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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'05.10.Sat
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2009'11.30.Mon
進展しないよ!

というわけでお待たせしました。通し番号があってるのか毎回わからなくなる。あるよねー。
完全に夏気分が抜けちゃったのでどうも夏らしくならないのが残念だ。これが絵なら半袖だし雰囲気出るんだろうけどな……まあ……しゃーない……いや……しゃーないとか言い訳しなくていいぐらいに書けたらいいんだけどな……書いてる間に夏だってこと忘れるんだよな……

しかしほんとに進展しねーな。進展どころか悪化してるぞ謙也。もうちょっときばれよ謙也。ユウジだってがんばってる。

年内終了目標を立ててたけどどう考えても無理やっちゅー話や!シフト出てあとひと月で今年終わりかよってぎょっとした。忘年会したーい!小春ちゃんを酔わせたい!
この間全力で挑んだBL合宿(参加者2名)のおかげで今若干ユウコハ脳です。ユウくんの方がお酒は弱いんだよね。小春ちゃんはワインがお好みなので結構飲める人。知り合いのように言ってますが妄想乙。











「先輩」
「お、おはよ」
待ち合わせの戎橋に着く前に財前に会ってしまった。心の準備ができていないときに財前を見たせいで、動揺がダイレクトに心拍に表れている。堺筋から戎橋へ向かう途中、声をかけてきたのは財前だった。隣に立った財前はいつも通りのスウェット姿で、それに安心しながらも、相変わらず昨日のことをなかったことにしてしまっている財前に少しがっかりする。まだ怒ったままなら、一晩中考えていた謝罪の言葉でこの時間を埋めるのに。
「あ……あー、つーか、よお考えたら家近いんやし、わざわざ戎橋で待ち合わせせんでもよくない?」
「……ま、そーですねえ」
「何?なんかあかんの?」
「あんまあの辺で謙也先輩待たせたくないっつーか」
「え?」
「ラブホから出てくるカップルがかわいそうやないですか」
「ッ……!」
謙也が近い距離にある財前の家を知らなかった理由はこれだ。商店街から一歩踏み込めば「夜の店」が並ぶこの界隈、謙也は昔から「入ってはいけない」と言われている通りがいくつかある。財前の家はその通りにあり、先日送って行ったときは浮かれていたせいか気づかずに入って、財前と別れてから慌てた。早朝とはいえ営業しているホテルばかりなのは当然で、何より財前の家の目の前がラブホテルであることに気づいて冷や汗をかいたのはまだ記憶に新しい。ずっと昔から言われ続けていたせいで、謙也の中ではもはや「入れない道」とも言える通りだったのだ。
謙也が考えていることを察してか、財前は特に何も言わない。そうしている間に本来待ち合わせ場所であった戎橋に到着する。
「今日はどっちの方行きます?」
「え、あ、うん……」
「あーもー、考えこまんでいいから」
「うん……」
「あんたおぼっちゃんやと思っとったけど、ほんま中身までお坊ちゃんやな。キンパが泣くで」
「悪かったな!」
「別に悪いなんて言うてへんやん。イイコですね、って言ってんの。撫でたりましょか?」
「えっ」
「嘘やけど。行きましょ」
ふいと歩き出した財前にがっかりする。見失う前に追いかけるが、財前はまるでひとりで歩いているようだ。声もかけず思いついたように道を曲がるので、油断していると置いて行かれそうになる。何か会話をしないともっと距離が開く気がして、何か財前を引きとめられるような言葉を必死で探した。
「……ざいぜん」
「何すか」
「好きな人、おる?」
「……は?」
「えっ!?……あっ、なんでもない!」
無意識に口を出た言葉に慌てて思わず足を止めた謙也を財前が振り返る。不意をつかれたように目を丸くした財前に焦った。俺はアホか。――前に、その話題で財前を怒らせたくせに。
「……あんたさぁ……」
「ご、ごめん……」
「アホなん?」
「……」
「学習せえや」
「や、もう、忘れて……」
「……いますよ」
「へ?」
「好きな人」
「……あ、そう、なんや」
「満足しました?……なんやテンション下がりますね、帰りますか」
「え、嫌や」
「……ほな、行きますよ」
歩き出した財前を引きとめようととっさに手を伸ばす。すっと逃げていった手は明らかに故意的で、ぽかんとして財前の背中を見た。――朝なら触れると思っていたのは、勘違いだったのだろうか。話もできるし視線も合わせてもらえる。だから先日の「誕生日プレゼント」もあったはずだ。
「謙也せんぱーい」
「あっ、待って!」
「ええっすよ、俺ひとりで行くし」
「嫌やって!」
「あー、ラーメン食べたい。天下一品の」
「あ、ほな、行く?部活終わってからとか」
「え、いいですよ。つき合ってくれとか言うてへんし」
「……前から思ってたんやけど、……財前、俺に冷たない?」
「……優しくしてほしいんですか?」
「えっ!」
「別に、俺謙也先輩にだけこんな態度なわけちゃいますよ」
「そう、やっけ」
ふっと笑った財前に気が詰まる。柔らかく笑う表情が誕生日の――正確にはその翌日の朝を思い出させた。しかしそれは一瞬で、次の瞬間には意地悪く半眼で謙也を見る。
「まあ、謙也先輩、あんまり俺のこと知りませんもんね」
「……え」
「ただの後輩やし、そんなもんやろうけど」
「おっ……俺はっ、財前のことっ」
「何?」
「財前のこと、知りたいん、やけど」
「ふーん?知らんけど、好きにしたら?」



