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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'05.10.Sat
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2010'01.24.Sun

なんか謙也キモい。知ってる知ってる。
打ち込んでみたら思ったよりもあんまり長くなかった。やっぱり会話があると長くなるなー。

そういうつもりはまったくなかったんだけど、光様がそろそろ本気出すよとおっしゃってます。のでそろそろ本気出すよ。光様がね。私は常にフルバーストなんですが、次回更新がまたひと月後になったらごめん。ただ非常に可能性が高い。異動があるのだけど時期が未定なのです。なんちゅーか、1週間後の可能性もまだ消えてないって言うwww

あと前回恐ろしいほど誤字やタイプミス多くてすいません。











「……俺……どんだけ……」
目が覚めて布団に突っ伏した。詳しくは覚えていないが、夢に財前が出てきた。隣にいたことだけは覚えている。昨日は軽音部に顔を出し、財前の話を聞いていたせいだろうか。本人の口ぶりよりもまめに顔を出しているらしく、財前と親しくしている部員は多いようだった。財前の作った曲も聞かせてもらったが、あいつなんでもできるんやな、と納得してしまうものだった。そら天才って呼ばれても謙遜せんわけや。
溜息をついて携帯を探すと、不在着信のマークが出ている。途端に血の気が引いた。焦って時間を見ると5時15分、履歴を見ると着信は当然財前からだ。すぐにかけ直すとそう待たずに財前の声がして、体の力が抜けていく。
「もしもし」
『もしもし、おはよーございます』
「おはよう」
『起こしました?』
「や、大丈夫。電話もらっとったのにごめんやで」
『別に、大した用ちゃうんでええっすわ』
「あのさ、財前」
『なんすか』
「今日部活行くやんな?」
『行きますよ』
「ほな一緒に帰らん?」
『えー』
「嫌なんかい!傷つくわ!」
『謙也先輩うるさいし』
「俺うるさい?」
『少なくともテニス部の2年で一番うるさいの謙也先輩ちゃいますどこおっても声聞こえるわ』
「そんなことないで、白石もうるさいやん」
『部長のうるささとはちゃうやろ』
「ええやん、一緒に帰ろうや。あ、用あって電話してきたんちゃうん」
用件はわかっているくせに、白々しい自分のセリフに何となくにやついてしまう。ベッドを出て服を取り出しながら話していると、電話の向こうで財前が笑った気がした。
『散歩でもしません、って誘おうかと思ったんですけど』
「ええよ、行こうや」
『ほな……あ、あかんちょっと待って下さい』
「ん?」
財前の声が遠くなる。どうしたん、財前の声に泣きじゃくる子供の声が答えた。かろうじて聞き取れる光、の名前、それに優しく答える財前の声がかすかに聞こえる。
『大丈夫やって、怖ないから……はいはい、光がここにおるやろー、もう泣かんの。――謙也先輩?』
「あ、どうしたん?」
『すんません、甥っ子起こしてもーて、ぐずっとるんで出られませんわ」
「あ、うん、しゃーないな。小さいん?」
『3歳。散歩はまた今度で』
「うん。あっ……じゃあまた学校でな!」
『はーい。ほなまた』
ひかるぅ、幼い声を最後に通話は途切れ、Tシャツと携帯を握りしめたままクローゼットの前で立ち尽くす。拍子抜けしてTシャツを投げ、ベッドに戻ってタオルケットに潜り込んだ。今日の部活でも会えないなら、丸二日合わないことになる。

「なんやねん甥っ子って~」
兄がいる、ということは聞いたことがあった。甥っ子ってことは結婚しとるんや、つーか一緒に住んどるんや?起きなくてもいいのだから寝てしまえばいいのに、つらつらと考え事を続ける。たくさん話をした気になっても相変わらず財前のことをほとんど知らない。これやからうるさいって言われんのかな、溜息をついて携帯を見る。着信履歴に並ぶ財前の文字を見て、アドレス帳を開いてフルネームで登録し直した。財前光。大層な名前やな、思わず笑ってディスプレイを撫でた。ふとユウジが財前を名前で呼んでいたのを思い出す。光、口に出して見て恥ずかしくなる。
「……あー!」
じっとしていられなくなって立ち上がった。服を脱ぎ捨て、自主練用のジャージに着替える。散歩ではなく、ランニングのために家を出た。


