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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'05.22.Mon
バカだ。



はいよっ、なんて間抜けな返事に敬礼をつけて、でかい足音を立てて山崎は部屋を飛び出した。おまけに廊下で小姓にでもぶつかったらしく、派手に茶器の音がする。なんちゅう愉快な監察だ。



過去に一度見てから、静かなあの夜以来山崎の鋭さを見ていない。穏やかとも思える、あの殺気。

欲しく なった。



「…あのぉ…」



おずおずと小姓が入ってくる。濡れた盆を手にして、この世の終わりのような顔をして。

わかってると告げると子どものように顔を緩めて笑う。まだ入隊して日が浅いせいもあるのだろうが、どうにも戦力には思えない。



「あとで山崎殴っとくから入れ直してこい」

「あっいえ、山崎助勤は関係ないんです。俺がよろけたの支えて濡れてしまったぐらいで」

「…そうか」



殴るは殴るが。土方の言葉に笑い、小姓は頭を下げて部屋を出た。

山崎にも小姓の真似事をさせていた時期がある。あの頃は確かに理由をつけていたが、今となっては真意しか覚えていない。単純だ。



(……)



山崎の声を聞いた気がして廊下へ顔を出す。接触地点で小姓と山崎が濡れた床を拭いていた。何やら楽しげだと思えば、山崎が土方の口調を真似ているらしい。殴る、絶対。



「副長怖いからお茶入れておいでよ、俺拭いとくから」

「いえ、助勤こそお仕事に戻って下さい」

「俺はいいよ、今日オフだし」

「そうなんですか?」

「横暴でしょあの人。俺には休みはないと思ってんだよ」

「そんなぁ…」

「ちゃんと別の日に休みくれるけどね」

「山崎助勤は働き者ですね」

「君こそ。俺副長の小姓なんて二度と御免だよ」



土方が如何に横暴かと言うことを切々と語り始める山崎に殺意を抱く。飛び出していこうかと思ったところに目に入ったのは、山崎を見る小姓の表情。



(…わかりやすい…)



もしや俺も同じような表情をしているのだろうか。そうだとしたら今すぐにでも腹を引き裂きたい。



確か以前にも大きな店の娘に惚れられていた。隠れた恋をさせるのが得意な男だ。憎らしい。



(…何であいつなんだろう)



赤い頬の小姓が、いっそ気の毒になるほどに。
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