言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2012'02.16.Thu
※三上たち→高2、水野たち→高1。中西と水野が幼馴染設定。
※未成年飲酒ネタ
※高3ぐらいのときに書いたやつ推敲してない
※未成年飲酒ネタ
※高3ぐらいのときに書いたやつ推敲してない
「……何してんですか?」
「……藤代ッ鍵閉めろっつったろ!」
「えーッ俺閉めましたよー!」
「閉まってねェから開くんだろ!」
「いたーッ!痛いっす!」
「三上酔うとセーブきかないからねェ」
「とか言ってないで中西先輩助けて下さいよッ、タクー!」
「俺に振らないでよ」
「……」
質問には答えてもらえず、いや、何をしているのかはわかるのだ。なぜこうなっているのかを聞きたかったのだが、水野はさらりと無視を決め込まれた。どうしようか。
1.大人にチクる。但し一層険悪になること間違いなし。
2.忘れる。しかしそのうちコレも終わり。同室の笠井は部屋に戻ってくるだろう、酒の匂いをさせて。
3.混ぜてもらう。いや、これは断じてありえない。というか無理。
そんな水野の葛藤を知ってか知らずか、中西はにやりと笑って手招きをした。
「入って鍵閉めて」
強制的に3の選択。こうして水野は自習室での宴会に招かれたのだ。
*
「はいたっちゃん、コップ持って」
「たっちゃん言うな!」
「まあまあ」
中西は水野に紙コップを持たせ、自分の持っていたチューハイの缶から半分ほど中身を注ぐ。
「これ一体何を」
「言っとくけど首謀者は我らがキャプテンよ」
「……」
中西の指先を辿れば見覚えのある、3年生の集団。他にいる2年1年はどの顔も彼らと仲のいい人ばかりで、転入組は自分ぐらいだろう。一番出来上っているのが礼の我らがキャプテン、因みに渋沢にあらず。GW初日にこの様だ。水野は何度目かの後悔をする。高校の選択を間違ったのではないだろうか。
「みずのー、みずのー、お前って酒飲めんの?」
「……藤代、酒臭い」
「あっはっは俺大分酔ってるっぽいから〜」
「藤代はまだ今はましな方よー、そのうち人に絡みだすからー」
「つかさっき二宮先輩沈めてきました☆」
「ん、グッジョブ!」
さわやかな笑顔で中西は親指を立てて見せる、藤代も笑顔でそれを返した。
「藤代、竜也はまだきれいなままでいさせてあげてね」
「はぁ、じゃあ危なかったら止めて下さいねー」
藤代ー、先輩に呼ばれ、藤代はわんと鳴いてそっちへ向かう。犬か。酔っ払った大型犬はなにやら男ハーレムだ。
「……何の話だ?」
「藤代キス魔になるから」
「……」
「まあ俺が悪いらしいんだけどネ☆」
「原因お前か……。これ一体何なんだ?」
「えーとねー、遠山キャプテンがね。彼が中等部のとき賭けの元締めやっててー、んで俺らが2年のまとめ笠井たちが1年のまとめってやってたのよ」
「賭け……」
「まぁ次が俺で次が笠井って伝統的に受け継がれたんだけどね、どうも笠井の次は優秀な人材がいなかったようでストップしちゃって」
「それはよかった」
「そんで、長年の賭けの売り上げを俺らはちゃんと補完しておいたので、そいつでぱっと盛り上がろうということになり、松さんのいない今日宴会をね」
上機嫌で笑う中西ももしかしなくても酔っているのだろう、顔はそうでもないが耳が赤い。なんで自習室なんて覗いてしまったんだろう。放っておけばよかった。ふと見ると渋沢まで混ざっている。酒の缶が馴染んでしまうのもどうかと思う。視線に気づいたのか、中西は渋沢を見て笑った。
「ちなみにあいつ金の保管係ね。ちゃんと通帳作ってんの」
「……」
「んでー俺は記録とか分配ね、辰巳が会計やってー」
