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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.19.Wed
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2007'03.10.Sat
つい先日同じ格好で犯されていた。そんなことを思い出してしまって、一気に悔しさだとか悲しさだとか、そんな感情が吹き飛んだ。



両手両膝をグランドについて、ゆっくり顔を上げると勝利を逃したチームメイトはみんなそれぞれそれらしい顔をしている。自分と同じように膝をつくもの、頭を抱えるもの、涙を流すもの。探した人は、我らがキャプテンと肩を組んでいた。泣いているのだろう。



「負けちゃったなあ」

「────誠二は泣くようなキャラじゃないかあ」

「期待した?」

「ちょっとね」

「タクこそ泣かないんだね」

「……こないだ、泣かされたからね」



先日の夜、泣き出した俺を慰めるでもなく優しく抱いて、壊れ物のように触れる癖に俺の顔を見なかった。四つんばいになって快感にわけがわからなくなりながら、何が悲しいのかもわからなくなりながら泣いていた。



「──なんかむらむらしてきたなあ」

「……タクって変態だよねえ」

「最後って、気がしない」

「……」



地面に落ちた涙がはじける。獣の俺のそばにしゃがんで、誠二が黙って頭を撫でた。
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2007'03.08.Thu
幼なじみが死んだ。交通事故でぐしゃっと一発、かなり悲惨な死に方だったが本人は至って呑気だ。人の気も知らないで、隣で逆立ちに励んでいる。



「じゃーん!見て見て!逆立ち!」

「はいはい……」

「ちゃんと見てよ〜」

「……」



この、猫の手も借りたいほど忙しいときにこいつは何をやっているのだ。溜息をついてもそいつの顔は足元にあるので気づかなかったらしい。

目の前で揺れる、透き通った2本の大根足。



「幽霊なんだから大人しくその見苦しい足しまったら?」

「足だけの幽霊いるらしいし、足がある幽霊がいてもいいんじゃない?」

「ウザいっつってんの」

「だって逆立ちできるんだよ〜」



ほらほら!逆立ちした手でくるくるとその場で回転する。逆立ちと言っても重力はかからないので髪も服も、そのだらしない腹周りの脂肪も垂れてはいないから奇妙な姿だ。



「……そんなに元気なら、香典調べるの手伝ってほしいぐらいだわ」

「猫の手の方がよっぽど役に立つんじゃない?」

「死んでも役に立たないデブね」

「いや、きっと役には立ったよ。ニートの割合を下げた」

「あんたひとり死んだぐらいで変わるもんですか」



それを笑い飛ばして、逆立ちのまま彼は部屋の中をうろうろする。彼が人生のほとんどを、それこそ────中学の頃にいじめられてから、必要最低限の生活のために出る以外はずっと住み着いていた部屋を。



彼は物心ついた頃から『名探偵コナン』のげんたくんのような体型をしていた。私たちの……私の通った中学では体育の時間、準備体操に逆立ちが組み込まれていた。ふたりペアでやるものだが、そんな立派な体格の彼にペアがいたはずもなく、教師も暗黙のうちに彼が逆立ちをしていなくとも気づかないふりを決め込んでいた。

それなのにある日いきなり逆立ちができないことを理由にしたいじめが始まったのだ。幽霊になるまで逆立ちをしてみようとしなかったほどの臆病者が、それに勝てるはずもない。



「……私は逆立ちしてもあんたにはかなわないわ」

「なんで?」

「私が誰を好きだってことにも気づかないまま死んでしまった愚か者には関係ない話よ」
2007'02.22.Thu
「おとといきやがれ!」



女の悲鳴が聞こえて慌ててそっちへ走る。幾人かの女たちを前に沖田がふんぞり返っていて、彼女たちの不満の表情に慌てて間に割り込んだ。私服の沖田は隊士に見えないため、女たちは下っ端に偉そうな態度を取られたと思っているのだろう。しかし実際は隊内で1、2を争う実力の持ち主であるから、彼を怒らせては無傷で帰れない者が出てもおかしくない。



