言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2007'12.12.Wed
「……何してんのあんたァァァ!」
叫んだ瞬間に山崎は沖田をひっつかんだ。そのまま一目散に場から逃げ出す。世にもおぞましい女装メイドも見目麗しい浴衣美人も素人メイキャップのドラキュラも突き飛ばし、こんなお祭り騒ぎの日でも――だからこそと言うべきか――一応立ち入り禁止とされている屋上まで、一気に走り抜けた。
人いきれから抜け出して、掴んだままの沖田を振り返る。さすがに髪を乱してはいるが涼しい顔だ。――確かに、沖田だ。山崎は改めて叫ぶ。
「何してんすか!」
「いやーこんな騒ぎだったらバレねえかなと」
「だったら仮装でもしたらどうですか!」
「ああ!」
「……あーもう……疲れた……」
体の力が抜けてフェンスに体を預けた。模擬店のテントと人間でひしめき合っているグランドを見下ろす。
――今日は文化祭。ひと月の準備期間を経て開催となった当日は、今のところ問題もなく過ぎている。いや、今まではと言うべきか……山崎は沖田を見た。一昨日だ、彼が自宅謹慎を食らったのは。会う機会がなかったので詳しい話は聞いていないが、前日準備に費やした昨日を含め、バッチリ文化祭期間、外出禁止のはずである。
「何しに来たんすか〜」
「んー、……なんつーか、最後だし」
「……最後の文化祭前に問題起こしたのは誰ですか」
「俺」
「まったく……」
「あーあ!ダンス練習したのに!」
沖田が見ている先は後夜祭のためのスペースで、昼間は解放されていたが夕方になってからは人払いされている。各クラス・部活・有志の練習と同時進行で、体育などを活用して練習していたフォークダンス。夜にはあの場所で自由参加でフォークダンスが行われる。会場整備をしているのは土方だろうか。
「……誰か踊りたい人でもいたんですか」
「別に。堂々と女触れりゃ上等でィ」
「うっわ!あんた最低、謹慎して正解」
「何人かに誘われてたんだけどなー」
溜息をつく沖田を見て山崎も溜息をつく。黙っていれば男に惚れられてもおかしくないぐらいきれいな顔をしているくせに、腹の中は真っ黒だ。一体どんな悪さをしたのか聞きたくはない。
「俺と、踊りますか」
「は?」
「ここで」
「うっわ、最低な思い出じゃねえか」
山崎を見た沖田は露骨に嫌そうな顔をした。今更そんなことでは傷つかない。
「俺どうせ女役にされてましたから、いいですよ」
「なんでぇ、あ、お前生徒会にこき使われてたもんな」
男子指導として女子サイドも覚えさせられた。今日も参加人数次第で強制的に入れられるだろう。
「せっかく練習したらな、気分だけでも。んで、見つからないうちにさっさと帰って下さい」
手を取って自分の腰に運び、もう一方をつないで持ち上げる。表情を伺って笑いかけると諦めたように溜息をついた。リズムをとって足を動かすと、思いがけず沖田も合わせて動く。口だけではなかったらしくエスコートもしっかりしていた。何を考えているのかわからない沖田を見ながら、足だけは機械的ともいえるほど正確にステップを踏む。
調子に乗って鼻歌さえ歌い出した頃、不意に沖田が口を開く。山崎、名前を呼ばれた拍子に足が絡まり、よろけたのを沖田が支えた。まるで決めポーズのような体勢で、沖田がのぞき込んでくる。
「沖田さん?」
顔が近い、思った瞬間には唇が触れている。ぎょっと目を見開き、フリーズした山崎を手放して沖田が屋上を飛び出していく。
「……やられた!」
叫んだ瞬間に山崎は沖田をひっつかんだ。そのまま一目散に場から逃げ出す。世にもおぞましい女装メイドも見目麗しい浴衣美人も素人メイキャップのドラキュラも突き飛ばし、こんなお祭り騒ぎの日でも――だからこそと言うべきか――一応立ち入り禁止とされている屋上まで、一気に走り抜けた。
人いきれから抜け出して、掴んだままの沖田を振り返る。さすがに髪を乱してはいるが涼しい顔だ。――確かに、沖田だ。山崎は改めて叫ぶ。
「何してんすか!」
「いやーこんな騒ぎだったらバレねえかなと」
「だったら仮装でもしたらどうですか!」
「ああ!」
「……あーもう……疲れた……」
体の力が抜けてフェンスに体を預けた。模擬店のテントと人間でひしめき合っているグランドを見下ろす。
――今日は文化祭。ひと月の準備期間を経て開催となった当日は、今のところ問題もなく過ぎている。いや、今まではと言うべきか……山崎は沖田を見た。一昨日だ、彼が自宅謹慎を食らったのは。会う機会がなかったので詳しい話は聞いていないが、前日準備に費やした昨日を含め、バッチリ文化祭期間、外出禁止のはずである。
「何しに来たんすか〜」
「んー、……なんつーか、最後だし」
「……最後の文化祭前に問題起こしたのは誰ですか」
「俺」
「まったく……」
「あーあ!ダンス練習したのに!」
沖田が見ている先は後夜祭のためのスペースで、昼間は解放されていたが夕方になってからは人払いされている。各クラス・部活・有志の練習と同時進行で、体育などを活用して練習していたフォークダンス。夜にはあの場所で自由参加でフォークダンスが行われる。会場整備をしているのは土方だろうか。
「……誰か踊りたい人でもいたんですか」
「別に。堂々と女触れりゃ上等でィ」
「うっわ!あんた最低、謹慎して正解」
「何人かに誘われてたんだけどなー」
溜息をつく沖田を見て山崎も溜息をつく。黙っていれば男に惚れられてもおかしくないぐらいきれいな顔をしているくせに、腹の中は真っ黒だ。一体どんな悪さをしたのか聞きたくはない。
「俺と、踊りますか」
「は?」
「ここで」
「うっわ、最低な思い出じゃねえか」
山崎を見た沖田は露骨に嫌そうな顔をした。今更そんなことでは傷つかない。
「俺どうせ女役にされてましたから、いいですよ」
「なんでぇ、あ、お前生徒会にこき使われてたもんな」
男子指導として女子サイドも覚えさせられた。今日も参加人数次第で強制的に入れられるだろう。
「せっかく練習したらな、気分だけでも。んで、見つからないうちにさっさと帰って下さい」
手を取って自分の腰に運び、もう一方をつないで持ち上げる。表情を伺って笑いかけると諦めたように溜息をついた。リズムをとって足を動かすと、思いがけず沖田も合わせて動く。口だけではなかったらしくエスコートもしっかりしていた。何を考えているのかわからない沖田を見ながら、足だけは機械的ともいえるほど正確にステップを踏む。
調子に乗って鼻歌さえ歌い出した頃、不意に沖田が口を開く。山崎、名前を呼ばれた拍子に足が絡まり、よろけたのを沖田が支えた。まるで決めポーズのような体勢で、沖田がのぞき込んでくる。
「沖田さん?」
顔が近い、思った瞬間には唇が触れている。ぎょっと目を見開き、フリーズした山崎を手放して沖田が屋上を飛び出していく。
「……やられた!」
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