言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2012'02.16.Thu
それは左近にとっては機械的な行事であった。前日には材料をそろえ、学校から帰ってすぐに始める。母親の趣味で道具は揃っていた。その母は毎年娘以上にはりきってラッピング用品を揃えたり、台所に立つ間ずっと辺りをうろついていたりと、普段はぶっきらぼうな娘が女の子らしいイベントに参加しているのをそれはもう嬉しそうに見ている。
――小学校の時からの恒例行事が、今年はいつもと少し違うことなど、母親にはすぐさまばれてしまった。
いつも通りにレシピを広げて材料を用意している左近を見て、母親はその手を止めさせた。
「あなた、義理と本命で同じものを作る気?」
「……は」
母親の言葉が理解できず、左近はぽかんとして彼女を見る。そんなのダメよ!とレシピ本をめくる母親にはっとして、慌てて本をひったくった。
「ななっ、何のことだよッ!」
「あら、だってあんなに眉間にしわを寄せて真剣に見てたじゃない。本命がいるんでしょ?」
「ち、違うよッ!今年は他の子たちも手作りするって言ってたから、被らないかどうか考えてただけっ!」
「お母さんはあなたが部屋にラッピングボックスを隠していることを知っています」
「!」
「お父さんには内緒にしててあげるから、どんな人か教えてよー!」
自分よりもよっぽど少女らしい母親の態度に気が抜けるが、はっとして首を振った。
「違うからねっ!」
「えーっ」
強情な左近からそれ以上聞き出すのはやめたのか、母親は笑いながらも手を引いた。ぐっと気合を入れ直し、左近は深呼吸をしていたチョコの封を開ける。
――違う。本命とかじゃなくて、あの人は大人だから、三郎次やクラスの友達とは違うだけで。
「……違うからッ!」
「もーわかったわよー、もう聞きません。はぁ、青春っていいわねぇ。お赤飯炊こうかしら」
「お母さん!?」
「ハイハイ」
――結局、作っている間中左近の頭を占めていたのはあの人のことで、くるくると表情を変えていた左近を母親は笑って見ているだけだった。
――小学校の時からの恒例行事が、今年はいつもと少し違うことなど、母親にはすぐさまばれてしまった。
いつも通りにレシピを広げて材料を用意している左近を見て、母親はその手を止めさせた。
「あなた、義理と本命で同じものを作る気?」
「……は」
母親の言葉が理解できず、左近はぽかんとして彼女を見る。そんなのダメよ!とレシピ本をめくる母親にはっとして、慌てて本をひったくった。
「ななっ、何のことだよッ!」
「あら、だってあんなに眉間にしわを寄せて真剣に見てたじゃない。本命がいるんでしょ?」
「ち、違うよッ!今年は他の子たちも手作りするって言ってたから、被らないかどうか考えてただけっ!」
「お母さんはあなたが部屋にラッピングボックスを隠していることを知っています」
「!」
「お父さんには内緒にしててあげるから、どんな人か教えてよー!」
自分よりもよっぽど少女らしい母親の態度に気が抜けるが、はっとして首を振った。
「違うからねっ!」
「えーっ」
強情な左近からそれ以上聞き出すのはやめたのか、母親は笑いながらも手を引いた。ぐっと気合を入れ直し、左近は深呼吸をしていたチョコの封を開ける。
――違う。本命とかじゃなくて、あの人は大人だから、三郎次やクラスの友達とは違うだけで。
「……違うからッ!」
「もーわかったわよー、もう聞きません。はぁ、青春っていいわねぇ。お赤飯炊こうかしら」
「お母さん!?」
「ハイハイ」
