言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2007'07.10.Tue
「誰だ山崎酔わせた奴ァ!」
「だらしない顔がいっそう緩んでますぜィ」
山崎の膝に頭を預けた土方も大概酔っているのだろう、にやにやしながら山崎の手を握っている。気持ちの悪いおっさんだな、途中参加でまだ余裕の沖田は冷ややかな目で土方を見た。
それにしても、山崎が酔うのは珍しい。ほろ酔いで足がふらつく程度のことは今までにもあったが、──横目で山崎を見ると目が合って、ばっちんとウインクを飛ばされる。初めは驚いたが、何か意図があるわけではなく無差別らしい。あちこちから山崎を呼ぶ声がして、そのたびに律儀にウインクで応えているようだ。
「あっ、沖田たいちょうも膝枕してあげましょうか!」
「いらねえ」
「いいからこっち来て下さいよお」
うとうとしていた土方を膝から転がり落とし、山崎は沖田を引っ張る。男の膝枕なんざ嬉しくねえ、沖田の抵抗に大丈夫ですからと返されまるで会話にならない。結局無理やり引き倒され、膝に頭を載せられる。
「お前、タチの悪い酔い方すんのな……」
「何ですかあ?」
子守でもしているつもりなのか、沖田の口にするめを差し込む山崎の顔は緩みまくっている。所詮こいつも人の子か。筋肉のついた膝はかたい。ちっとも嬉しくないが、髪をすいて額を撫でる山崎の熱い手が妙に心地よかった。
起き上がった土方が恨めしそうに沖田を見ていたが、そのうち山崎の隣に座ってべたりと体を預けていた。今事件があったら面白いのに、テロリストに教えてやりたい。
「たいちょおはいい子ですねー」
「当然だろィ、どっかの変態と一緒にすんな」
「よしよし。はいあーん」
「……」
口に放り込まれたピーナッツを噛み砕く。どうしてだか無性に泣きたくなったのは、山崎が妙に女々しくて気持ち悪いからだということにしておこう。
妹の酔い方は膝枕の強要+無差別ウインクらしい。
「だらしない顔がいっそう緩んでますぜィ」
山崎の膝に頭を預けた土方も大概酔っているのだろう、にやにやしながら山崎の手を握っている。気持ちの悪いおっさんだな、途中参加でまだ余裕の沖田は冷ややかな目で土方を見た。
それにしても、山崎が酔うのは珍しい。ほろ酔いで足がふらつく程度のことは今までにもあったが、──横目で山崎を見ると目が合って、ばっちんとウインクを飛ばされる。初めは驚いたが、何か意図があるわけではなく無差別らしい。あちこちから山崎を呼ぶ声がして、そのたびに律儀にウインクで応えているようだ。
「あっ、沖田たいちょうも膝枕してあげましょうか!」
「いらねえ」
「いいからこっち来て下さいよお」
うとうとしていた土方を膝から転がり落とし、山崎は沖田を引っ張る。男の膝枕なんざ嬉しくねえ、沖田の抵抗に大丈夫ですからと返されまるで会話にならない。結局無理やり引き倒され、膝に頭を載せられる。
「お前、タチの悪い酔い方すんのな……」
「何ですかあ?」
子守でもしているつもりなのか、沖田の口にするめを差し込む山崎の顔は緩みまくっている。所詮こいつも人の子か。筋肉のついた膝はかたい。ちっとも嬉しくないが、髪をすいて額を撫でる山崎の熱い手が妙に心地よかった。
起き上がった土方が恨めしそうに沖田を見ていたが、そのうち山崎の隣に座ってべたりと体を預けていた。今事件があったら面白いのに、テロリストに教えてやりたい。
「たいちょおはいい子ですねー」
「当然だろィ、どっかの変態と一緒にすんな」
「よしよし。はいあーん」
「……」
口に放り込まれたピーナッツを噛み砕く。どうしてだか無性に泣きたくなったのは、山崎が妙に女々しくて気持ち悪いからだということにしておこう。
妹の酔い方は膝枕の強要+無差別ウインクらしい。
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2007'07.09.Mon
