言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2008'06.01.Sun
でも長い。
男を好きだった時期があった。完全に気の迷いだったな、と今では思う。ついでにただの猿だった。相手が男でも何でも、好きな人とセックスがしたかった。セックスなんて好きじゃなくてもできると知るのはもう少し先だ。
「うお、ふらふら」
少し酒を入れすぎたのは、動揺させられたからだ。いつもいつも、ずるい。
今ではもう仁王に気持ちなんて残っていない。そもそも仁王から発せられていたラブ光線に惑わされてただけ感があるから、仁王が離れていれば当然かもしれない。
セックスをしようとした。よく覚えてないけど、クラスの女子が仁王を誉めてんのとか、テニスとか、いらつくことばかりだったから。今思えば失敗してよかったんだろう、この俺が男ほしさに襲った挙げ句逆レイプなんてありえない。未遂で済んでよかった。フェラは何回もしたけど。思春期の猿はしょうがない生き物だ。
かわいい彼女に連絡して迎えに来てもらおうかな、なんて一瞬考えて、自己嫌悪に襲われてたどり着いた駅の壁際に寄りかかって休む。
仁王の存在はでかい。今彼女に会ったら比べてしまうだけだ。仁王の方が好きってわけじゃないけど。初めてしたセックスの相手はもちろん女の子で、だけど最中に思い出したのは眠る仁王にフェラしたときに漏らした甘い快楽に酔った声だった。なんでセックスができないぐらいで別れちまったんだろう、今更思ったって遅いけど。それ以外に、愛の形がわからなかったんだ、なんてかっこつけることもできるのかな。仁王は許してくれそうだ。
――仁王がまだ俺のことが好きだと言ったって、俺は戻る気はさらさらない。でもあの優しい声やあたたかい胸は、今でもときどき恋しくなる。誰かに抱きしめてもらいたいと思うとき、その誰かは仁王だ。
好きだよ、だなんて、どんな気持ちで今も引きずっているのだろう。あんなナリだし優しいから女なんて選り取りみどりだろうと思うのに、まさかセックスが気持ち悪いから彼女を作らないなんて誰が想像つくだろう。
今になれば仁王に悪いことをしたと思う。俺がしたいと言うから仁王はしようとしてくれて、俺だけでも気持ちよくさせてくれた。抱きしめて俺が触ってほしいところを触ってくれた。はっきり言ってほんとに気持ちよくて、しばらくオナニーじゃイけなくなった。
今の彼女があまりセックスが好きじゃない。それでも俺がしたいと言えばさせてくれるけど、しょうがないと思ってるらしい。それが少しだけ残念で、仁王を思い出す。多分辛いことをさせていた。俺ばっかりが辛いふりをして。子どもだったからとごまかすつもりはないけど。
ああ、仁王のことばかり考えてる。俺はいつも都合のいいことばかり言って、ずるいやつだ。だって仁王のせいなんだから仕方ないだろ。携帯に電話をかけると仁王はすぐに出て、場所だけ言って来いとも言わなかったのに黙って切れてすぐに来た。ばかだな、俺もお前も。
「うわ、べろべろ。財布はちゃんとあるじゃろうな、どっかに落としてない?」
「あるある。送って」
「サイテーな男やね」
「そう。いい男だろ」
「そうやね」
仁王は笑った。かすかに煙草の匂い。車に向かうと運転席のそばに長い吸い殻が落ちていた。ひと口だけ吸ったような。
そうやって動揺を隠してまで、どうして来るんだろう。俺がさっきから考えてることを、仁王が気づいてないとは思えない。わかってるんだろ、と聞いてやりたい。俺は、セックスしようって誘ってるんだぜ。
「どちらまで?」
「仁王んち」
「……しゃーないね」
わざと後部座席に乗って横になる。ふわふわした体は車の振動に従って揺れた。迷っているふりをしてもほとんど決めている。俺はまた仁王につけ込んで、今度こそセックスをしようとしている。言葉を信じるなら、まだ誰ともセックスをしていない仁王と。
「最近テニスしとる?」
「してるよー、うちの大学、テニス部結構強いんだぜぃ」
