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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.13.Thu
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2010'01.22.Fri

お待たへ!

昨日中に終わらなかった。なんか今回会話が多くて長い気がするけどいいよね。
謙也が変態ですって注意しようと思ったんだけどこれからもっと変態になっていくからまだいいか。










 



「はよーっす」
「……おはよう」
「何なん?朝からうっとーしい顔して」
「俺かて色々悩むんや……」
つーか悩ませとんのお前やし。いつも通りの朝に違和感を感じながらも、財前が自分を見るのが嬉しい。もう朝だけでええんちゃうかな、思わずそんなことを思う。
「学校の方行きません?」
「ええよ」
歩き出す財前の隣を歩く。不意に財前が顔を寄せてきて、ぎょっとして仰け反ると何すか、と笑った。
「何って、何!?」
「なんかええ匂いする」
「え」
「昨日焼き肉でした?」
「……ウン」
アホ。俺のアホ。死んでまえ。ひたすら自分を呪う謙也を見て財前を笑っている。昨日の財前とは別人のような態度なのに、結局ひとりだとしか思えなくて、いっそ割り切れたら楽なのに、と思う。しかしそれももう諦めて、財前の歩みに任せてついていった。
「なー財前、ピアス開けるん痛い?」
「別に、そんなに。……開けたいんすか?」
「んー?ちょっと開けてみたい気ィもすんねんなー」
「やめとき、似合いませんわ」
「なんでー」
「男でピアス似合うやつそういませんって」
「それは自分がイケメンやって主張か。財前雰囲気イケメンのくせに」
「俺嘘はつかんので」
「もーええわ」
軽いノリで話せるだけでも何となくにやけてくる。財前がそれに気づいているかどうかはわからないが、この際どうでもいい。謙也が考えていることなど、全部筒抜けのような気がする。
 

