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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2007'02.06.Tue
ふっと目を覚ますと顔をの横に人が座っていた。悲鳴を上げそうになるのをその人物が押さえ込む。泣きそうになっていると俺ですよ、と静かな声がした。冷静になってみると山崎だ。おどかしやがって、と照れ隠しをしてみるものの、山崎が平静すぎて何も言えなくなる。



「今日ぐらいは、甘えてもいいんですかね……」

「は?」

「誕生日なんですよ」

「……いいんじゃねえの」

「では失礼して」



布団にもぐりこんでくる山崎を大人しく受け入れる。何もしないでいると腕の間に入ってきた。いつからそうしていたのか知らないが、体がすっかり冷えている。



「……ちょっと待て、今日ってどっちだ?」

「あー、昨日かもしれないです」

「そうか……」



肩を抱いてやると丸くなった。ときどき子どもみたいになるこの男は、今年で幾つなのだろう。しかし何をするでもなく眠る体勢に入っている山崎は、もう寝ているのかどうか判断できずに声をかけられない。寝て乱れた胸を山崎の髪がくすぐる。一緒に寝ることは珍しい。自分から言い出したとなれば、それは確かに甘えていることになるだろう。幼い頃に父親を亡くしてから母は働きづめで、こうして誰かと一緒に寝たことはあまりないといつか呟いたことがある。



「……副長、寝ました?」

「いや」

「土方さん、俺ァ、……何か、言おうと思って忘れてしまった」

「思い出すまで待つ」

「……甘やかされちまうなあ」

「簡単な奴だなあ」



何もできなくて抱きしめてやる。動物的な仕草で甘えてくる山崎を、時々本当に動物扱いしてはいないか心配になる。誰かを甘やかした経験がないのはこちらも同じだ。どうすることが甘やかしてやることなんだろう。優しく、こうしているだけでいいのか自信がない。

不器用だ。自分も山崎も、そんな言葉で片付けられればいいのに。

不意に山崎がむくりと顔を上げる。見下ろされて髪が土方の頬を撫でたかと思うと唇に触れてくる。まぶたと額に続いて触れた。



「……なんもしないんですか」

「してほしいのかよ」

「甘えに来てるんだから大人しく甘やかしてくれればいいんですよ」

「……じゃあお望み通り、大人しく甘やかされてろよ」



馬鹿だな。お互いをあざ笑いながら、起き上がって山崎を布団に押し付ける。可愛いとか、守ってやりたいとか、そういう生き物じゃない。相手は成人した男だし、自分の身も守れないほど弱くない。

それでも、それでも。欲しいと思うのは何故だろう。
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