「ああ、そっか。気分は?悪くない?」
「大丈夫、頭ふらつくだけ」
「そう。チンコは立ちそう?」
「……お前次第かな」
ギッ、とサイドブレーキが引かれた。エンジンが止まる。ライターの音、ドアが開いて流れ込む風が煙草の匂いを運んできた。大人になるとはどういうことなのか、よくわからない。
「ちょっと寝ときんしゃい。後で家まで送ったる」
「仁王」
「もう大人なんやから、アホなこと考えなさんな。車なんか簡単に乗ったらあかんよ、相手のテリトリーなんやから」
「……お前は俺とセックスしたくないの」
「したい」
「仁王」
「酔っ払いとはしない。酔ってなくてもしない。彼女いなくてもしない」
「何で」
仁王は答えなかった。今運転席に手を伸ばしてその首に腕を絡めて、耳に息でも吹きかけてやれば一発で落ちる気がする。どうしてやろうか、考えていると仁王は車から降りてしまった。そうかと思えば足元のドアから入ってくる。狭い。
「丸井さん」
「何」
「お金払ってもええ?」
「……サイテーだ」
「思い出金で買わせてよ」
「きったねえ思い出だな」
――5年前のセックスをやり直した帰り道、俺の手元には財布がふたつあった。もう仁王には会いたくないなと思いながら、彼女に指輪でも買おうかと考えていた。サイテーなのはどっちだろう。思春期のばかはサイテーなばかになってしまった。体のあちこちが痛い。よくわからない。気持ちよかったのかも思い出せない。夢中だった。
もう仁王は好きだと言わない。女とふたりで、手をつないで歩いているのを見かけたことがある。セックスが終わった後の仁王の言葉を思い出して、少しさみしくなった。
「こんなんじゃなくて、丸井が追いかけて出てきてくれたら、嬉しかったのに」
ばかばっかりだよな。あのとき追いかけようかと思ってやめた自分が正しかったのかどうか、答えは見つからない。少なくとも、あんなひどいセックスはしなかっただろう。
ドアや天井に頭や手足をぶつけながら、そのたびにこらえきれずに笑って、そんなカッコ悪いセックスをしても、仁王は興奮していて色っぽくてうっかり中出しされた。あんなセックスは二度としない。
俺も好きだったよ、雅治。
「うお、ふらふら」
少し酒を入れすぎたのは、動揺させられたからだ。いつもいつも、ずるい。
今ではもう仁王に気持ちなんて残っていない。そもそも仁王から発せられていたラブ光線に惑わされてただけ感があるから、仁王が離れていれば当然かもしれない。
セックスをしようとした。よく覚えてないけど、クラスの女子が仁王を誉めてんのとか、テニスとか、いらつくことばかりだったから。今思えば失敗してよかったんだろう、この俺が男ほしさに襲った挙げ句逆レイプなんてありえない。未遂で済んでよかった。フェラは何回もしたけど。思春期の猿はしょうがない生き物だ。
かわいい彼女に連絡して迎えに来てもらおうかな、なんて一瞬考えて、自己嫌悪に襲われてたどり着いた駅の壁際に寄りかかって休む。
仁王の存在はでかい。今彼女に会ったら比べてしまうだけだ。仁王の方が好きってわけじゃないけど。初めてしたセックスの相手はもちろん女の子で、だけど最中に思い出したのは眠る仁王にフェラしたときに漏らした甘い快楽に酔った声だった。なんでセックスができないぐらいで別れちまったんだろう、今更思ったって遅いけど。それ以外に、愛の形がわからなかったんだ、なんてかっこつけることもできるのかな。仁王は許してくれそうだ。
――仁王がまだ俺のことが好きだと言ったって、俺は戻る気はさらさらない。でもあの優しい声やあたたかい胸は、今でもときどき恋しくなる。誰かに抱きしめてもらいたいと思うとき、その誰かは仁王だ。
好きだよ、だなんて、どんな気持ちで今も引きずっているのだろう。あんなナリだし優しいから女なんて選り取りみどりだろうと思うのに、まさかセックスが気持ち悪いから彼女を作らないなんて誰が想像つくだろう。