――結局、作っている間中左近の頭を占めていたのはあの人のことで、くるくると表情を変えていた左近を母親は笑って見ているだけだった。
2012'02.10.Fri
「これはなんですか?」
――正直に言うなら、油断していた。大学に上がった鉢屋を待ち受けていたのはかわいい恋人との逢瀬が減るという現実であった。受験期間を乗り越え、散々連れ回して遊んだ春休みも終わり。ひとり暮らしの生活は予想以上にもの悲しく、しかしまだ中学生の彼の門限は7時。距離の都合で塾への送り迎えもままならない今、鉢屋には楽しみが何もなかった。合い鍵は渡していたけれど使う機会は一向に訪れず、彼が真面目そうに見えていたずらもやってみせる性格だと忘れてしまっていた。まさか突然来るなんて。
――いや、何を言ってもだめだ。
山積みにされたAVを前に正座して、鉢屋は黙ったまま冷や汗をかく。どう説明をしたところで半端な嘘は彼にばれてしまうだろう。それは怒りをあおるだけだ。
鉢屋のかわいいお気に入り――黒木庄左ヱ門。目に入れても痛くないとばかりに可愛がる様子を知人はおじいちゃんと孫、と称した。実は正真正銘の恋人同士であることを知るものはほとんどいない。
「もう一度聞きますね。これはなんですか?」
それはもう、極上の笑みであった。彼の凛々しさも知的さもその笑みひとつがすべてを物語る。
「……文句あるならヤらせろよぉぉぉ!」
「開き直らないで下さい」
「君には悪いが私はもう18だ、現役バリバリ性少年だ、溜まるもんは溜まるし抜かないと夢見が悪い!」
「だからってこれはないでしょう!人妻!ナース!レイプ!野外!熟女!巨乳!女王様!JK!複数!レズ!」
「やめろぉぉぉ」
一枚ずつ広げていく庄左ヱ門に頭を抱える。きっと鉢屋が戻るまでにきちんと改めたのだ。下手すると何枚か再生しているかもしれない。いや、生真面目な彼のことだから、18禁の表示は守っているだろうか。
「一体どれがお好みなんですか」
「どれでもない!私の話を聞いてくれ」
「……一応聞きましょう」
「君がいい」
「……」
「君の手の感触を思い出して抜いた後の罪悪感はもう嫌だ」
「それは聞きたくなかったです」
「君が嫌だというのなら二度としない」
「……」
まっすぐ見つめると庄左ヱ門は溜息をついた。鉢屋がびくりと肩を揺らすと苦笑する。
「すみません。かっとなりました。ぼくはまだわかりませんが、男には必要だとわかっています」
「へ?」
「鉢屋先輩がちゃんとぼくのことを大切にしてくれていることは知っています。少しだけ妬きました」
恥ずかしそうに笑う庄左ヱ門をぽかんと見た。さっさとAVを片づけながら、庄左ヱ門は言葉を続ける。
「先輩が先に行っているのが悔しくて。もう少しだけ、ぼくが大人になるのを待っててくれませんか」
「ッ……」
じわり、と顔が熱くなる。一枚も二枚も上手なのは、自分を子どもだと言う君の方なのに。
――正直に言うなら、油断していた。大学に上がった鉢屋を待ち受けていたのはかわいい恋人との逢瀬が減るという現実であった。受験期間を乗り越え、散々連れ回して遊んだ春休みも終わり。ひとり暮らしの生活は予想以上にもの悲しく、しかしまだ中学生の彼の門限は7時。距離の都合で塾への送り迎えもままならない今、鉢屋には楽しみが何もなかった。合い鍵は渡していたけれど使う機会は一向に訪れず、彼が真面目そうに見えていたずらもやってみせる性格だと忘れてしまっていた。まさか突然来るなんて。
――いや、何を言ってもだめだ。
山積みにされたAVを前に正座して、鉢屋は黙ったまま冷や汗をかく。どう説明をしたところで半端な嘘は彼にばれてしまうだろう。それは怒りをあおるだけだ。
