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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.13.Thu
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2012'02.16.Thu
それは左近にとっては機械的な行事であった。前日には材料をそろえ、学校から帰ってすぐに始める。母親の趣味で道具は揃っていた。その母は毎年娘以上にはりきってラッピング用品を揃えたり、台所に立つ間ずっと辺りをうろついていたりと、普段はぶっきらぼうな娘が女の子らしいイベントに参加しているのをそれはもう嬉しそうに見ている。

――小学校の時からの恒例行事が、今年はいつもと少し違うことなど、母親にはすぐさまばれてしまった。

いつも通りにレシピを広げて材料を用意している左近を見て、母親はその手を止めさせた。

「あなた、義理と本命で同じものを作る気?」

「……は」

母親の言葉が理解できず、左近はぽかんとして彼女を見る。そんなのダメよ!とレシピ本をめくる母親にはっとして、慌てて本をひったくった。

「ななっ、何のことだよッ!」

「あら、だってあんなに眉間にしわを寄せて真剣に見てたじゃない。本命がいるんでしょ?」

「ち、違うよッ!今年は他の子たちも手作りするって言ってたから、被らないかどうか考えてただけっ!」

「お母さんはあなたが部屋にラッピングボックスを隠していることを知っています」

「!」

「お父さんには内緒にしててあげるから、どんな人か教えてよー!」

自分よりもよっぽど少女らしい母親の態度に気が抜けるが、はっとして首を振った。

「違うからねっ!」

「えーっ」

強情な左近からそれ以上聞き出すのはやめたのか、母親は笑いながらも手を引いた。ぐっと気合を入れ直し、左近は深呼吸をしていたチョコの封を開ける。

――違う。本命とかじゃなくて、あの人は大人だから、三郎次やクラスの友達とは違うだけで。

「……違うからッ!」

「もーわかったわよー、もう聞きません。はぁ、青春っていいわねぇ。お赤飯炊こうかしら」

「お母さん!?」

「ハイハイ」

――結局、作っている間中左近の頭を占めていたのはあの人のことで、くるくると表情を変えていた左近を母親は笑って見ているだけだった。
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