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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.19.Sun
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2008'11.17.Mon
におぶんちゃんの夜バス旅行。

まあ、自分が夜バスに乗っていたので。別のネタで考えてたんだけど例によって雲行きが怪しくなってきたのでやめました。

高速バス、ひとりで乗ったことある方はおわかりでしょうが、あの長い時間隣に全く知らない人がいるというのはなかなか特殊ですね。近いなんてもんじゃないもんね。におぶんちゃんの距離のイメージはあんな感じです。あ、4列シートでね。さなにおで夜バスだったら間違いなく3列シートですね。隔たりがあるの。

なんでパーキングのご飯はあんなにおいしそうに見えるのだろう……

ほんとにいつも拍手ありがとうございます!
当分更新はできませんがまた年末には戻ってきますので!それまでは気持ち悪い日記で勘弁を。





11月

 


がくん、と頭が落ちて意識が引っ張り出される。マイクでのアナウンスがおぼろげに聞こえてくるが理解できない。寝返りをうとうとするのに体がうまく動かず、思わずうなると誰かに肩を叩かれた。ブンちゃん、潜められた声で名前を呼ばれて目を開ける。
 

「おしっこない?」
「……あ?……あ~……」
 

そうだ、バスの中だった。隣に座っていた仁王がまぶしくて目を細めながら、前方に表示されているデジタル時計で時間を見る。深夜の1時、窓の外が明るいのはトイレ休憩のためのパーキングエリアに到着したからだろう。頭をかいて、お前は、と聞くと迷わず降りると返事が返ってくる。
 

「歯ァ磨きたい」
「あー、俺も」
「足元気ィつけてね」
 

通路側の仁王は先にバスを降りた。棚の上に上げてしまった荷物から歯ブラシとタオルを取って後を追う。外に出ると一瞬で頭が覚醒する寒さに襲われて、ちゃっかりジャケットを着ていた仁王にあきれた顔をされた。バスの中でブランケットとジャケットにくるまっていたせいもあり、深夜の気温は寒い。それでも取りに行くのも面倒で、仁王を蹴り飛ばしてトイレへ向かう。
 

仁王と二人で旅行をする日がくるとは思っていなかった。目が慣れないせいか明るすぎるトイレで用を済ませて洗面所で歯を磨く。出発してからそう長い時間でもなかったが、思いがけず深く眠ってしまった。動くと足のむくみや体の軋みがわかる。あと何時間と乗り続けることなんてできるのだろうか。横で同様に歯を磨く仁王を見た。緩いワークパンツにTシャツにダウンジャケットという姿で、旅行というからには思わず服装に悩んでしまった丸井に対していつも以上に緩すぎる。それはこのバスに備えてのものだったのだろう。経験しているのなら色々アドバイスがあってもよさそうなものなのに。
 

夜行バスを使った貧乏旅行。お金だけの問題じゃない、時間がもったいないのだ。わずかな時間で満喫しなければ。せっかく、ふたりきりなのに。結局夜行バスの車内で話をすることはできないが、隣に仁王がいるだけで安心してしまう。自分の簡単さに呆れてしまい、絶対に仁王には伝わらないようにしなければならないと心に決める。
 

出発までの残り時間におみやげ物などをひやかしていると心奪われるものばかりで、まだ早いよ、とたしなめられてもう一度蹴ってやった。そんなことぐらいわかってる。飲み物だけ買ってバスに戻った。
 

「寝れそう?さっきはぐっすりやったけど」
「多分。足元広いから思ってたより楽だし」
「あ、ブンちゃんそのまんまか。そっちにレバーあるから、ちょっと倒すと楽んなるよ」
 

仁王が後ろの座席に声をかけ、それを受けて軽く背もたれを倒す。完全に横になることはできないが確かに少し楽だ。ブランケットやジャケットで布団を作って丸くなる。点呼に来た運転手を見てなんとなく開きかけた口を閉じた。
 

「窓側寒かったら次の休憩でかわろか」
「大丈夫」
 

ふつりと照明が落とされ、あちこちの席で交わされていた会話は波のように引いていく。分厚いカーテンで締め切られた車内はほとんど真っ暗だ。隣の仁王も見えない。
 

手をどこに置こうか迷ってごそごそしているとジャケットとの隙間から冷たい空気が入った。それを防ごうとしたときに仁王の手が入ってきたのだと、体温に触れて気づく。そのまま手を捕まえられて、冷たい手を握った。次のパーキングにもしあるのなら、カイロぐらい買ってやろうと思う。キイ、と隣のシートが軋んだ音を立てた。
 

空気の眠る車内で仁王のキスを受けて、ひとりだけ体が熱くなった。すぐに顔をそらしてしまったが手を強く握り返す。
仁王に任せた旅行の詳しい行き先までは丸井も知らない。もうどこへだって連れて行かれても構わないと思っていることに驚いて、睡魔を取り戻すのに苦労する丸井をよそにバスは夜道を走っていく。隣の寝息がただ憎らしかった。

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