鉢屋のかわいいお気に入り――黒木庄左ヱ門。目に入れても痛くないとばかりに可愛がる様子を知人はおじいちゃんと孫、と称した。実は正真正銘の恋人同士であることを知るものはほとんどいない。
「もう一度聞きますね。これはなんですか?」
それはもう、極上の笑みであった。彼の凛々しさも知的さもその笑みひとつがすべてを物語る。
「……文句あるならヤらせろよぉぉぉ!」
「開き直らないで下さい」
「君には悪いが私はもう18だ、現役バリバリ性少年だ、溜まるもんは溜まるし抜かないと夢見が悪い!」
「だからってこれはないでしょう!人妻!ナース!レイプ!野外!熟女!巨乳!女王様!JK!複数!レズ!」
「やめろぉぉぉ」
一枚ずつ広げていく庄左ヱ門に頭を抱える。きっと鉢屋が戻るまでにきちんと改めたのだ。下手すると何枚か再生しているかもしれない。いや、生真面目な彼のことだから、18禁の表示は守っているだろうか。
「一体どれがお好みなんですか」
「どれでもない!私の話を聞いてくれ」
「……一応聞きましょう」
「君がいい」
「……」
「君の手の感触を思い出して抜いた後の罪悪感はもう嫌だ」
「それは聞きたくなかったです」
「君が嫌だというのなら二度としない」
「……」
まっすぐ見つめると庄左ヱ門は溜息をついた。鉢屋がびくりと肩を揺らすと苦笑する。
「すみません。かっとなりました。ぼくはまだわかりませんが、男には必要だとわかっています」
「へ?」
「鉢屋先輩がちゃんとぼくのことを大切にしてくれていることは知っています。少しだけ妬きました」
恥ずかしそうに笑う庄左ヱ門をぽかんと見た。さっさとAVを片づけながら、庄左ヱ門は言葉を続ける。
「先輩が先に行っているのが悔しくて。もう少しだけ、ぼくが大人になるのを待っててくれませんか」
「ッ……」
じわり、と顔が熱くなる。一枚も二枚も上手なのは、自分を子どもだと言う君の方なのに。
2012'02.08.Wed
「積もるかしら」
「さあな」
すっかり慣れた竹谷の気配に、しのぶは振り返らずに問いかけた。主であるしのぶにぶっきらぼうな口を利く竹谷はいつも通りの忍び装束で、着込んだしのぶと比べると見た目に寒いほど薄着だ。隣に座る様子は平然としていても、その耳や指などは赤い。態度には出ていないが、体が冷えていることはひと目でわかる。
「ほれ、甘酒」
「ありがと」
しのぶが差し出されたおちょこを受け取ると、竹谷がそこに甘酒を注ぐ。ほわんと湯気が上がるのがいかにも温まりそうで、思わず頬を緩めた。
雪は音もなく降り積もる。ぼんやりと外を見ていた時間はそう長くないはずだが、見始めたときよりも景色はずいぶん白くなった。
生物が活動を鈍らせる冬がやってきた。先日山伏をしている三治郎が泣き言を言いに来ていたことを思い出す。夏も暑いだろうが、この季節も辛いだろう。風邪をひかなければいいが。
「孫兵は?」
「孫次郎と狼を連れて山へ芝刈りに」
「すずは?」
「首永様と餅を」
「ハチは?」
「しのぶのご機嫌伺いに」
「……寒いわ」
「ははっ、そりゃ結構。冬だからな」
しのぶは甘酒をすする。竹谷は甘酒すら口にしない。忍者に酒は厳禁らしいが、甘酒程度で酔う男にも思えなかった。特に無理強いしたことはない。しのぶが命じれば酒ぐらいは飲むだろうが、その行為は何にもならないだろう。
「春になる準備だ。雪が溶ければ山が起き出す」
「……こうも降ると、気が滅入るわ。溶けないんじゃないかと錯覚する」
「不変のものはないさ」
竹谷がこの城にやってきたのは、雪が溶けきった頃だった。まるで春を連れてきたかのように、満面の笑みで。出会った頃よりも無駄な肉が落ち、今ではすっかり子どもから大人へと変わっていた。城内の人間に慕われ、頼りにされている。