昨日無言で歩いた帰り道を逆に辿るルートだから、財前が昨日謙也が隣にいたことを知らない、ということはないだろう。相変わらず何も言わないから、謙也も自分から言い出すのははばかられた。財前は他の先輩と接する態度を変えていないと言うが、そんなはずがない。ユウジと朝歩いていたこともあると知っているが学校では親しくしている。学校での普段の財前が、謙也は見れない。朝見れる、寝起きのだらしない姿が謙也が一番よく知る財前の姿だ。同じはずがない。
「今日体ダルないっすか?」
「あー、昨日珍しくオサムちゃんやる気出しとったもんなぁ。時間延ばすわ休憩切りあげるわ」
「気まぐれでリズム変えんのやめてほしいっすよね」
「いや、それでも財前結構マイペースやったと思うで?小石川がずっと探しとったやん」
「なんか罰走とか初めてさせられましたわ。あのおっさん何なん、生理?」
「キショいこと言うな!」
「謙也先輩も昨日えらい気合入ってましたね」
「え」
「何かずっと真顔でやってたやん」
昨日の部活中に財前と顔を合わせた記憶はない。軽音の部室で顔を合わせるまで、徹底的に避けられていたのだ。財前を見たのは後ろ姿だけ。財前が自分を見ていたということは思いもよらず、かっと顔が熱くなる。
「謙也先輩?」
「おっ……俺は……」
「何?」
「……財前のこと、考えとった」
「……真面目にテニスせぇや」
にやりと笑い、財前は一瞬距離を詰めてくる。触れそうになった体に驚いて思わず足を引いてしまい、その自分の動きに気づいて後悔した。
「あーあ、腹減ったし帰りません?」
「え、マクド行かん?」
「俺財布持ってへん」
「別に、貸したんで」
「……ほんなら」
財前が足を向けた店は、以前眠ってしまった財前を残して帰った場所だ。なんとなく緊張する謙也に気づかず、財前は隣で注文をする。店員の復唱も上の空で聞きながら支払いをして、ふと財前がまだ隣にいることに気がついた。見降ろすと視線が合って、何すか、と簡潔に問われて動揺する。
「さ、先に行かんの?」
「何で?持ちますよ」
「あ、うん……」
そのやり取りの間に商品が出てきて、財前がトレイを受け取った。先を歩いて階段を上がる財前を見ていると落ち着かない。
「謙也先輩って俺のこと態度の悪い後輩やと思ってるでしょ」
「えっ」
「おごってもらうんやからトレイぐらい持ちますわ。そこまで厚かましくないんで」
「あ、いやちゃうねん、なんかそんなんさせんの嫌やなって……俺おごるって言った?」
「ちゃいました?」
「……いや、ええわ」
「ゴチでーす」
俺貸すって言わんかったっけ?はっきり思い出せないまま窓側の席についた。食べている間の財前は無言で、ときどき目が合うのに会話はない。財前より先に食べ終えてしまう謙也は時間をもてあまし、そわそわと窓の外を見たりがらがらの店内を見回してポスターを眺めている。そのうち財前が見かねたのか、溜息のような息を吐いて口を開いた。
「そういや今日部活休みっすね」
「え?そうやっけ」
「……行く気やったんすか?」
「え?ほんま?ほんまに?」
「ほんまやって。オサムちゃんが来られへんから休みやって白石部長が言うとったやないですか」
「うわー、マジか。今日やっけ?おかん弁当作っとるわ」
「あーあ、お母さんかわいそ」
笑って窓の外を見つ財前の横顔を見ていると、気持ちだけが焦ってきた。そういえば白石が言っていたのは確か今日だ。部活がない、ということは、今日財前と別れてしまうと明日まで会えないということになる。
「……財前、今日暇?どっか遊びに行けへん?」
「や、ユウジ先輩んち行く約束しとるんで」
「あ……そ、そう……またユウジか……」
「ちょっとやることあって」
「……それ、俺も行ったあかん?」
「何で?」
「部活やと思っとったから俺何も予定ないし、暇やし」
「ユウジ先輩に聞いて下さい」
「そうする!」
「今すんなや」
携帯を取り出した謙也を見て財前はけらけら笑う。早朝やん、6時前やで。自分のことを棚に上げて何を言うか。それでもよく考えてみれば確かに非常識で、冷静になれば毎朝財前からの電話に律儀に出ている自分も馬鹿らしくなる。それでも電話を待っている自分は何なのだろう。
「でも、できたら来んでほしいけど」
「え、何で」
「内緒話したいから」
「ユウジと?」
「そうです」
「どんな話?」
「内緒やって」
「俺には話せへんの?」
「話せませんねえ」
「何で!」
「えー、だってユウジ先輩のプライベートな話やし。ユウジ先輩がいいって言ったら教えられますけど、多分あかんって言うやろしなあ」
「う……ほなユウジに聞く……」
ユウジと財前が共有している秘密など何も思いつかない。いつもお笑いのことを考えているユウジの思いがけないところを垣間見た気がする。それを財前が知っているという事実も謙也を動揺させた。恨みでもあるのかと聞きたくなるほど子どもは苦手だといいきるユウジが、
ここまで心を開いている後輩は財前だけじゃないだろうか。確かに他の1年がまだ小学生の雰囲気を持ったままなのに比べれば財前は大人びているが、それでも謙也よりよほど親しく付き合っている気がする。

