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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2007'03.08.Thu
幼なじみが死んだ。交通事故でぐしゃっと一発、かなり悲惨な死に方だったが本人は至って呑気だ。人の気も知らないで、隣で逆立ちに励んでいる。



「じゃーん!見て見て!逆立ち!」

「はいはい……」

「ちゃんと見てよ〜」

「……」



この、猫の手も借りたいほど忙しいときにこいつは何をやっているのだ。溜息をついてもそいつの顔は足元にあるので気づかなかったらしい。

目の前で揺れる、透き通った2本の大根足。



「幽霊なんだから大人しくその見苦しい足しまったら?」

「足だけの幽霊いるらしいし、足がある幽霊がいてもいいんじゃない?」

「ウザいっつってんの」

「だって逆立ちできるんだよ〜」



ほらほら!逆立ちした手でくるくるとその場で回転する。逆立ちと言っても重力はかからないので髪も服も、そのだらしない腹周りの脂肪も垂れてはいないから奇妙な姿だ。



「……そんなに元気なら、香典調べるの手伝ってほしいぐらいだわ」

「猫の手の方がよっぽど役に立つんじゃない?」

「死んでも役に立たないデブね」

「いや、きっと役には立ったよ。ニートの割合を下げた」

「あんたひとり死んだぐらいで変わるもんですか」



それを笑い飛ばして、逆立ちのまま彼は部屋の中をうろうろする。彼が人生のほとんどを、それこそ────中学の頃にいじめられてから、必要最低限の生活のために出る以外はずっと住み着いていた部屋を。



彼は物心ついた頃から『名探偵コナン』のげんたくんのような体型をしていた。私たちの……私の通った中学では体育の時間、準備体操に逆立ちが組み込まれていた。ふたりペアでやるものだが、そんな立派な体格の彼にペアがいたはずもなく、教師も暗黙のうちに彼が逆立ちをしていなくとも気づかないふりを決め込んでいた。

それなのにある日いきなり逆立ちができないことを理由にしたいじめが始まったのだ。幽霊になるまで逆立ちをしてみようとしなかったほどの臆病者が、それに勝てるはずもない。



「……私は逆立ちしてもあんたにはかなわないわ」

「なんで?」

「私が誰を好きだってことにも気づかないまま死んでしまった愚か者には関係ない話よ」
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