竹谷を雇って後悔したことはない。期待以上の働きをしてくれている。この城が大きな戦をせぬまま少しずつ勢力を広げているのは、間違いなく竹谷の働きあってのことだ。もしかしたら自分はこれからの世に必要な優秀な人材を、無駄に遊ばせているのかもしれない。
「炭を足そうか」
「……手を貸して」
「ん?」
「手」
言われるままに竹谷が手を差し出す。ぎゅっと握れば、それはあたたかい。冷えたしのぶの手に驚いた竹谷が、甘酒のかんを包むようにしのぶに持たせ、更に自身の手で覆った。じわりと指先が溶けていく。
「お前はすぐ冷えるな」
「どうにかしなさいよ」
「……なんと言われようと、この八左ヱ門でも冬はどうにもできません。せいぜい山の神様に、早く春を呼んでくれるよう祈るぐらいだ」
「私のために?」
「そうだな」
「あんたは私の言うことなら何でもどうにかしようとするのね」
「お前の無茶には慣れた」
くっくっと笑って肩を揺らす竹谷を見て、肩の力を抜く。ばかねぇ、思わずこぼした言葉も、竹谷は笑って受け止めた。
「お前の墓穴だって掘ってやるよ」
そう笑い飛ばすように、彼は人生の話をするのだ。
「さあな」
すっかり慣れた竹谷の気配に、しのぶは振り返らずに問いかけた。主であるしのぶにぶっきらぼうな口を利く竹谷はいつも通りの忍び装束で、着込んだしのぶと比べると見た目に寒いほど薄着だ。隣に座る様子は平然としていても、その耳や指などは赤い。態度には出ていないが、体が冷えていることはひと目でわかる。
「ほれ、甘酒」
「ありがと」
しのぶが差し出されたおちょこを受け取ると、竹谷がそこに甘酒を注ぐ。ほわんと湯気が上がるのがいかにも温まりそうで、思わず頬を緩めた。
雪は音もなく降り積もる。ぼんやりと外を見ていた時間はそう長くないはずだが、見始めたときよりも景色はずいぶん白くなった。
生物が活動を鈍らせる冬がやってきた。先日山伏をしている三治郎が泣き言を言いに来ていたことを思い出す。夏も暑いだろうが、この季節も辛いだろう。風邪をひかなければいいが。
「孫兵は?」
「孫次郎と狼を連れて山へ芝刈りに」
「すずは?」
「首永様と餅を」
「ハチは?」
「しのぶのご機嫌伺いに」
「……寒いわ」
「ははっ、そりゃ結構。冬だからな」
しのぶは甘酒をすする。竹谷は甘酒すら口にしない。忍者に酒は厳禁らしいが、甘酒程度で酔う男にも思えなかった。特に無理強いしたことはない。しのぶが命じれば酒ぐらいは飲むだろうが、その行為は何にもならないだろう。
「春になる準備だ。雪が溶ければ山が起き出す」
「……こうも降ると、気が滅入るわ。溶けないんじゃないかと錯覚する」
「不変のものはないさ」
竹谷がこの城にやってきたのは、雪が溶けきった頃だった。まるで春を連れてきたかのように、満面の笑みで。出会った頃よりも無駄な肉が落ち、今ではすっかり子どもから大人へと変わっていた。城内の人間に慕われ、頼りにされている。
竹谷を雇って後悔したことはない。期待以上の働きをしてくれている。この城が大きな戦をせぬまま少しずつ勢力を広げているのは、間違いなく竹谷の働きあってのことだ。もしかしたら自分はこれからの世に必要な優秀な人材を、無駄に遊ばせているのかもしれない。
「炭を足そうか」
「……手を貸して」
「ん?」
「手」
言われるままに竹谷が手を差し出す。ぎゅっと握れば、それはあたたかい。冷えたしのぶの手に驚いた竹谷が、甘酒のかんを包むようにしのぶに持たせ、更に自身の手で覆った。じわりと指先が溶けていく。
「お前はすぐ冷えるな」
「どうにかしなさいよ」
