。

「ッ……お前みたいな乱暴な女っ、小石川が好きになるわけないやろ!」
「わからんやん、財前くんかて千日前みたいなしょーもないクソみたいな奴に惚れたんやし」
「クソて!」

謙也の隣で音楽を聞いていたはずの財前が吹き出す。幸か不幸か、謙也には見えていなかったが、白石がつられて笑ってしまう。

「もう千日前やなくてクソって呼ぶわ。こんなんと一緒にするとか、千日前沿線に失礼やった」
「この女最低や!アホ!ブス!デブ!」
「ちょっとトイレから地中海まで流したるから顔貸せやッ!」

売り言葉に買い言葉で立ち上がり、座っていた椅子を蹴りとばして謙也の胸倉を掴む。ぎょっとする謙也に拳を固めて見せた。

「あ、副部長先輩お帰りなさい」
「あ~……取り込み中?」
「あ、こいちゃんおかえりー」
「……とりあえずクソは殴る」
「イタッ!」


*


「相田百合です」
「はぁ、どうも」

彼女がにっこりと笑いながら挨拶をしてくれたのはひと月ほど前のことだ。きっと小石川はあの光景を一生忘れないだろう。体育祭で使うはちまきで謙也の首を締めながら、すごくいい笑顔を向けてくれた。姿は見たことがある。謙也たちのクラスの女子で、3年の中でも黙っていればかわいいと評判の子だ。動かずにいれば、とも聞いたことがある。

「えーっと、謙也、死ぬけど」
「ええんちゃう?」
「よっ……よくなっ……」
「マジで締まっとる!」
「ところで小石川くん」
「何?」
「好きです」
「は?」
「好き」

謙也を突き飛ばすように離した手が、小石川の首に回る。背の高い方である小石川相手だとぶら下がるような体勢だ。次第に体重がかけられ、小石川は慌てて踏ん張った。

「小石川くん」
「あの、苦し……」
「小石川」
「ちょ、あの」
「小石川!」

声に驚いて顔を上げる。心配そうな顔でこっちを見る白石と目があって、ほっと息を吐いた。

「夢か……」
「うなされとったで」
「あ~、うたた寝してもうた。部室が静かやとどうして眠くなるんやろ」
「小石川ちょいちょい部室で寝とるよな」
「んで、取材終わったんか?」
「終了やー。ばっちりアピールしてきたから大会前はまた儲かるでぇ」
「……新聞部の取材やんな?」
「食費がかつかつや言うてきたから差し入れ増えるやろ」
「金ちゃんな~」
「あ、遅なるし仕事しよ。すまんな待たせて」
「外への対応任せとるのは俺やからな」
「いや~俺が目立ちたがりなだけやし」
「せやな」
「フォローしてくれ」

笑いながらノートを開く。次の試合のオーダーを決めなければならない。小春がどこからか集めてきた対戦校のデータと顧問の案を参考に、最終決定はふたりでしている。それでも大体は顧問の出した通りになるから、最終確認程度の作業だ。白石が隣に座り、顧問からのメモを覗き込む。

「どれどれオサムちゃんのこれか。ふうん……ユウジと小春のペア好きやな」
「本気で笑かしにかかったときはこのペアやんな。……つーか、オサムちゃんが新ネタ見たいだけちゃうか?」
「そうかも。どうする?これでいく?」
「ネタが当たると金ちゃんが使いものにならんくなるけど」
「……前ひどかったな。まあええか、そうなったらまた俺が毒手ビームで黙らすし」

決定やな、白石が清書するのを見ながら帰り支度をする。いつでもごまかしてしまうから白石は完璧に見えるが、その陰で努力を怠らないと気づいたのは小石川が副部長を任されてからだった。前任の副部長は名前だけだったようで、今でこそ分担している仕事を白石はすべてひとりで担っていたらしい。ただのいち部員だったとは言え、そのことに気づかなかった自分を責めたこともある。白石はそれを笑い飛ばしたが。

「ほんま、お前はええ男やなぁ」
「……何?告白?悪いけど俺心に決めた女が……いや、でも小石川がどうしてもって言うなら1回だけ……」
「何を1回!?していらんわ!」
「あはは!何なん、いきなり」
「何となく思っただけや」
「よし、ほなら日常的にそのこと考えとけ。謙也や相田はすぐに俺を残念扱いするからな~。あ、相田で思い出したわ」
「ん?」
「アホのふりして謙也いじったりしとるけど、相田がマジやって知っとる?」
「……知っとるわ」

