言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2007'07.09.Mon
体を起こすと汗でじっとりと背中が濡れていた。早起きは3文の得と言うけれど、欲を言うならもうもっと早く起きたかった。時計は5時、窓の外の明るさと布団に絡まって眠る笠井を見比べ、今が朝だと判断して藤代は溜息を吐いた。──どうして誰も、起こしてくれなかったのだろうか。昨日の部活では集中攻撃的に精も根も搾り取られ、帰るなりベッドに沈んだ。それから眠り続けていたらしい。一体何時間寝たのだろう。ああそうか、夕食がエビフライだったのか。寮内でも5本の指に入る人気メニューだ。起こしてやろうなどと言う慈悲深い人間は生き残れない。弱肉強食の世界なのだ。布団に体を預けて失態を嘆く。あんなに楽しみにしていたのに、どうして。夕食を食べていないという事実に気づくと寝起きだが腹が減ってくる。寮に門限はあるが朝は何時まで出てはいけないという決まりは知らないので、藤代は財布を掴んで部屋を出た。
静かな朝ではあるがそれでもすでにスーツ姿の人がまばらに見える。涼しいだけが救いだろう。夏休みだと言うのに大変だ。将来あんな仕事は絶対に嫌だ、と思ってしまう。元々少ない選択肢の中にはない。安いビーチサンダルでペタペタやる気なく歩く自分を革靴がさっと追い抜いた。顔も洗わずに出てきた藤代と違ってもっと早く起きているのだろう。奥さんが大変だ。
(プロの選手って何時まで寝れんのかなー)
笠井が聞いたらあきれそうなことを考えながらコンビニに向かって歩き続けると、夜はちょっとワルいお兄ちゃんたちの溜まり場になる公園に出た。明るくなると彼らもどこかへ消えていく。その彼らと入れ替わるかのように早朝だというのに女の人がいた。それを横目に冷やかして、いつもより遠い気がしたコンビニにたどり着く。店員はやる気がなさそうで挨拶もない。しかし品揃えだけはよかった。サッカー部は下手すると一番活動時間が長かったりするので、部活が終わってからくるとコンビニは既にハイエナに襲われた後だ。こんなにおにぎりが詰まってる棚見たことないかも。ゆっくり時間をかけて厳選し、朝食がこれからあることをすっかり忘れている藤代は食べたことのない種類を3つほど選んでレジに向かった。
あ、公園で食べよう。帰り道で思いついたことが素晴らしいアイデアに思え、上機嫌で道を辿る。近づいていくと賑やかな声、子どもたちの団体と大人が数人、流れるのは耳に慣れたラジオ体操。夏休みだなあと思いながら、ベンチを陣取ってエネルギーを手にする。普段鬼監督によって統制されたラジオ体操を見ている身としてはぐだぐだにしか見えない。眺めながらおにぎりにかぶりつく。中心で体操をしている女の人は慣れていないようで、体操が変わるたびに戸惑っている。何度も間違えているので動きが鈍くなっていた。見ているとイライラしてきて、藤代は残りを口に押し込んで立ち上がる。ベンチに乗り上がってラジオ体操に参加すると彼女はすぐに気づいた。それからは藤代の動きにあわせてなんとかついてくる。
ジュース買うの忘れてた。ヤケになって体操をしたら喉が乾いて初めて思い出す。買いに戻るのも面倒で、座り直して次のおにぎりに取りかかった。小学生ははんこをもらいに群がっている。ジュースぐらいくれればいいのに、ぼやいていると女の人が近づいてくる。近くで見ると案外大人だったので驚いた。ありがとう、とジュースを差し出され、エスパーなのかと思ってしまった。
「助かったわ」
「……おねーさん?」
「あら、もうおばさんよ。あれだけで汗かいちゃった」
「さっきさあ、ここにいたよね。体操始まる前」
「ゴミ拾いしてたの。この公園って夜の間にすごく汚れるから」
「あー、小学生来るのにエロ本落ちてたらまずいしね」
「……まあ、そうね。ね、よかったら明日から来てくれない?」