食べ終えた財前が携帯を触りだして、いずらくなって一度席を立つ。トイレで手を洗いながら頭を冷やした。あの財前が先輩と仲良くしているのはいいことじゃないか、と言い聞かす。財前に敵は多い。友達がいないわけではなさそうだが、特定の誰かと一緒に行動しているのも見かけない。――それとも、それもまた謙也が見ていないだけなのだろうか。この間まで財前は本当に「ただの後輩」だったはずなのに、いつの間にか財前のペースに巻き込まれている。溜息をついて席に戻りかけ、謙也は途中で足を止めた。
――デジャヴ。
ソファーに体を預け切った財前にそっと近づくと、いつかと同じように寝てしまっている。思わず息を殺して、できるだけ静かに自分が座っていた席へ戻り、じっと財前を見た。いつも何も考えて謙也を呼び出すのだろう。会いたいから、というのは前に聞いた。ならどうして学校では避けるのか、そもそもどうして会いたいのか。人の気も知らずに眠る財前に手を伸ばし、頬に触れると思ったより柔らかい。軽くつねってやると身じろぎしたので、はっとして手を離した。俺は何をしてんねん。
「……財前!ざーいぜーんくーん!朝ですよー」
周りに人がいないのをいいことにバンバン机を叩く。眠りは浅かったのか、ぴくりと肩を揺らして財前は目を開けた。目を細めて謙也を見て、ああ、と低く唸って手で顔を覆う。
「……眠い」
「帰って寝ぇや。帰ろか」
「うん」
謙也が手早くトレイをまとめ、ゴミを捨てる間に財前はゆっくり立ち上がった。はあ、と溜息をつき、謙也の後について店を出る。
「本摩眠い。謙也先輩のせいや」
「何でやねん」
「誰のせいで早起きしてると思ってんねん」
「はぁ?どーいう意味や」
「あ、メール。ユウジ先輩や」
なんやユウジ起きとんのか。携帯を見る財前の手元を何気なく覗きこむとさっと手を引かれ、確かに失礼な行動だったが少し傷つく。そこまで露骨に態度で示さんでもえーんちゃう、口に出せないまま唇を尖らせた。
「何や、ユウジ先輩今日あかんようなったんや」
「え」
「次の休みいつやっけ」
「ほな今日俺と遊ぼうや」
「いいです」
「……どっち?」
「用ないなら家におってって言われとったんで、家にいますわ。課題せなあかんし」
「……忙しいんやな」
「夏休みですから」
「なんやそれ」
「謙也先輩夏休みなのに何も予定ないんすか?」
「あるにはあるけど、どうせほとんど部活やしなー。今日は暇になってもたし」
「せやったら軽音行ったらええのに」
「ああ!そうしよかな」
「あんまりほっとくとドラムが泣きまっせ」
「……何で俺がドラムやって知ってんの?」
「去年の文化祭の、ユウジ先輩にリハのビデオ見せてもらったんすわ」
「え、まじで?撮ってたっけ」
「謙也先輩が走りすぎとるやつ」
「あれか、ってリハやん!許して!本番ではうまくやったっちゅーねん」
「ほなそういうことにしときましょ」
「ほんまやって!ったく、いちいちかわいないな。……財前は何やってん」
「俺楽器は特に。曲作ったりしてるぐらいで」
「え!すごいやん!どんなん?聞かしてや」
「……謙也先輩って放送委員っすよね」
「せやけど?……あっ!?」
「まあ探して下さい」
「えっ、どれ!?ジングルとかちゃうよな!?」
「その辺もありますねえ」
「いくつあんの!?」
「さあ、俺も把握してへんし。……あ」
財前がポケットに入れた手を出すと、そこに小銭がある。入っとった、呟いてそれを謙也に差し出した。
「返しますわ」
なぜかどきっとした後に、さっき寝ている財前に触れたことを思い出す。いつも通りのテンションで話をする財前は、さっき謙也が何をしたのか知らないのだ。途端に罪悪感に襲われて、ええわ、と首を振る。少し声が上擦った。
「ええんすか」
「ええよ」
「ほな、ごちそーさま」
笑う財前を見ると返事も曖昧になってしまう。俺は何であんなことしたんやろ。結局今日の予定は決まらないのに、これ以上財前を誘えなくなってしまった。行きと同じ道を戻る中で、必死で話題を探して時間を埋める。今は無言が怖い。今日は音楽を聞いていない財前は返事をするので、昨日の記憶が上書きされるようだった。
「財前は軽音の方よく行くん?」
「まあぼちぼちちゃいます?あそこ幽霊多いですもんね」
「運動部の方に力入れとるやつ多いもんな」
「謙也先輩も?」
「俺はテニスに青春ささげるんや!」
「彼女にも振られたことやし」
「……お前……言ってええことと悪いことがやなぁ……」
「あ、ほなここで」
「あ、うん」
別れ道で一旦立ち止まり、財前が謙也を見上げる。まー頑張って暇潰して下さい、いつもの無表情なのに別れがたくて言葉を探し、結局また明日な、と声をかける。帰れなくなりそうで財前寄り先に歩き出した。早足で家へ向かいながら、さっきまでの会話を反芻する。
「ただいまー」
「はっ!?謙也朝からどこ行っててん!」
起きたばかりらしい弟と玄関で会い、そのリアクションに新鮮さを感じる。フツーそうやんな、妙に納得しながら散歩、とだけ返すとアホちゃう、と返された。それはよくわかっているので、何も言わずに台所へ向かう。
「おかんただいまー」
「おかえり」
「あのさ、今日部活なかった」
「えーっ、お弁当作ったのに!」
「ごめんー」
「もー、お昼に食べて」
「そうするわ」
「おかん、謙也何なん、朝帰り?」
「謙也にそんな度胸ないやろ。夜遊びしとったらちゃっかり補導されるタイプやわ」
「もー、俺落ち込んでんねんからつっこまんで。寝直すわ」
「あら大人しい」
「謙也今日服貸してや」
「……デートか」
「でっ、デートちゃう!なんその顔、死んでんで!」
「デートなら貸しません」
「ッ……デートやから貸せ!」
「……ハァ」
弟にも彼女おるのに。俺も可愛い彼女できんかな、頭に浮かんだのは財前だった。

 

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