*


「とりあえず誰か財前が俺を避ける理由を教えてっ!」
「嫌いなんちゃうの?」
ぐさりと突き刺さるユウジの言葉に、謙也は頭を垂れた。机に伏せて泣きそうなのをやり過ごす。あんまりいじめたんな、ウザいから。白石は何の助けにもならない。
「なぁ~、なんで?今日も避けられたんやけど」
「偶然ちゃうの」
「こないだまでちんたらしとったやつがいきなりてきぱきしとるのに!?」
「なんかあったんやろ、心境の変化。謙也が何かしたとか」
「してへん!」
部活の間中避けられたのだ、これは簡単なことじゃない。いくら自由練習が多いからといっても使える場所はコートと外周コース、その周辺。まじめに練習しながら誰かを避けるなんて簡単ではない。
「なー!ユウジは何も知らんの!?仲ええやん!」
「別に光と謙也の話したりせぇへんし」
「じゃあ何の話すんねん」
「フツーやフツー」
「俺はそのフツーがでけへんから聞いてんねん!」
「謙也かて毎朝一緒に歩いとるんやろ?話す時間はたっぷりあるやん」
「……だって俺が喋ってばっかりで、財前ほとんど食いついてこんし、何が好きなんかとかもよう知らん」
「謙也に興味ないんやろ」
「……」
「ユウジ、もうやめたり」
泣きそうになった謙也を見て白石が止めに入る。しかしその表情はうんざりしていた。ほんま友達がいのないやっちゃ。二重の意味で打ちのめされている謙也の肩を叩くものがあり、振り返ると小春がいる。
「小春ぅ……小春は俺の味方してくれるやんなぁ?」
「謙也くんがんばってるやないの。そのうち光くんかてわかってくれるわよぉ」
「そうかなぁ」
「そうやって!自信持ち!謙也くんは堂々としとるときが一番かっこええで!」
「そうかなぁ!」
「そうや!」
「ッあー!調子乗んなハゲ!かわいそうやからええこと教えたろと思ったけどもうええわ!それ以上俺の小春に近づくな!」
突然切れたユウジが小春を抱き寄せる。今にも小春の手をとらんとしていた謙也は肩すかしをくらい、しかし一瞬で覚醒した。
「ええことって何ッ!?」
「知らん!」
「何やねん!もったいぶらんとさっさと言え!」
「光のことや!」
「な、何!?」
「今日、軽音部行ってんで」
「え……あいつ軽音も入っとんの!?」
「なんや、謙也くん知らんかったん?謙也くんもやん」
「俺あっちは幽霊やもん……」
「まあでも顔出すだけって言っとったしな、もうおらんかも知れんけど!」