流石は小石川くん。にこりと笑った白石が立ち上がるように促し、黙ってドアを指差す。帰れってか。

「……ほな、あとよろしく」
「お気をつけて~」

にやにや笑う白石の目から逃れて、仕方なしに昇降口へ向かう。女子のにぎやかな会話が外から聞こえてきた。その中に混じる声を聞き分けて、わかっていたことながら溜息をつく。ドアをくぐると案の定相田の姿があり、小石川を見つけて友人と別れた。
「小石川くん、一緒に帰ろ」

「ええけど、友達ええの?」
「あいつ彼氏待ちやから」
「沢田さん彼氏おるんや」
「意外?」
「相田さんと沢田さんが仲いいのが意外」
「肉食系ですいませんねぇ」

ははっと軽く笑い飛ばし、相田は小石川と並ぶ。帰る方向は同じだ。

「……白石がなぁ」
「アホがどうしたって?」
「そろそろどうにかせぇって無言の圧迫かけてきよるんよな」
「うち?」
「相田さんが来ると謙也がおもろいけど、あいつワンパターンやろ」
「ああ、せやね。あのクソおもんないもんな」
「そろそろウザなったんやろなぁ」

つい溜息をつくと隣で相田がかたくなるのがわかる。ちょっと失敗したな。歩調を緩めて言葉を探す。

「相田さん、なんで俺に絡むん?」
「はぁ!?言ったやん!ちゃんと言ったやろ!」
「ほんまに思ってんの?」
「ほんまや!本気や!好きやっちゅーねん!」

アホか!腕を引かれて足を止める。つり上がった目が小石川を睨んだ。視線を返すと肩の力を抜き、小石川の手を離す。

「迷惑やったら邪魔すんのはやめる」
「あ、ごめんちゃうくて。つき合う?って話」
「……は?」
「俺も相田さんのこと好きやで」
「あっ……」
相田は大きく息を吸う。その顔がだんだん赤くなった。
「アホちゃうッ!?」
「イッタ!」

次の瞬間、小石川を蹴り飛ばして彼女は走り去った。臑を抱えてうずくまる。しばらくそうしていると、耐えきれなかったのか、爆発したような笑い声が小石川を貫いた。ちくしょう。振り返ると白石が腹を抱えており、その隣では財前が冷ややかな顔で部長を見ていた。やばい!死ぬ!しんどい!意味のわからないことを叫びながら笑う白石はどこから見ても変人だ。ただしイケメンでもある。

「……白石部長ってサイテーっすね」
「せやろ?財前もっと言ったって」
「ちゅーか、副部長先輩ってドMなんすね」
「それは謙也に言っといて」
「俺暴力は振るわないんで」

紙パックのジュースをすすりながら財前は歩いていった。白石が小石川の肩をがっしりと掴む。その目は期待に輝いていた。

「協力しよか!?」
「よし頼んだ、とりあえず黙ってろ」


*


寒い。目を開けてすぐに目に飛び込んだのは、机に伏せて眠る相田だった。そのまま硬直した小石川はゆっくり体の力を抜く。部室だ。また今日も寝てしまっていたらしい。小石川がたてた小さな物音で身動きし、こっちへ向いた顔を見て口元が緩む。セーターに顔を伏せていたからだろう、額に袖口のあとがついてしまっている。かわいいのに間抜けなんよなぁ、本人が聞けば怒りそうな感想を抱きながら、残り1行となっていた部誌を記入してしまう。部室を見回すが誰の荷物も出ていない。もう施錠してもいいだろう。帰ろう。相田の肩に手を伸ばす。
「相田さん」
「ん……あっ!?」

ぱっと顔を上げた彼女はまっすぐ小石川を見た。顔の横で丁寧に巻かれた髪が揺れて、その毛先を目で追う。
「おはよう」
「……白石が、入ってええって言うたから」
「うん。ゆっるいやろ、うちの部」
「……昨日はごめんなさい」

早口をどうにか聞き取って笑う。どうして笑われているのかわからない相田は怪訝そうに小石川を見た。

「とりあえず、一緒に帰ろうか」
「……うん」
「あ、でも今日はもうちょっと待って」
「何?」
「もうちょっとここにおらん?」

その額のあとが消えるまで、とは心の中で添えるだけにしておいた。

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