「無理無理、今日こんな時間に起きたのって夜7時に寝たからだし。こんな早くから起きれない、朝練もあるし」
「あ、そっかあ……」
「……はんこ代わりにジュースくれるなら、これるときだけ来るよ」
「ほんとに?」
あ、笑うとかわいい。あの子どもの群の中に子どもがいるのかと思うと納得がいかない。
(人妻とひと夏の危険な恋──タクと三上先輩の方がよっぽどまともかも)
「名前は?」
「藤代誠二!有名になるから覚えてて!」
静かな朝ではあるがそれでもすでにスーツ姿の人がまばらに見える。涼しいだけが救いだろう。夏休みだと言うのに大変だ。将来あんな仕事は絶対に嫌だ、と思ってしまう。元々少ない選択肢の中にはない。安いビーチサンダルでペタペタやる気なく歩く自分を革靴がさっと追い抜いた。顔も洗わずに出てきた藤代と違ってもっと早く起きているのだろう。奥さんが大変だ。
(プロの選手って何時まで寝れんのかなー)
笠井が聞いたらあきれそうなことを考えながらコンビニに向かって歩き続けると、夜はちょっとワルいお兄ちゃんたちの溜まり場になる公園に出た。明るくなると彼らもどこかへ消えていく。その彼らと入れ替わるかのように早朝だというのに女の人がいた。それを横目に冷やかして、いつもより遠い気がしたコンビニにたどり着く。店員はやる気がなさそうで挨拶もない。しかし品揃えだけはよかった。サッカー部は下手すると一番活動時間が長かったりするので、部活が終わってからくるとコンビニは既にハイエナに襲われた後だ。こんなにおにぎりが詰まってる棚見たことないかも。ゆっくり時間をかけて厳選し、朝食がこれからあることをすっかり忘れている藤代は食べたことのない種類を3つほど選んでレジに向かった。
あ、公園で食べよう。帰り道で思いついたことが素晴らしいアイデアに思え、上機嫌で道を辿る。近づいていくと賑やかな声、子どもたちの団体と大人が数人、流れるのは耳に慣れたラジオ体操。夏休みだなあと思いながら、ベンチを陣取ってエネルギーを手にする。普段鬼監督によって統制されたラジオ体操を見ている身としてはぐだぐだにしか見えない。眺めながらおにぎりにかぶりつく。中心で体操をしている女の人は慣れていないようで、体操が変わるたびに戸惑っている。何度も間違えているので動きが鈍くなっていた。見ているとイライラしてきて、藤代は残りを口に押し込んで立ち上がる。ベンチに乗り上がってラジオ体操に参加すると彼女はすぐに気づいた。それからは藤代の動きにあわせてなんとかついてくる。
ジュース買うの忘れてた。ヤケになって体操をしたら喉が乾いて初めて思い出す。買いに戻るのも面倒で、座り直して次のおにぎりに取りかかった。小学生ははんこをもらいに群がっている。ジュースぐらいくれればいいのに、ぼやいていると女の人が近づいてくる。近くで見ると案外大人だったので驚いた。ありがとう、とジュースを差し出され、エスパーなのかと思ってしまった。
「助かったわ」
「……おねーさん?」
「あら、もうおばさんよ。あれだけで汗かいちゃった」
「さっきさあ、ここにいたよね。体操始まる前」
「ゴミ拾いしてたの。この公園って夜の間にすごく汚れるから」
「あー、小学生来るのにエロ本落ちてたらまずいしね」
「……まあ、そうね。ね、よかったら明日から来てくれない?」
「無理無理、今日こんな時間に起きたのって夜7時に寝たからだし。こんな早くから起きれない、朝練もあるし」
「あ、そっかあ……」
「……はんこ代わりにジュースくれるなら、これるときだけ来るよ」
「ほんとに?」
あ、笑うとかわいい。あの子どもの群の中に子どもがいるのかと思うと納得がいかない。
(人妻とひと夏の危険な恋──タクと三上先輩の方がよっぽどまともかも)
「名前は?」
「藤代誠二!有名になるから覚えてて!」
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