*


ちゃんと学校で、って言うたし、財前もそれに返事したし、今日こそ大丈夫や。部室のドアの前で気合を入れて、いざドアを開けようとしたときひざかっくんをされてドアに前のめりに手をついた。誰やねん!笛いかえれば小春と腕を組んだユウジがニヤニヤしている。
「何しとんの謙也くん、気持ち悪いで。そんなにそのドアが好きなんか?」
「あーはいはい好きですよ!めっちゃキレーな色やんなあぁ、ドアノブの丸味なんか最高や!」
「アホや、アホがおる」
「ユウくん、あんましいじめたらあかんで」
「ほら、どかんかい変態、小春のお通りや」
しっしっと謙也を追い払い、ユウジ立ちは謙也より先に入っていく。顔をしかめてその後に続こうとして、ふと人の気配を感じて振り返った。そこにはイヤホンを外しかけている財前が立っていて、思わず肩を跳ね上げる。ちらと一瞬だけ上目で謙也を見たかと思えば、財前は踵を返して校舎の方へ向かっていった。
「……だから、何でやねん」
一瞬ためらった後、中に入ってロッカーに荷物を投げ入れる。その音に驚いた小春に何も言わずに部室を出て、財前を追った。マイペースに歩いていた財前にはすぐに追いつき、足音で気付いた財前は一度振り返って昇降口へ飛び込む。逃げる気なら、追うまでだ。判断するのは一瞬で、靴を履き替えるタイムロスを考えた後、教師に見つかった時のデメリットを考えて上靴に履き替える。少し離れている自分の下駄箱から顔を出したとき階段を駆け上がる財前の背中が見えた。

夏休みの校舎は意外と人が多い。あちこちで聞こえる部活動の掛け声や楽器の音の中、財前を追って走り続ける。難波のスピードスターを舐めるなっちゅー話や!階段を上がりきったところで財前を見失い、一度もう1階上への階段を覗いてから廊下へ視線を戻す。いちばん近い教室へ入ると入れ違いに前のドアから財前が出て行き、すぐさまそれを追った。人のいない廊下を全力で走り、途中で財前がバッグを投げ捨てる。それを飛び越えて更に追う。
乱れた自分の呼吸が耳元で聞こえる気がしてうっとうしい。朝も全力で走ったのに、妙に冷静な自分がつっこむも、謙也の足は止まらなかった。もう自分が発する音しか聞こえない。目に映る財前の背中を目に焼き付ける。はためく制服の下に見える赤いベルト、耳元で揺れるピアスまではっきり見える。滑るように階段を駆け下りて、また真っ直ぐな廊下だ。ここで捕まえる、確かな確認の元足を動かし、一気に距離を詰めて財前の腕を掴んだ。それは一瞬で振り払われたが、財前は足を止めてふらつく体を壁に預けた。そのままずるずるとリノリウムの床に座り込む。肩で息をするその後ろ姿を前に、謙也もただ呼吸を繰り返した。何をしているのだろう。ただ捕まえた、という漠然とした達成感がある。
こめかみから流れてくる汗をリストバンドで拭い、自分が何も考えていなかったことに気がついた。財前を捕まえて、どうするつもりだったのだろう。財前は何も言わない。

窓の外で蝉が突然鳴き出して、視線を送った財前の横顔はいつもの無表情だった。視線は鋭く、感情の出ない唇。ただ呼吸を繰り返す隙間は音を出さず、声を聞きたかったがどうせ何も話さないのだろうとわかってしまった。
「……なあ、俺、避けられる理由がまったくわからんのやけど」
横顔の視線が謙也を見る。はぁ、大きく息を吐いて財前はゆっくり立ち上がった。相変わらず背を向けられている。
「……俺のこと、考えてます?」
「は?」
「ちゃんと、俺のこと気にしてます?」
「……気にならんわけないやろ」
「ふーん」
一瞬笑った口元が見えた。
「ははっ、……あんたにつきあうん、しんどいわ」
前髪をかきあげて、財前は来た道を戻りだした。荷物を取りに行くのだろう。勢いづいて投げられたバッグの中身は無事だろうか、などと考える。
「財前」
後ろ姿は振り返らない。汗の浮いた背中を見た後、謙也は部室へ足を向ける。財前の言葉を繰り返し、途中でふと思い当った。気にしろってことか、一言呟いて、不快な汗をぬぐった。


 

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