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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.11.Sat
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2009'09.08.Tue
ぐーぐる先生の脚にすがりつきながら書いている。
自分が知っているところ過ぎてわかりにくかったらすいません。法善寺はどうやって描写すればいいのだろう……あれ……あれ、なんていうの?水入ってるの……器……かめ?鉢?














 

「――ドSやん」
早すぎるモーニングコールも3日目になれば怒る気もしてこない。鳴り続ける携帯に浮かぶのは『財前』の文字、嫌がらせとしか思えない。
「――もしもし!」
『あ、おはようございます。寝てました?』
「あたりまえや!5時やで5時!朝練ない日ぐらいゆっくり寝かせぇ!」
『散歩行きません?』
「……行ったるわ」
直接会ってしばき倒す。決意して体を起こす。電話の向こうの財前は少し間を置き、ほんなら今すぐ出てきて下さい、とあっさり言った。
「どこ言ったらええの」
『行きたいとこあるんで、戎橋のツタヤ前で』
「今すぐやな」
『ハイ。ほな後で』
電話が切れたのと同時に着替え出し、さっと寝癖を直して今日はまだ誰も起きていない家を抜け出す。日の昇り切っていない早朝は静かで、その清々しさに早起きは三文の徳なんて言葉が浮かんだが、財前に感謝する気持ちは微塵もない。
そう遠くもないので徒歩で向かった待ち合わせ場所で、コーヒーショップの前でしゃがみこんでいる人物を見つけて近づいていく。気づいて顔を上げた財前は眠そうで、いつもセットしている髪も手を加えていないままだった。ピアスもついていない耳の、ピアスホールに目が行く。
「おはよーございます」
「……人起こしといて眠そうやな」
「眠いっしょ。5時っスよ」
「寝とけや!」
「スタバもはよから開いとったらええのになー。ほな行きましょか」
立ち上がった財前はいかにも寝てました、と言わんばかりのスウェットにTシャツと言った姿で、着替えてきた自分が馬鹿らしくなる。ふらふらと歩きだす財前に溜息をついた。怒る気もなくなってしまう。結局、財前の気まぐれだか嫌がらせだかにつきあってしまった自分が悪かったということか。
シャッターの閉まった商店街に入ったかと思えばふいと道を曲がり、その前に法善寺の看板を見つける。
「謙也先輩、5円玉持ってます?」
「は?財布なんか持ってきてへん」
「ほな、これ。お参りしましょ」
渡された5円玉にきょとんとしている間に財前はどんどん歩いていく。追いかけて先に目に入ったのは夫婦善哉の文字で、財前はその横にある法善寺へ向かっていた。あることは知っていたがいつも通過するぐらいで、その通りに財前といるのは妙な気分だ。5円玉を賽銭箱に投げ、財前は苔むした像の前に立つ。置かれていた柄杓で水をかけ、手を合わせた。謙やは置いてけぼりだ。
「……何のお願いやねん」
「謙也先輩にえー人が現れますように」
「ハァ?」
「縁結び、ききまっせ」
からかうように笑った財前がどうぞ、と謙也に場所を譲る。賽銭を投げはしたが作法などはさっぱりわからない。
「どうすんの」
「来たことないんスか」
「ない」
「……水かけて、お願いしたらええだけですわ」
自分はそばにあった空のバケツをひょいと持ち上げ、水を汲みに行く。少しためらってお不動さんの前に立ち、その前にある柄杓をとった。財前がしていたように鉢の水をかけて手を合わせる。もしかして昨日部室であんな話をしたから、気を使って連れてきてくれたのだろうか。えー後輩なんかわからんわ。結局願い事は何も出てこず、顔を上げて財前を振り返る。
「ちょっと歩きません?」
「……えーけど」
財前が歩くのに任せてついていく。シャッターの閉まった商店街は静かなのかと思いきやトラックや清掃車が通り、昼間とは違う騒がしさがあった。オールでもしていたのか、大学生ぐらいのグループが笑いながら駅に向かっている。隣の財前を見ればポケットに手を入れたままむっつりとして、なぜ自分が呼ばれたのかわからなくなった。
「……自分、いつも朝歩いとんの」
「夏は。昨日は、ユウジ先輩と」
「何でわざわざ人呼び出すねん」
「じいちゃんがひとりで歩いたらあかんって怒んねん」
「ハァ?」
そこではなく早朝にふらふらしていることを怒ってほしい。財前が変なんやなくて家族が変なんや、思わず口にしても何も帰ってこなかった。
少しずつ気温が上がっていくのがわかる。日本橋まで出て、財前は溜息をついて足を止めた。
「何や」
「疲れたんで帰りますわ」
「……は?」
「ほな部活で」
体を返して地下へもぐっていく財前の背中を止める間はなかった。あっという間に見えなくなった頭を探して視線が彷徨い、はぁ?と声が出る。早朝5時に人を電話で呼び出して、何をするでもなく黙って歩くだけ、挙句に疲れたから帰る、なんて何様のつもりだろうか。一気に怒りがこみ上げて、のこのこ出てきた自分にも腹が立ってくる。苛立ちに任せた早足で帰宅しても気分は晴れない。家族は誰も起きておらず、1時間足らずの時間だったが無駄遣いをしたとしか思えない。
苛立ちがおさまらないまま学校へ向かう。
「おはよう謙也」
「……おはよう」
「なんや機嫌悪いな」
「悪くもなるわ!」
登校したばかりの白石を昇降口で捕まえて、今朝の話をすると白石は苦笑した。こっちにしてみれば笑いごとではない。
「ちょっとテニスうまいんか知らんけどほんまあいつ調子乗っとるわ!何様のつもりやねん!」
「光様なんちゃう?」
「なんでわろてんねん!お前部長やろ!」
「プライベートの面倒までよう見んわ」
「あ~~~めっさ腹立つ!俺あいつ嫌いやわ!顔も見たない!」
「よかったやん、今日からテスト期間で部活休みやで」
そういう問題ちゃうわ!吠えた謙也に溜息をつく白石を睨めば、テニスプレイヤーのくせに白い腕を伸ばして謙也の後ろを指差した。反射的に振り返ればそこに財前が立っていて、一瞬心臓がどきりと鳴る。
「財前くんおはよう」
「おはようございます。……部長、朝から大変っスね、うるさいのに捕まって」
「まぁ部長の仕事みたいなもんや。来年は財前にやってもらおうかと思てんけど」
「絶対嫌です」
謙也に一度視線を送り、財前は踵を返して1年の下駄箱へ向かった。その反応にまた苛立ち、思わず足を踏み鳴らす。
「怒りや!」
「もー財前はええわ、ほっとく」
「なんで!?いつもの白石やったらもっと怒るやん!」
「今んとこ被害受けとるん謙也だけやし、テストやし。自分でどうにかしぃ」
「うっわ……自分それでも親友か!」
「あたりまえやん。でも俺謙也より自分が大事やから」
「最低やなお前」
「ノート貸さんで」
「すいません」

 

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