「……なんと言われようと、この八左ヱ門でも冬はどうにもできません。せいぜい山の神様に、早く春を呼んでくれるよう祈るぐらいだ」
「私のために?」
「そうだな」
「あんたは私の言うことなら何でもどうにかしようとするのね」
「お前の無茶には慣れた」
くっくっと笑って肩を揺らす竹谷を見て、肩の力を抜く。ばかねぇ、思わずこぼした言葉も、竹谷は笑って受け止めた。
「お前の墓穴だって掘ってやるよ」
そう笑い飛ばすように、彼は人生の話をするのだ。
2012'01.29.Sun
「おっぱい大きくなったと思わん?」
「……は?」
丸井の口に入るはずだったミートボールがべたりと落ちた。机の上に落ちた鈍い音がどこか遠くで聞こえた気がする。丸井のリアクションに仁王は首を傾げて見せた。丸井はじっと仁王の胸を見る。服の上からだがまじまじと見つめたあと、仁王の顔を見上げた。仁王はそれににこりと笑い返したが、丸井は眉をひそめる。
「は?」
「喧嘩売っとるんか」
「変わってねーよ」
「ブタ」
「はぁ!?」
「ブン太に見せようと思ってかわいい下着買いに行ったら、ワンサイズあがっとったんよ」
「へぇ、おめでとう」
落ちたミートボールにフォークを突き刺し、丸井はそれを気にせず口に放り込んだ。丸井は今可愛い彼女よりも、大皿に盛られたミートボール入りのスパゲッティの方が大事であるらしい。
ばか!とぶつかるように腕に絡みつくと、丸井は少し体を傾げたが相変わらず食事を続けている。どうやったらこいつの食欲に勝てるのかわからない。眉を寄せる仁王に、ブン太はミートボールを差し出した。黙って口を開けてそれを迎える。
「で、ワンサイズ上がってBか」
「そうじゃ」
「それ太っただけじゃねぇの?」
「……そうやね、ブンちゃんもそれぐらいありそうやし」
ぺしぺしと丸井の胸を叩く。それでも反応がないので、掴んだ腕を抱き直してぎゅうと胸を押しつけた。
「邪魔なんですけど」
「食べ終わったら構ってくれる?」
「はいはい。かわいい下着見せてもらうわ」
「すぐ脱がす癖に」
「すぐ脱ぐ癖に」
「……は?」
丸井の口に入るはずだったミートボールがべたりと落ちた。机の上に落ちた鈍い音がどこか遠くで聞こえた気がする。丸井のリアクションに仁王は首を傾げて見せた。丸井はじっと仁王の胸を見る。服の上からだがまじまじと見つめたあと、仁王の顔を見上げた。仁王はそれににこりと笑い返したが、丸井は眉をひそめる。
「は?」
「喧嘩売っとるんか」
「変わってねーよ」
「ブタ」
「はぁ!?」
「ブン太に見せようと思ってかわいい下着買いに行ったら、ワンサイズあがっとったんよ」
「へぇ、おめでとう」
落ちたミートボールにフォークを突き刺し、丸井はそれを気にせず口に放り込んだ。丸井は今可愛い彼女よりも、大皿に盛られたミートボール入りのスパゲッティの方が大事であるらしい。
ばか!とぶつかるように腕に絡みつくと、丸井は少し体を傾げたが相変わらず食事を続けている。どうやったらこいつの食欲に勝てるのかわからない。眉を寄せる仁王に、ブン太はミートボールを差し出した。黙って口を開けてそれを迎える。
「で、ワンサイズ上がってBか」
「そうじゃ」
「それ太っただけじゃねぇの?」
「……そうやね、ブンちゃんもそれぐらいありそうやし」
ぺしぺしと丸井の胸を叩く。それでも反応がないので、掴んだ腕を抱き直してぎゅうと胸を押しつけた。
「邪魔なんですけど」
「食べ終わったら構ってくれる?」
「はいはい。かわいい下着見せてもらうわ」
「すぐ脱がす癖に」
「すぐ脱ぐ癖に」
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