体を起こすと汗でじっとりと背中が濡れていた。早起きは3文の得と言うけれど、欲を言うならもうもっと早く起きたかった。時計は5時、窓の外の明るさと布団に絡まって眠る笠井を見比べ、今が朝だと判断して藤代は溜息を吐いた。──どうして誰も、起こしてくれなかったのだろうか。昨日の部活では集中攻撃的に精も根も搾り取られ、帰るなりベッドに沈んだ。それから眠り続けていたらしい。一体何時間寝たのだろう。ああそうか、夕食がエビフライだったのか。寮内でも5本の指に入る人気メニューだ。起こしてやろうなどと言う慈悲深い人間は生き残れない。弱肉強食の世界なのだ。布団に体を預けて失態を嘆く。あんなに楽しみにしていたのに、どうして。夕食を食べていないという事実に気づくと寝起きだが腹が減ってくる。寮に門限はあるが朝は何時まで出てはいけないという決まりは知らないので、藤代は財布を掴んで部屋を出た。
静かな朝ではあるがそれでもすでにスーツ姿の人がまばらに見える。涼しいだけが救いだろう。夏休みだと言うのに大変だ。将来あんな仕事は絶対に嫌だ、と思ってしまう。元々少ない選択肢の中にはない。安いビーチサンダルでペタペタやる気なく歩く自分を革靴がさっと追い抜いた。顔も洗わずに出てきた藤代と違ってもっと早く起きているのだろう。奥さんが大変だ。
(プロの選手って何時まで寝れんのかなー)
笠井が聞いたらあきれそうなことを考えながらコンビニに向かって歩き続けると、夜はちょっとワルいお兄ちゃんたちの溜まり場になる公園に出た。明るくなると彼らもどこかへ消えていく。その彼らと入れ替わるかのように早朝だというのに女の人がいた。それを横目に冷やかして、いつもより遠い気がしたコンビニにたどり着く。店員はやる気がなさそうで挨拶もない。しかし品揃えだけはよかった。サッカー部は下手すると一番活動時間が長かったりするので、部活が終わってからくるとコンビニは既にハイエナに襲われた後だ。こんなにおにぎりが詰まってる棚見たことないかも。ゆっくり時間をかけて厳選し、朝食がこれからあることをすっかり忘れている藤代は食べたことのない種類を3つほど選んでレジに向かった。
あ、公園で食べよう。帰り道で思いついたことが素晴らしいアイデアに思え、上機嫌で道を辿る。近づいていくと賑やかな声、子どもたちの団体と大人が数人、流れるのは耳に慣れたラジオ体操。夏休みだなあと思いながら、ベンチを陣取ってエネルギーを手にする。普段鬼監督によって統制されたラジオ体操を見ている身としてはぐだぐだにしか見えない。眺めながらおにぎりにかぶりつく。中心で体操をしている女の人は慣れていないようで、体操が変わるたびに戸惑っている。何度も間違えているので動きが鈍くなっていた。見ているとイライラしてきて、藤代は残りを口に押し込んで立ち上がる。ベンチに乗り上がってラジオ体操に参加すると彼女はすぐに気づいた。それからは藤代の動きにあわせてなんとかついてくる。
ジュース買うの忘れてた。ヤケになって体操をしたら喉が乾いて初めて思い出す。買いに戻るのも面倒で、座り直して次のおにぎりに取りかかった。小学生ははんこをもらいに群がっている。ジュースぐらいくれればいいのに、ぼやいていると女の人が近づいてくる。近くで見ると案外大人だったので驚いた。ありがとう、とジュースを差し出され、エスパーなのかと思ってしまった。
「助かったわ」
「……おねーさん?」
「あら、もうおばさんよ。あれだけで汗かいちゃった」
「さっきさあ、ここにいたよね。体操始まる前」
「ゴミ拾いしてたの。この公園って夜の間にすごく汚れるから」
「あー、小学生来るのにエロ本落ちてたらまずいしね」
「……まあ、そうね。ね、よかったら明日から来てくれない?」
「無理無理、今日こんな時間に起きたのって夜7時に寝たからだし。こんな早くから起きれない、朝練もあるし」
「あ、そっかあ……」
「……はんこ代わりにジュースくれるなら、これるときだけ来るよ」
「ほんとに?」
あ、笑うとかわいい。あの子どもの群の中に子どもがいるのかと思うと納得がいかない。
(人妻とひと夏の危険な恋──タクと三上先輩の方がよっぽどまともかも)
「名前は?」
「藤代誠二!有名になるから覚えてて!」
静かな朝ではあるがそれでもすでにスーツ姿の人がまばらに見える。涼しいだけが救いだろう。夏休みだと言うのに大変だ。将来あんな仕事は絶対に嫌だ、と思ってしまう。元々少ない選択肢の中にはない。安いビーチサンダルでペタペタやる気なく歩く自分を革靴がさっと追い抜いた。顔も洗わずに出てきた藤代と違ってもっと早く起きているのだろう。奥さんが大変だ。
(プロの選手って何時まで寝れんのかなー)