「辰巳先輩……!?」
よく見ればちゃっかり混ざっている。高一初夏、早くも幻滅の多さに打ち砕かれそうだ。
「あと三上は負けキング」
「うっせーよ!」
三上の方からプリッツの箱が飛んでくる。なぜかそれは水野にクリーンヒットするが、ピッチャーは既にこっちを見ておらず暴投にも気づいていない。
「……武蔵森って……」
「ああ安心なさい、悪い子はこの辺で大体全部だから」
「見事に裏切ってくれる人たちばかりだけどな」
「俺ってそんなに真面目そう?」
「あんた以外!」
「先輩に向かってなんて口のきき方すんの」
「……」
添う入っても幼馴染。先輩、と笠井が寄ってきて、中西はいきなりその腰に抱きついた。
「あれ、水野」
「笠井……」
「なんだ、もう寝てるかと思ったのに。……酒いけんの?」
「……飲んだことない」
「ふーん?まあ飲むなら救急車いらない程度にね、急性アル中とか言われても救急車呼べないからさぁ」
「……」
「中西せんぱーい、起きてる?」
「起きてるー眠いけどー」
「寝ないでー。遠山キャプテンが王様ゲームやろうって」
「王様ゲーム!よしきた!」
途端に中西が立ち上がり、いきいきとした表情で先輩たちの方へ向かっていく。
「……俺帰っていいか?」
「中西先輩に呼ばれたなら帰らない方がいいよ、酔ってるとき怒らすとヤバいから」
「……こんなことしてばれたらヤバいんじゃないのか?」
「……買い出しは3年の5対でかい人たちで行くし、明日は缶の日だから即行処分できるし、高等部だと中等部より大分緩いから夜は寮母さんいないし、どこにばれる要素があるの?」
「……」
「万が一ばれても多分大丈夫」
「なんだよその自信」
「だってこのメンバーだよ?」
「……」
それはどういう意味で。サッカーの技術云々の話ではないのだろう。
行くぜ、王様ゲーーーーーム!
藤代が大声を出し過ぎて慌てて周りに押さえつけられている。
「あーあ……コレ酔ってる方がましなんだよなー」
「笠井は飲んでないのか?」
「酔わないんだよねー」
「……」
はい、と渋沢がくじを引かせに来る。辞退しようと思ったがそれは許されないようだ。どうして渋沢まで。水野は心の中で泣く。
「王様だーれだ!」
3年の方で誰かの手が上がる。全体の人数は15人程度いるだろうか。
「3番が9番の秘密を暴露する!」
げ、と笠井が呟いた。覗きこんでみると3番。更にげええと声を上げるのは近藤だ。
(いたんだ……)
水野もなかなか非道だが、笠井も近藤先輩ならいいかやと酷な台詞を吐く。
「3番誰だよー」
「はーい」
「笠井……!お前俺の秘密なんて何も知らねぇよな!?」
「えーと」
「何かあんのかよっ!?」
「……お母さんが忍者」
「あああッ!」
笠井のセリフの次には近藤が机の影に逃げ出している。忍者?ざわめく周囲に笠井が情報の修正をした。
「昔忍者村でくの一やってたらしいですよ」
「お前なんで知ってんだよ……」
「忍者かー……近藤って、下の名前」
「忍」
「「……」」
ドッと一同大爆笑。
近所迷惑な笑い声に近藤は机の影から笠井を睨み、笠井は笠井で彼にVサインを返してみたり。
「ハイ次ー!」
わりばしが回収されて再び渋沢が回ってきた。王様ゲームってどうやったら終わってくれるんだろう、水野は既に憂鬱だ。こんなノリは苦手だと言うのに。向こうがざわめいた、と思えば、いきなり本命が来たらしい。
「うわ……先輩王様……」
割り箸を揺らして仁王立ちしているのは中西陛下だ。ぞくっと鳥肌が立ち、水野は腕をさする。
「なーにしよっかなー」
ふんふん、とご機嫌で辺りを見回す中西を得に覚えているのはなぜか3年。
「……偶数番、チューハイをヤクルトで割って飲め」
