あけましておめでとうございます

よく考えたら四天にはまったのはまだ去年の話。ドリライ後から急速にヒートアップした四天熱のおかげで、非常に濃い年を過ごしたような気がします。なんか頭の中も濃かったです。
仕事が暇になる時期、というのがないので、ほんとに隙を見ての更新しかできません。それでも昨年は足をお運び下さり、どうもありがとうございました。今年はもうちょっとがんばりたい。あとひっかけはせめて3月には…………目標は、あくまで目標！

ご挨拶が遅くなったのはちょっとだけけんひか書いてたからなんですが、けんひかなんだかなんだかわからない、ただのネタメモみたいなものになりました。なんか残念ですがよかったら年賀状代わりに。

「謙也？」
従兄弟の声にはっとして顔を上げた。携帯を握りしめて硬直していた謙也に不振な目を向ける侑士をしばらく見て、それから無性に嬉しくなってにやりと笑った。
「侑士ー！見てこれ！光から！」
「なんやねん気持ち悪い」
「光からあけおめメールきとった！しかも12時ぴったり！あいつ覚えとったら送りますとか言うとったくせに！」
「はいはい。うわ、ほんまにあけおめってひと言だけやん。仮にも先輩へのメールちゃうん」
「光と俺は恋人どうしやからええの！」
そんな謙也を適当にあしらいながら、そっけない文面を見ていた侑士がふと携帯を奪う。なんやねん、取り返すと素直に返された。
「スクロールできんで」
「は？」
「メール、めっちゃ改行しとる」
「えっ、愛の告白？」
「盲目……」
哀れみを含んだ視線を向けてくる侑士を無視して携帯のボタンを連打する。現れた文字列に、謙也は再び硬直した。

『謙也先輩から00:00に来てなかったらもちろん着拒』

光の声で再生される言葉に、さっと血の気が引く。謙也が日付が変わったことに気づいたのは、メールの着信音が鳴ったからだ。それまでは従兄弟とテレビを見ながらお笑いについて語っていた。正月ぐらいはと気を緩める父親からアルコールを分けてもらって、つまみを片手に。
「……謙也？」
「……おれ死んだわ」
「それはどっちの意味で？」
「物理的に……」
「わからん」
「千日が止まったら俺の葬式をしてくれ……」
「そんなん言うてる間に謝りや」
「だって絶対もう着拒しとるもんつながらんに決まっとる」
「してから言え」
「つながらんかったとき俺の死亡は確定や……」
「ほんまうざいな……」
冷たい従兄弟に顔をしかめるが、こうしていても仕方ない。覚悟を決めて、財前に電話をかける。数コール待った後、はい、と財前が応えた。自分の耳を疑って、謙也は一度携帯を離してディスプレイを見る。時間は0時5分だ。
「あ……光？」
『あけましておめでとうございます』
「あ、おめでとう～」
『何見てます？』
「ガキ使」
『ほなメールすんの忘れてたってことっすね』
「え……」
『混線してる可能性も考えてあげたんですけど無駄でしたわ～。ユウジ先輩俺の勝ちっすわ』
『自分ガキ使に負けたん？』
『そーですわ。俺ユウジ先輩に慰めてもらうんで、俺よりガキ使が大事な謙也先輩はテレビ見とって下さい。ほな』
「ひかっ」
ぷつりと電波は途切れ、一瞬呆然とした後慌ててかけ直すともう電源が切られている。
「な……なんでユウジが一緒におんの！？光家におるって言っとったのに！光よりガキ使が大事とかありえんしっ」
「でも忘れとったやろ」
「……でもちゃうやん！わかるやん！」
「謙也いっつもやかましいけど光くんのことになると2割増でうるさいよな」
「あっ、せやユウジっ……なんでユウジも電源切っとんねんっ！」
頭を抱えて叫んだ後、謙也はぴたりと止まる。ついに壊れたか、侑士が様子をうかがっていると、謙也は立ち上がってジャケットを掴んだ。
「おかんー、俺光んち行ってくる」
「はぁ？こんな夜中に何おかしなこと言うてんの！迷惑やろ！」
「迷惑ちゃう！光かて俺に会いたいはずやもん！」
「やめなさい」
「誰も俺を止められへんわ！」
「侑士くん、そのアホ止めたら謙也のお年玉も侑士くんにあげんで」
「無理やしいいわ」
「ほな行ってきます！」
「あ、ほんまに行きよった！も～……財前さんとこ連絡しとこ」
「謙也いっつもあんなん？」
「光くんとつき合いだしてからいっつもあんなんや」
「ほな、今年もずっとあんなんやな」






そんなわけで今年もよろしくお願いします。