笠井が聞いたらあきれそうなことを考えながらコンビニに向かって歩き続けると、夜はちょっとワルいお兄ちゃんたちの溜まり場になる公園に出た。明るくなると彼らもどこかへ消えていく。その彼らと入れ替わるかのように早朝だというのに女の人がいた。それを横目に冷やかして、いつもより遠い気がしたコンビニにたどり着く。店員はやる気がなさそうで挨拶もない。しかし品揃えだけはよかった。サッカー部は下手すると一番活動時間が長かったりするので、部活が終わってからくるとコンビニは既にハイエナに襲われた後だ。こんなにおにぎりが詰まってる棚見たことないかも。ゆっくり時間をかけて厳選し、朝食がこれからあることをすっかり忘れている藤代は食べたことのない種類を3つほど選んでレジに向かった。
あ、公園で食べよう。帰り道で思いついたことが素晴らしいアイデアに思え、上機嫌で道を辿る。近づいていくと賑やかな声、子どもたちの団体と大人が数人、流れるのは耳に慣れたラジオ体操。夏休みだなあと思いながら、ベンチを陣取ってエネルギーを手にする。普段鬼監督によって統制されたラジオ体操を見ている身としてはぐだぐだにしか見えない。眺めながらおにぎりにかぶりつく。中心で体操をしている女の人は慣れていないようで、体操が変わるたびに戸惑っている。何度も間違えているので動きが鈍くなっていた。見ているとイライラしてきて、藤代は残りを口に押し込んで立ち上がる。ベンチに乗り上がってラジオ体操に参加すると彼女はすぐに気づいた。それからは藤代の動きにあわせてなんとかついてくる。
ジュース買うの忘れてた。ヤケになって体操をしたら喉が乾いて初めて思い出す。買いに戻るのも面倒で、座り直して次のおにぎりに取りかかった。小学生ははんこをもらいに群がっている。ジュースぐらいくれればいいのに、ぼやいていると女の人が近づいてくる。近くで見ると案外大人だったので驚いた。ありがとう、とジュースを差し出され、エスパーなのかと思ってしまった。
「助かったわ」
「……おねーさん?」
「あら、もうおばさんよ。あれだけで汗かいちゃった」
「さっきさあ、ここにいたよね。体操始まる前」
「ゴミ拾いしてたの。この公園って夜の間にすごく汚れるから」
「あー、小学生来るのにエロ本落ちてたらまずいしね」
「……まあ、そうね。ね、よかったら明日から来てくれない?」
「無理無理、今日こんな時間に起きたのって夜7時に寝たからだし。こんな早くから起きれない、朝練もあるし」
「あ、そっかあ……」
「……はんこ代わりにジュースくれるなら、これるときだけ来るよ」
「ほんとに?」
あ、笑うとかわいい。あの子どもの群の中に子どもがいるのかと思うと納得がいかない。
(人妻とひと夏の危険な恋──タクと三上先輩の方がよっぽどまともかも)
「名前は?」
「藤代誠二!有名になるから覚えてて!」
2007'04.20.Fri
「ハトも宙返りするらしいです」
「は?」
「昔スキナーって人がハトに宙返りさせたことがあるんですって」
「それが?」
「ご褒美って言うものはすごいと思いません?ハトに宙返りさせちゃうんですから」
山崎の笑顔に土方はしばらく考える。回りくどい言い方は怒っている証拠だ。
「…しょうがねえなあ、今度の仕事が終わったらラブホにでも連れてったらぁ」
「休み寄越せっつってんです」
「却下」
「俺ひと月も休みなしで働かされてんですよ!?出るとこ出たら勝てますよこれ!」
「稼げていいじゃねえか」
「あんたと違って俺は薄給なんです」
めんどくせえな、と顔に出してみても山崎は引かない。機嫌が悪いのでこっそり勤務表を確認してみるが、確かにずっと休みがないようだ。あっても夜勤の次の日の午前中だけだとかで、丸一日の休みと言うのは大抵潰れている。山崎が一番使い勝手がいいので思わず呼んでしまうのだ。
下手に働きすぎで倒れられても困る。それでも素直に山崎の言うことを聞いてやるのは癪だ。自分が「使える=便利な」人間だと自覚してからは特に生意気になってきている。
「そんなに餌が欲しきゃサーカスにでも行って宙返りしてろ。可愛がってくれるだろ」
「……」
黙って立ち上がった山崎は、やはり黙って部屋を出る。障子を開けたまま庭へ降りたのを目で追えば、土方が見ているのを確認し、そして軽く体を伸ばす。
何を、口を開きかけた瞬間、山崎が飛んだ。猫のようにしなやかな体が宙を舞い、弧を描く。砂埃もあげぬ着地をした後、山崎は再び笑顔を向けた。
