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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.20.Thu
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2006'05.22.Mon
バカだ。



はいよっ、なんて間抜けな返事に敬礼をつけて、でかい足音を立てて山崎は部屋を飛び出した。おまけに廊下で小姓にでもぶつかったらしく、派手に茶器の音がする。なんちゅう愉快な監察だ。



過去に一度見てから、静かなあの夜以来山崎の鋭さを見ていない。穏やかとも思える、あの殺気。

欲しく なった。



「…あのぉ…」



おずおずと小姓が入ってくる。濡れた盆を手にして、この世の終わりのような顔をして。

わかってると告げると子どものように顔を緩めて笑う。まだ入隊して日が浅いせいもあるのだろうが、どうにも戦力には思えない。



「あとで山崎殴っとくから入れ直してこい」

「あっいえ、山崎助勤は関係ないんです。俺がよろけたの支えて濡れてしまったぐらいで」

「…そうか」



殴るは殴るが。土方の言葉に笑い、小姓は頭を下げて部屋を出た。

山崎にも小姓の真似事をさせていた時期がある。あの頃は確かに理由をつけていたが、今となっては真意しか覚えていない。単純だ。



(……)



山崎の声を聞いた気がして廊下へ顔を出す。接触地点で小姓と山崎が濡れた床を拭いていた。何やら楽しげだと思えば、山崎が土方の口調を真似ているらしい。殴る、絶対。



「副長怖いからお茶入れておいでよ、俺拭いとくから」

「いえ、助勤こそお仕事に戻って下さい」

「俺はいいよ、今日オフだし」

「そうなんですか?」

「横暴でしょあの人。俺には休みはないと思ってんだよ」

「そんなぁ…」

「ちゃんと別の日に休みくれるけどね」

「山崎助勤は働き者ですね」

「君こそ。俺副長の小姓なんて二度と御免だよ」



土方が如何に横暴かと言うことを切々と語り始める山崎に殺意を抱く。飛び出していこうかと思ったところに目に入ったのは、山崎を見る小姓の表情。



(…わかりやすい…)



もしや俺も同じような表情をしているのだろうか。そうだとしたら今すぐにでも腹を引き裂きたい。



確か以前にも大きな店の娘に惚れられていた。隠れた恋をさせるのが得意な男だ。憎らしい。



(…何であいつなんだろう)



赤い頬の小姓が、いっそ気の毒になるほどに。
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2006'05.19.Fri
悪い癖。



戦闘は長引かせてはいけない。私の武器は傘だから。



そうわかっているはずなのに、こいつとやると調子が狂う。

…あ、だめだ。くらくら、ちかちか、そしてダウン────



「おい」

「……」

「焦るぜェ」



目を開けると日陰に寝かされていた。木漏れ日がわずかに差す。

去年の祭りで配られていた団扇で風が送られていた。起きたんなら自分でやれ、と押し付けられる。朦朧としたままそれを受け取った。



お前ぶっ倒れるぐらいなら本気になるなよな、本気になんねーと俺に叶わねえのはわかってっから俺が加減してやらァ、だから



「今度からブッ倒れるなら先に言え」



馬鹿な男に返事はしない。梅雨に戻ればいいのに、目を閉じて呟くと馬鹿言うなと顔をしかめた。だってこんなに暑いのが悪い、



「ほれ」

「……」



唇にひやりと何か触れて、見るとアイスだった。黙って口を開けると一口分が入ってくる。



「こうも暑くちゃな」



蝉の鳴き声がする。木陰で聞くそれは心地よい。喉を流れる冷たさに満足だ。



ふっと唇が触れた。アイスで濡れた冷たい唇。



「…お前暑さで脳味噌腐ったんじゃねーの」

「そうかもな、クーラー壊れたんでィ」

「クーラー欲しいヨ」



力の入らない手で団扇を仰ぐ。空気は生ぬるい。風が吹けばいいのに。



「…もっとチョーダイ」

「キスを?」

「アイスを!」
2006'05.18.Thu
ばかめ、ワタシは筋がね入りの庶民なのだ。



読めない言葉で綴られた値段のないメニューを出す店に食事に連れて行かれた。なんたらと言うワインをいちゃもんつけて飲み、なんとかと言う大層な料理を講釈しながら食べる。

うまいもんを食わせてくれると言うから来たのに、こんな腹の足しにもならないちろっとしたもん食ってどうすんだ。こんな少量じゃ味もわからん。



ワインの出来た年から始まり、話題は誰々社長夫人の話にまで飛躍した。生憎私は誰々社長夫人とはどなたが存じ上げないもので、兄の結婚式の時に叩き込まれたテーブルマナーで妙なソースのかかった葉っぱを食む。