――絶叫、暗転。
「……おいしくない?」
「どこがだ……」
いたくお気に召してしまった藤代がご機嫌なのを覗くと、半分がそれだけで力尽きている。中西も手を添えて高笑いせんばかりの絶好調だ。
「うら次ィッ!」
*
「11番が5番にべろちゅー!」
待ってましたと言わんばかりにキャプテンの一声。水野は自分の数字が呼ばれなかったことに心底安堵する。大いに盛り上がり拍手をし始めたのはもしろん指定外の人だろう。
「うそ……」
隣の声に笠井を見れば、手にした割り箸は11番。ふと振り返れば笠井の後ろで藤代がキャプテンにピースサインをしている。
(……黙っておこう)
呼ばれる確率を下げられるだけ下げたい水野はルームメイトを切り捨てた。
「11番笠井?」
「え〜。5番誰〜?」
楽しげな中西にも合わせられる周りを見渡せば、固まっている人物がひとり。こいつだ、とばかりに渋沢は隣の5番を指差した。三上亮。
「なんだぁ」
何故か残念そうな中西。
「おっ、三上と笠井?11が5に、な。笠井どっち?」
「11です」
「じゃあ笠井が三上に!」
「なんでそこにこだわるんスか!」
「俺は5番が中西だったら面白そうだなと思ったんだけどよ」
「よっし、先輩行きますよー」
なぜかはりきる笠井に一同は疑問も抱かず盛り上がる。座ったままで動かない三上の前に笠井が立ち、グイと頬に手を添えて上を向かせた。
「ちょ、マジ俺こーゆーのやなんだって!」
「王様命令」
びしっとキャプテンは指示を出す。ヒュッと息を飲んで三上は顔を強張らせた。それも無視して笠井は顔を寄せる。直接触れているところは笠井の手が隠してしまったが、しんと急に静かになった部屋の中で呼吸の音だけが響いた。洒落にならん。青くなるやら赤くなるやらで水野は本気で逃げ出そうとするが、中西に捕まえられる。
「――……こんなもんで!」
笠井が三上を開放して酔っ払いから大歓声を受ける。三上は力尽きたように首を垂れて口を拭った。
「笠井ーお前3年間で何があったんだよー」
「3年前は笠井が本気で泣いて嫌がるからパスしたぐらいなのにな」
「だってあれ遠山キャプテンほんとに怖かったんですよ!」
「あれはでも逆にいいもの見られたけどなー、真っ赤になって泣いてる笠井」
「変態……」
どっちもどっちだ。この時ばかりは三上が心底哀れだ。ていうか男同士で何コレ。しばらくして、よく考えれば三上と笠井は別にそういうことをしてもおかしくない関係なわけで、たまに部屋を交換と言って笠井が三上の部屋に行くこともある。なぜか代わりに来るのは三上のルームメイトの中西ではなく近藤なのだが。考えたことはなかった(むしろ避けてきた)が、彼らはやはりやることはやっているのだろうか。ぐったりしている三上は無視され英雄扱いの笠井を見るとばっちり視線がぶつかる。
「――やったげようか?」
「遠慮しときます」
「やらないけど。どうせなら中西先輩の方がうまいよ」
「おっ何やら意味深〜」
「ハイ次行きましょー」
「えー怪しいなお前ら」
「……」
絶句。空気の流れで三上と笠井のことは公認状態だと思っていたのに。帰りたい……水野の希望もよそにまた割り箸が回ってくる。
「王様はー?」
「よぉッし!」
ガッツポーズを決めたのは三上。……目が、座っている。
「1番が2番にべろちゅー!」
「ほらきたぁッ」
どっと周りから冷やかしを受けながら三上はぐるりと見回した。申請者はいない。
「1番と2番誰ー?あ、水野違うね、残念」
「……中西は」
「残念5番」
(なんで残念……)
「あれ?ほんとに誰?」
「2番発見!」
「あっ、バカッ!」
リングの上の商社のように笠井の手を捕まえて藤代が挙手させる。