今になれば仁王に悪いことをしたと思う。俺がしたいと言うから仁王はしようとしてくれて、俺だけでも気持ちよくさせてくれた。抱きしめて俺が触ってほしいところを触ってくれた。はっきり言ってほんとに気持ちよくて、しばらくオナニーじゃイけなくなった。
今の彼女があまりセックスが好きじゃない。それでも俺がしたいと言えばさせてくれるけど、しょうがないと思ってるらしい。それが少しだけ残念で、仁王を思い出す。多分辛いことをさせていた。俺ばっかりが辛いふりをして。子どもだったからとごまかすつもりはないけど。
ああ、仁王のことばかり考えてる。俺はいつも都合のいいことばかり言って、ずるいやつだ。だって仁王のせいなんだから仕方ないだろ。携帯に電話をかけると仁王はすぐに出て、場所だけ言って来いとも言わなかったのに黙って切れてすぐに来た。ばかだな、俺もお前も。
「うわ、べろべろ。財布はちゃんとあるじゃろうな、どっかに落としてない?」
「あるある。送って」
「サイテーな男やね」
「そう。いい男だろ」
「そうやね」
仁王は笑った。かすかに煙草の匂い。車に向かうと運転席のそばに長い吸い殻が落ちていた。ひと口だけ吸ったような。
そうやって動揺を隠してまで、どうして来るんだろう。俺がさっきから考えてることを、仁王が気づいてないとは思えない。わかってるんだろ、と聞いてやりたい。俺は、セックスしようって誘ってるんだぜ。
「どちらまで?」
「仁王んち」
「……しゃーないね」
わざと後部座席に乗って横になる。ふわふわした体は車の振動に従って揺れた。迷っているふりをしてもほとんど決めている。俺はまた仁王につけ込んで、今度こそセックスをしようとしている。言葉を信じるなら、まだ誰ともセックスをしていない仁王と。
「最近テニスしとる?」
「してるよー、うちの大学、テニス部結構強いんだぜぃ」
「ああ、そっか。気分は?悪くない?」
「大丈夫、頭ふらつくだけ」
「そう。チンコは立ちそう?」
「……お前次第かな」
ギッ、とサイドブレーキが引かれた。エンジンが止まる。ライターの音、ドアが開いて流れ込む風が煙草の匂いを運んできた。大人になるとはどういうことなのか、よくわからない。
「ちょっと寝ときんしゃい。後で家まで送ったる」
「仁王」
「もう大人なんやから、アホなこと考えなさんな。車なんか簡単に乗ったらあかんよ、相手のテリトリーなんやから」
「……お前は俺とセックスしたくないの」
「したい」
「仁王」
「酔っ払いとはしない。酔ってなくてもしない。彼女いなくてもしない」
「何で」
仁王は答えなかった。今運転席に手を伸ばしてその首に腕を絡めて、耳に息でも吹きかけてやれば一発で落ちる気がする。どうしてやろうか、考えていると仁王は車から降りてしまった。そうかと思えば足元のドアから入ってくる。狭い。
「丸井さん」
「何」
「お金払ってもええ?」
「……サイテーだ」
「思い出金で買わせてよ」
「きったねえ思い出だな」
――5年前のセックスをやり直した帰り道、俺の手元には財布がふたつあった。もう仁王には会いたくないなと思いながら、彼女に指輪でも買おうかと考えていた。サイテーなのはどっちだろう。思春期のばかはサイテーなばかになってしまった。体のあちこちが痛い。よくわからない。気持ちよかったのかも思い出せない。夢中だった。
もう仁王は好きだと言わない。女とふたりで、手をつないで歩いているのを見かけたことがある。セックスが終わった後の仁王の言葉を思い出して、少しさみしくなった。
「こんなんじゃなくて、丸井が追いかけて出てきてくれたら、嬉しかったのに」
ばかばっかりだよな。あのとき追いかけようかと思ってやめた自分が正しかったのかどうか、答えは見つからない。少なくとも、あんなひどいセックスはしなかっただろう。
ドアや天井に頭や手足をぶつけながら、そのたびにこらえきれずに笑って、そんなカッコ悪いセックスをしても、仁王は興奮していて色っぽくてうっかり中出しされた。あんなセックスは二度としない。
俺も好きだったよ、雅治。
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