ワタシはキリスト様の血よりも焼酎がいい。変な色のソースをかけるぐらいなら塩がいい。



「…ラーメン食いてぇな」

「へ?」

「一杯600円替え玉あり、キムチメンマ取り放題」



とんこつスープがワタシを呼ぶ。

こんなに窮屈なのだから、本音ぐらい漏れたりするさ。器のちいせぇ男。ワタシだって二度とあんたに誘われたくない。



なんでお前がもてるのよ、友人のヒガミに答えるならば、魔法の粉のせいだ。オレンジのチーク、ブルーのシャドウ、きらきら光るファンデーション。兄上の操る魔法の粉が、ワタシの顔を変える。暇な上にマメな男だ。にーちゃんは暇じゃないぞと抗議が聞こえる。



巷で噂の魔法使いのタネは簡単、妹をさっさと嫁にやりたい。



「にーちゃん、ラーメン食いに行こう」

「……デートはどうした、高級フルコース」

「腹が減った」

「……せっかく人が美しくしてやってんのに…」



誰のせいでにーちゃんはメイクアップアーティストなんかになってしまったと思ってるんだ、とまた拗ねる。ワタシはそんなことひとっ言も頼んじゃいない。



男なんてみんな勝手だ。勝手に魔法にかかっておいて、女のせいにするんだから。
2006'05.17.Wed
幸せはどんな色をしているのでしょう。



目の前の男が酷く困っているのはわかる。これからどうしたものかと。…男性に押し倒されたのは初めて。この男がこんなに動揺しているのを見るのも初めて。私はどうしたらいいのかしら。



「あ…お…俺は」

「…はい」

「……いや、…すみません。失礼なことを…」



彼はゆっくり体を起こし、少しためらってから私にも手を貸した。男の人が考えてることなんてわからないから、彼の頭の中には自分の地位のことがあるのかもしれない。もしくは私の立場が。



彼はうなだれて完全に頭を垂れて、いつもの覇気を完全に失っている。借りてきた猫と言うのはきっとこういうものだろう。



「…お好きになさって」

「!」

「あなたになら」

「…いえ…」

「いいの」

「……」



ぐっと拳を握った手が、次の瞬間に私を抱き寄せた。強い力 抗えない。抵抗する気などないのだけれど。



この人の未来など捻り潰せる。私には出来る。



「…出来ない約束をして下さらない?」



今朝梳いてきた髪が乱される。首筋にかかる息。熱い



「    」



誓いを
2006'05.16.Tue
それが課せられた仕事ならば、死ぬまで罪を重ねましょう。



「待ってッ…!」

「!」



ガシッと掴まれた手の力は弱い。振り払おうとしたら出来たのをしなかったのは、声に聞き覚えがあったせいだ。どうした、と前を歩く土方が振り返る。



「芦屋さん?」

「────人違いではないですか?」

「…そう…かしら?私を見覚えではない?」

「生憎と。どなたとお間違えか存じませんが、私は山崎と申します」



対峙するのは、2ヵ月ほど前潜入していた店の奉公人。まさかこんなところで会うとは。



「…そうですか…いえ、失礼しました。突然行方の知れなくなった方にそっくりなもので…」

「世の中に似た人間は3人いると申しますから、そういうこともあるのでしょう。では、連れがあるので」

「お引き留めしましてすみません」

「いいえ、探している方にお会いできることをお祈りしますよ」



何度も謝る彼女を離れ、拗ねた様子で煙草をふかす土方のそばへ戻った。歩きながら事情を説明する。私服の時は油断出来ませんねとこぼしたのを愚痴と取ったのか、望むなら休みなく働かせてやるぜ、人事を握る男は恐ろしいことを真面目に言った。



「大嘘吐きだな」

「…ま、結構いい目見させてもらってますから」

「……あっ、テメ、さっきの女食ったろ!」

「やだなぁ舐めたぐらいですよ」

「……」



怒りたくとも怒れる立場ではない土方はぐぬと唸って口を閉じた。代わりにしきりと煙を吐き出す。



「何拗ねてんですか。俺が嘘吐かない相手なんてあんたぐらいですよ」

「…そうか」

「そうです。誰かさんがこき使うから、誰にも言えないことをいっぱい抱えてんです。その分嘘で補って」



山崎は笑うのに、土方が表情を暗くする。真面目さに呆れてしまい、彼の手から煙草を奪う。



「あんたが気にしてどうすんです」

「山崎」

「俺はあんたのための詐欺師なんですから、そんな情けない顔は困ります」



俺が嘘を吐く代わりに、あなたは嘘を吐かせることを忘れてはいけない。じゃなきゃ俺は
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