ユウジが言いきる前に謙也の脚は走り出す。ほとんど無意識の動きに自分でも驚きながら、衝動に体を任せた。軽音部の部室に駆け込むと顔見知りの同級生が飛び上がって驚く。
「謙也どうしたん?こっちに来るん珍しいな」
「ざいっ、財前!」
窓によりかかって立っていた財前が謙也を見て、舌打ちをする。一瞬くじけそうになるが、あきらめない。
「財前!一緒に帰ろっ」
「あ、浜田先輩コレどーもっす」
「あ、もうええの?」
「ちょっと触りたかっただけなんで」
肩から掛けていたベースを持ち主に返し、財前は足元の荷物を持ち上げる。
「帰るん?」
「笑点見な。木村先輩に今度来る日教えて下さいって言っといて下さい。俺サックス触らせてもらう約束してんのに」
「あいつサックス最近持ってきてへんで」
「約束破ったらしばく、とも言っといて下さい」
「りょーかい。おっかない後輩や」
「ほな、また来ますわ」
「今度は新曲付きで頼む」
「サックスあるなら」
他の部員にも軽く挨拶をした財前だが謙也は無視し、引き留めようとするとようやく視線が向く。しかし睨むような表情だ。多分睨んでいるわけではなく、目つきが悪いので無表情がそう見えるだけなのだろう。損しないのだろうか、と思う。笑えばあんなにかわいいのに、きっと誤解されることは多い。
「ざいぜん」
恐る恐る呼ぶと財前の口が開かれた。体温が上がるのがわかる。
「なんであんた待ってなあかんの」
そのたった一言を理解している間に財前は謙也のそばをすりぬけていく。はっと気づけば自分はまだジャージのままだ。再び走り出し、財前の背中を追い越して部室に戻る。乱暴に開けられたドアに、まだ残っていたユウジがびくりとして小春から離れたが、そんなことを気にしている余裕はない。ユニフォームを脱いだまま丸めて鞄に押し込み、ベルトを締めるのもままならない状態で部室を飛び出した。校舎へ戻りかける途中、昇降口で財前を見つけて走り寄る。
「財前!」
謙也に気づかないはずはないのに財前はこちらを見ない。耳に差し込まれたイヤホンからは音楽がかすかに漏れていて、それを外そうともしなかった。
「今日はチャリちゃうんやな、俺も歩くし一緒に帰ってもええ?」
もくもくと歩く財前のそばをついていきながら声をかける。それでも財前は完全に謙也を無視し続けていた。離れるタイミングを失って、謙也も黙って隣を歩く。
いつもより財前の歩調が早い。何度かふたりで一緒に歩いたことのある道なのに、時間が違うだけでこんなに変わって見えるものだろうか。日差しの暑さのせいでも気温のせいでもないとわかっているのに、何かのせいにしたくなる。無言で歩く通学路は長く感じた。どんな音楽を聴くのか耳を澄ませてみても聞きとれない。耳を飾るピアスを見つめ、いつ開けたのかを考える。入学したときに両耳にひとつずつ開いていたのは知っている。いつの間にかひとつ増えていた。

気づけば謙也の家は通りすぎて、謙也は足を止める。財前は歩くペースを変えないまま、自分の家のある筋へ入って行った。
「……何もわからん」
何を考えているのだろう。なんでもいいからリアクションがほしい。空しい気持ちで家に帰ると、玄関に飾られていたはずの花はなくなっていた。


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