「やあやあ姉さん方、今日はいつもよりぐっと別嬪だねえ。こんなむさ苦しいところに何の用ですかい、品位が落ちちまいますぜ」

「トシいるんでしょ、呼んできてちょうだい!」

「おや、副長にご用で?悪いけど今は市中見廻り中なんですよお、お帰りはお店へ寄るとおっしゃってましたよ。早く帰らないとすれ違いになるかもしれない」



暴れようとする沖田を抑え込むのと同時に恐ろしい姉さん方を追い返す。

隊切っての色男・土方にこんな客は多い。そのたびに誰かしらこんな被害を受けるので、基本的には山崎が相手にすることにしている。



「お前はあの助平甘やかしすぎだ!」

「俺は音便に済ませたいんです」

「どいつもこいつもペコペコしやがってよお、副長様がそんなに偉いかっつの」

「……あんたの態度の方がえらせそうですよ」

「あ?」

「何でもないです」



怒りながら彼が行ってしまってからも、脳裏にはふんぞり返った沖田のイメージが残る。山崎はどっしりと重い溜息を吐き出した。



「どいつもこいつも、ふんぞり返ってりゃいいんだから楽ですよね」



人の気も知らないで。苦労人は溜息を吐いた。
2007'02.10.Sat
愛しいあなたを見つけた瞬間、ワタシの頭はあなたでいっぱいになってしまうのヨ!



「うっ!」

「……あれ?辰巳?」

「……」



口を押さえた愛しい人は黙って中西を突き放し、背中で拒絶を語る。大丈夫?と寄り添えばまた押し返された。



「とびかかってくるなと何度言えばわかるんだ…」

「とびかかってるんじゃないわよお、愛が溢れちゃっただけ」

「愛情表現なら穏やかにしてくれ」

「照れないの!」

「……」



何度目かの説得を早々に諦め、辰巳は溜息を吐いてさっきの衝撃で落とした本を拾った。本はそのまま開かない。



「どうしたんだ」

「何が?」

「こうしてくるときは何かあるだろ」

「……ん〜」



そうでもない、とは言いにくい。やっぱりこいつ、俺のことわかってるふりだけしてるなあ、それでも好きだって、愚かだ。考えていると心配そうな顔をされてしまった。



おかげでどんどん嘘がうまくなる。俺なりの愛し方だから、許してね。



「   」
2007'02.06.Tue
ふっと目を覚ますと顔をの横に人が座っていた。悲鳴を上げそうになるのをその人物が押さえ込む。泣きそうになっていると俺ですよ、と静かな声がした。冷静になってみると山崎だ。おどかしやがって、と照れ隠しをしてみるものの、山崎が平静すぎて何も言えなくなる。



「今日ぐらいは、甘えてもいいんですかね……」

「は?」

「誕生日なんですよ」

「……いいんじゃねえの」

「では失礼して」



布団にもぐりこんでくる山崎を大人しく受け入れる。何もしないでいると腕の間に入ってきた。いつからそうしていたのか知らないが、体がすっかり冷えている。



「……ちょっと待て、今日ってどっちだ?」

「あー、昨日かもしれないです」

「そうか……」



肩を抱いてやると丸くなった。ときどき子どもみたいになるこの男は、今年で幾つなのだろう。しかし何をするでもなく眠る体勢に入っている山崎は、もう寝ているのかどうか判断できずに声をかけられない。寝て乱れた胸を山崎の髪がくすぐる。一緒に寝ることは珍しい。自分から言い出したとなれば、それは確かに甘えていることになるだろう。幼い頃に父親を亡くしてから母は働きづめで、こうして誰かと一緒に寝たことはあまりないといつか呟いたことがある。



「……副長、寝ました?」

「いや」

「土方さん、俺ァ、……何か、言おうと思って忘れてしまった」

「思い出すまで待つ」

「……甘やかされちまうなあ」

「簡単な奴だなあ」



何もできなくて抱きしめてやる。動物的な仕草で甘えてくる山崎を、時々本当に動物扱いしてはいないか心配になる。誰かを甘やかした経験がないのはこちらも同じだ。どうすることが甘やかしてやることなんだろう。優しく、こうしているだけでいいのか自信がない。

不器用だ。自分も山崎も、そんな言葉で片付けられればいいのに。

不意に山崎がむくりと顔を上げる。見下ろされて髪が土方の頬を撫でたかと思うと唇に触れてくる。まぶたと額に続いて触れた。



「……なんもしないんですか」

「してほしいのかよ」

「甘えに来てるんだから大人しく甘やかしてくれればいいんですよ」

「……じゃあお望み通り、大人しく甘やかされてろよ」



馬鹿だな。お互いをあざ笑いながら、起き上がって山崎を布団に押し付ける。可愛いとか、守ってやりたいとか、そういう生き物じゃない。相手は成人した男だし、自分の身も守れないほど弱くない。

それでも、それでも。欲しいと思うのは何故だろう。
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