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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.19.Wed
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2006'10.02.Mon
力いっぱい蹴り飛ばす。鍛えた足はボールを飛ばし、思いを込められたボールはゴールネットへ向かっていく。そしてネットを揺らし、────というほど簡単ではないからおもしろいのだけど。



昔から確かに読書は好きだったが、それ一本だったわけではない。学校が終わればランドセルを置いて外に飛び出し、日が落ちるまで走り回った。



やっぱりサッカーが一番面白かった。思うように操れるまで練習し続け、地元のチームでもFWだった。



前へ 前へ。

地を蹴り風を蹴り魂を蹴り、そうしてただ前へ。



武蔵森へ進学してからはそれこそサッカー一色で、練習、なんてものではなかった。努力────今まで感じたことがなかった苦しさだった。藤代なんて厄介な後輩に翻弄され、更に厄介な感情に振り回され。



────どこで間違えたのかはわからない。サッカーだけに打ち込むはずだったのだ。



隣で寝入る、その厄介な感情を蹴り落とした。うなって床で悶えるのを黙って見ていると、そのうちこっちを睨んでくる。



「……すまん」

「殺意を感じる……」

「そんなものあればとっくに殺してる」



この足で、蹴り殺せればどんなにいいか。離せない思いを抱えて今日も起き出す。
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2006'09.29.Fri
来る、と思った瞬間には殴られている。別に避けられないわけじゃない。そっちの方が早く済むからだ。



よろけた体を支えて、顔を伏せたまま耐える。口の中は切らなかった。上等だ。怒鳴る声のボリュームが落ちたと思えば、一緒に叩かれていた片耳がのびていたらしい。ゆっくり回復してくる。

こいついつか殴ってやろう。好き勝手に殴りやがって。



好きでやってる仕事だから文句は言わない。だからといっていつまでも耐えられるものでもなかった。そろそろ堪忍袋の緒も限界だ。



ご用改めである!階下で聞き慣れた声が聞こえた。俺を再び殴ろうとしていた男がうろたえる。その隙に俺が男を殴りつけた。乱暴な足音が駆け上がってくる。



「あーあ、山崎」

「遅いですよ。無駄に殴られたし」



入ってきた沖田隊長と俺を見比べ、潜入先の雇い主は混乱している。間抜けな顔、もう一発ぐらい殴りたい。そうする前に、すっと局長が現れた。



どれだけ殴られても構わない。俺たちは誇り高き野良犬だ。
2006'09.27.Wed
星と赤ん坊が手に手を取って踊っている。チップ・タック・ターン、チップ・タック・ターン。紛れもない幻覚だった。



窓の向こう、電車と同じ速度で社交ダンスと洒落込む彼らは、某映画で有名なクイックステップで目の前を維持して進んでいく。審査員に見せるように、駅で止まればリフトにターン。なめらかな手足が艶めかしい。



魔法使いが手に汗を握る戦いを繰り広げていても、彼らは踊りを止めなかった。BGMに合わない盆踊り、ご丁寧に地元の踊りで、思わず頭の中で踊ってしまう。何も映画館のスクリーンの前でやらなくてもいいじゃないか。



おっとブレイクダンス、激しいな。それよりも、教授の頭上でやるのやめてくれないかな。幻覚だってわかってても、その可哀想な頭が気になるじゃないか。ダンスに失敗して恥ずかしそうに笑ってみたり、なんだか可愛く思えてくる。



そういえばしばらく踊っていない。軽くステップを踏んでみる。顔を上げると星と赤ん坊は消えていた。
2006'08.30.Wed
しょせん、井の中の蛙だったわけで。



「ちょっと力があるぐらいで調子乗ってんじゃねぇぞ!」

「うるさいよ、負け犬の癖に」



好きに吠えてろ。

こっちはいらいらしているのだから、これ以上構わないでほしい。木刀を握り直して構えてやると、ようやく奴らは逃げ出した。



溜息を吐いて池まで歩く。神社の裏手にあるそこは小さな池がある。祭りの際に逃がされたと思われる金魚が泳いでいて、山崎はひとりになりたいときはここにきた。最近は特にくることが多い。



池を蛙が横切った。若葉の色の蛙は器用に水を掻き、縦横無尽に泳ぎ回る。



(…大海を知らず…)



ちょっとした手練だったのに。池の縁にしゃがみ込み、立てた木刀にすがって嘆く。



(……俺は弱かった)



江戸へあがる奴らがいるというから志願して加わって、そうしたら完全に下っ端だった。

夢見ていたのは未来。自分はしょせん子どもだったのだろう。道場の主であった近藤は勿論、荒っぽいが確実な強さの土方、それに自分よりも年下であるのに、周りの大人に負けない強い力と堂々としたたち振る舞いの沖田。



「あー…帰りたくねー」



水から上がった蛙が山崎を見つめた。指ではじいて水の中へ追い返す。
2006'08.28.Mon
自分の陰を追ってくるくる回る。尻尾の先も捕まらないのに。



「久しぶりだなぁ猫〜!」

「三上先輩素直に気持ち悪い」

「お前はかわいくねぇ」

「ありがたい感想どうも」



ふたりのやり取りを、水野は呆れて眺めている。

中等部の後輩が遊びに来て、その際に寮で飼っていた三上の猫を連れてきたらしい。名目上は寮母が自宅で飼っているということになっていたが、実際拾ってきたのは三上であり、卒業するまでの餌代や、今日使ったキャリーなどの購入費用も三上から出ている。



「ねぇ水野、気持ち悪いよね」

「……ノーコメント」

「思ってるね」



三上の部屋では中西がごにょごにょしている、だとかで、猫は笠井の部屋に連れてこられていた。言葉通りの猫可愛がり、正直に言えば気持ち悪い。



三上はおみやげ、と藤代がぶっちぎってきた猫じゃらしで遊んでいる。あの人、気の毒だよね、誰も遊んでくれないから猫が遊んであげてるんだよ。賢い猫。堂々とした陰口を三上は無視している。



猫じゃらしをくるくる回している間に猫はヒートアップする。反射スピードが早くなるのと同時に、なんだかわからなくなってしまったらしい。自分の尻尾にじゃれ始め、それを追って回り出す。



「…バカな奴」

「…猫なんてこんなもんだよ」

「俺の猫はバカじゃねぇだろ」

「あ、すいませんバカは三上先輩でした」

「はいはいバカで結構」



部屋を出ていくタイミングを失ったな。水野は後悔する。しかしこの部屋にふたりを残すのは嫌だった。何をしているのか考えたくもない。



「俺は…昔はもっと、自信があったのに」

「…自信持ったお前なんか、怖いだけだ」



猫が尻尾を捕まえた。
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