「サーカス団にでも転職します。あとで辞表もってくるんで、よおっく考えといて下さいね」
満面の笑みを残し、山崎はその場を去っていく。
(……おっかねえ〜……)
「は?」
「昔スキナーって人がハトに宙返りさせたことがあるんですって」
「それが?」
「ご褒美って言うものはすごいと思いません?ハトに宙返りさせちゃうんですから」
山崎の笑顔に土方はしばらく考える。回りくどい言い方は怒っている証拠だ。
「…しょうがねえなあ、今度の仕事が終わったらラブホにでも連れてったらぁ」
「休み寄越せっつってんです」
「却下」
「俺ひと月も休みなしで働かされてんですよ!?出るとこ出たら勝てますよこれ!」
「稼げていいじゃねえか」
「あんたと違って俺は薄給なんです」
めんどくせえな、と顔に出してみても山崎は引かない。機嫌が悪いのでこっそり勤務表を確認してみるが、確かにずっと休みがないようだ。あっても夜勤の次の日の午前中だけだとかで、丸一日の休みと言うのは大抵潰れている。山崎が一番使い勝手がいいので思わず呼んでしまうのだ。
下手に働きすぎで倒れられても困る。それでも素直に山崎の言うことを聞いてやるのは癪だ。自分が「使える=便利な」人間だと自覚してからは特に生意気になってきている。
「そんなに餌が欲しきゃサーカスにでも行って宙返りしてろ。可愛がってくれるだろ」
「……」
黙って立ち上がった山崎は、やはり黙って部屋を出る。障子を開けたまま庭へ降りたのを目で追えば、土方が見ているのを確認し、そして軽く体を伸ばす。
何を、口を開きかけた瞬間、山崎が飛んだ。猫のようにしなやかな体が宙を舞い、弧を描く。砂埃もあげぬ着地をした後、山崎は再び笑顔を向けた。
「サーカス団にでも転職します。あとで辞表もってくるんで、よおっく考えといて下さいね」
満面の笑みを残し、山崎はその場を去っていく。
(……おっかねえ〜……)
2007'04.11.Wed
泣かないでよ愛しい人。君があんまり泣くと僕は離れる日が来るのが怖くなる。
「どうしたの、泣いてちゃわかんないよ」
「いや」
「ほら、もう泣かないで。美人が台無しだ」
母親似のきれいな顔をくしゃくしゃにして彼女は泣き続ける。理由を聞いても首を振るばかりで何もわからない。
彼女が悲しいと僕まで悲しい。誰が彼女の笑顔を奪ったのだろう。落ち着かせるためにゆっくり頭を撫でて長い髪をすいた。しばらくそうしていると少しずつ落ち着いてくる。
「どうしたの?」
「……笑わない?」
「絶対ね」
「……あのね、でんぐり返しができないの」
「でんぐり返し?」
「それでね、ショウちゃんが笑うの。サナは頑張ってるのに」
「そう」
「でんぐり返しができないと小学生になれない?」
「そんなことないよ」
ようやく安心したらしい彼女は笑顔を見せた。まだ幼い彼女には重大な事件なのだろう。
娘も遂に小学生になる。男手一つで育てていくには苦労が増えてくるだろう。男親には言えない悩みや、助けられないことが幾つも想像できる。
「……やだなあ」
家政婦でも雇おうか。娘をベッドに連れて行き、父親は深く溜息を吐く。
「どうしたの、泣いてちゃわかんないよ」
「いや」
「ほら、もう泣かないで。美人が台無しだ」
母親似のきれいな顔をくしゃくしゃにして彼女は泣き続ける。理由を聞いても首を振るばかりで何もわからない。
彼女が悲しいと僕まで悲しい。誰が彼女の笑顔を奪ったのだろう。落ち着かせるためにゆっくり頭を撫でて長い髪をすいた。しばらくそうしていると少しずつ落ち着いてくる。
「どうしたの?」
「……笑わない?」
「絶対ね」
「……あのね、でんぐり返しができないの」
「でんぐり返し?」
「それでね、ショウちゃんが笑うの。サナは頑張ってるのに」
「そう」
「でんぐり返しができないと小学生になれない?」
「そんなことないよ」
ようやく安心したらしい彼女は笑顔を見せた。まだ幼い彼女には重大な事件なのだろう。
娘も遂に小学生になる。男手一つで育てていくには苦労が増えてくるだろう。男親には言えない悩みや、助けられないことが幾つも想像できる。
「……やだなあ」
家政婦でも雇おうか。娘をベッドに連れて行き、父親は深く溜息を吐く。
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