「また笠井?」
「絶対ありえないっ、何か仕組まれたっ!?」
「ないない」
「やだーっもう俺やった!」
「1番誰だー?」
「……ハイ」
「「「…………」」」
辰巳……誰かが小さくつぶやいた。
「……辰巳ってそーゆーのアリ?」
「でも辰巳ってタラシなんだろ?」
「タ……」
「マジで?」
「え?だってほら、辰巳の部屋で夜な夜なって中等部で噂だったんだろ?俺ら高等部行った後だからよく知らねーけど」
「あと女子棟への侵入口は網羅してるとか」
「本棚エロ本ばっかりなんだろ?」
「どこからそんな噂が……」
辰巳が頭を抱える。先輩たちはまだ色々話しているが聞きたくない。
――視線も痛い。穴があきそうな熱視線を辰巳に送っているのは中西。顔を上げた辰巳は中西と目を合わせた。顔は笑っているが目は真剣だ。
「……よしっさっさと終わらせるぞ笠井!」
「嘘ッなんで辰巳先輩乗り気なの!?」
「いってらっしゃーい!」
「うわッ」
「ちょ……や、やっぱ命令変えたい!」
「却下でーす」
三上の助太刀もむなしく笠井は先輩に連行され、辰巳の前へ連れて行かれた。
「……た、辰巳先輩」
「加減がわかんないんですけど」
「んじゃ30秒!」
「ぎゃっ」
よけいなことを!生憎(?)水野の角度から見えるのは笠井の後頭部だけだが、多分すごい顔をしているのだろう。対する辰巳はあまり変わらないように見える。さあさあと急かされる辰巳だがいざとなると笠井を見て困っていた。
ふいに隣の中西が立ち上がり、何気なく見上げて水野はすぐに目をそらす。怒気が見えた。見えていた。そしてなぜ怒ることがあるのか、と思い当る。三上が怒るのなら、わからなくもないのだが。
中西は辰巳のそばへ行き、彼を引っ張って強引に引き寄せる。何かを言いかけた辰巳を遮って、噛みつくようにキスをした。
一同が静まり返る中、ふたりは異様なほどの密着を見せている。辰巳の首に回した中西の手に力が入った。辰巳が押し返しかけると逆に引き寄せて。
「……ッ」
やっと中西が離れてほっと息を吐き、ギャラリーも思わず息を止めていたのに気づいて呼吸をする。離れたのは唇だけで、依然抱きついたままの中西を辰巳が持て余していた。
「……な、中西」
「こーゆーことなんで」
「えっ」
「いくら笠井でも辰巳は貸せないかな」
「中西」
「なによー辰巳だってちょっと楽しかったでしょ?」
「……」
「俺なんか乗ってきちゃった」
「おい」
「帰ろ。三上今日テキトーなとこで寝てね〜別に入ってきてもいいけどさ〜」
行こうと促すこともなく中西は辰巳の腕を引っ張って部屋を出ていった。残された彼らはどうしていいのかわからない。
「……俺……」
一番近くで見てしまった笠井がようやく口を開く。
「……今日ほんとに中西先輩すごいって思った……」
「あれはなー……」
「……じゃなくて」
「え?」
「俺あんなのされたら立てない」
「…………」
――水野が願った甲斐あってか、宴会はその場でお開きとなった。何とも言えない後味の悪さを抱えて、酔いも覚めた一同がのそのそと部屋を片づけていく。
「……あのさぁ……お前ら、俺らが卒業してから何があったの?」
「……思えば、遠山キャプテンが中西先輩いじりすぎたんじゃ……」
「えっ何!?俺のせいなの!?」
「あいつが中1のとき遠山がいじめ倒してたもんなー」
「つーか色々教え込んでたよなー」
「俺が相手してるときはもっとかわいげがあったんだけどなー」
「……」
「あっ水野がマジ泣きしてる!」
「水野!」
「今までで一番強く辞めたいと思いました」
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