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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.13.Thu
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2009'09.13.Sun
先が見えない。

先日リアルに早朝の難波を歩いてきました。人の量が中→小→大になるのが面白かったです。
あとラブホからオサムちゃん出てきぃひんかな~って言ってたらリアルにラブホの前通りかかったときカップルと鉢合わせして気まずい思いをさせてしまった。すいません。














「……だから……なんでやねん……」
『財前』の文字を浮かべて鳴る携帯にがくりと首を垂れる。外では鳥が鳴き出し、確かにさわやかな朝ではある、が。昨日の今日で行ってやる気にならないが、留守電に切り替わらない謙也の携帯はひたすら鳴り続けていた。仕方なくボタンを押して耳元に当てる。
『おはよーございます』
「……なんですか」
『散歩行きません?』
「行きません」
『あ、そうですね、謙也先輩俺の顔も見たないんでしたっけ。すんません、ほな』
一方的に通話は途切れ、思わずそのまま電子音を聞いてしまう。ゆっくり携帯を下ろして画面を見れば、通話時間は10秒にも届かない。夢かと思うほどの会話をじわじわと思い返す。――あいつ、もしかしてめっちゃ気にしとる?昨日の朝昇降口で言ったことなんて勢い任せに口から出ただけで、謙也の本心ではない。確かに生意気で付き合いにくい後輩だが、嫌いなわけではないのだ。嫌ってもいない後輩を傷付けてしまっただろうか、と落ち込んでくる。あんな性格のやつが素直に謝ってくるとも思えないし、彼なりに親しくしてくれようとしているのかもしれない。そう思うと途端に罪悪感に襲われて、そわそわして携帯を見る。かけ直したら迷惑だろうか。一言謝りたいだけだが、そんなことで電話するのも変な気がする。慌てて修正すんのもやらしくない?つーか何で言ったらええの?別にお前のこと嫌いちゃうで、とか、おかしない?
ぐるぐる考え込んでいるうちに時間は30分ほど経ち、結局かけられないままになってしまう。部活で顔を合わせないのが逆に気まずいような気がして、だからと言ってわざわざ会いに行くのも妙だ。

昨日のようにどこかでばったり出会わないだろうか、やや期待して行った学校でも、そんな都合のいいことは起こらない。
「なんや、謙也今日元気ないな」
「……んー、ちょっと」
「白石今日帰るかー?」
昼休みの教室に入ってきたのはユウジで、その腕に小春が絡みついている。ウザいの来たー、思わず口にする謙也はそろって無視だ。
「今日は図書室寄らん?」
「今日ははよ帰るつもりやで」
「ほな問題集返しとくわ。やりたいとこはできたし」
「もう?早いな、昨日貸したとこやのに」
「財前や財前。あいつ早朝にまた人起こしよって、しゃーないからマクドでテスト勉強しとってん」
「ユウくん最近光ちゃんと仲良しね。妬けちゃうわー」
「あほか、俺は小春ひと筋や!あんなんただのかわいない後輩やん」
「ユウくん!」
「小春!」
「はよ帰って」
うっざ、マジうっざ。なんやねんあいつ、俺があかんかったらユウジかい。今日1日悩んでいたのがばからしくなってきた。あいつ結局誰でもええんやな、さしあたって先輩と思ってないやつから電話かけとるだけで。自分で思って腹が立つが、それ以外に思いつかない。
「朝て……ユウジお前ええ男やな、わざわざこっちまで出てきたんか」
「おう。めんどいから財前待たして、着替えて家出たんや。マクドから登校やで」
「財前は?」
「帰った。学校来とるか知らんけど、多分来とらんな」
「……来てへんやろなぁ……あいつ部活ないとすぐサボりよる」
「光くん部活好きやからねえ」
「……あいつがぁ?」
小春に思わずつっかかるとすかさずユウジが割り込んでくる。こいつらのこの芸どうにかならんかな、どこまで本気かわからんのが怖いんやけど。
「光くん部活だけは遅刻も早退もせえへんからねえ。ね、くらりん」
「ちょっと休憩時間が長かったりするけどな、まあ許容範囲やろ」
「なんなん自分ら、甘やかしすぎちゃう?」
「謙也そんなに財前くん嫌いなん?ええ子やで、ちゃんと見たりや」
「……なんで俺が悪者やねん。もーええわ!」
立ち上がって売店へ向かう。彼らにつき合っていたら昼食を食べ損ねそうだ。昼休みに入った直後の混雑から少し落ち着いた売店には大したものは残っていないが、今は腹が満たせれば十分だ。
「おばちゃん、あんぱんと牛乳」
ポケットの小銭から支払って、ビニール袋を受け取った体を返すと財前が歩いてくるのが見えた。どきりとして思わず足を止めてしまう。学校の中だと言うのに堂々とイヤホンをつけて、その先はポケットの中。昼休みの喧騒の中を涼しい顔で歩いていたかと思えば謙也と目が合い、謙也の動揺を知ってか知らずか、ためらいもなく踵を返して廊下を戻っていく。その背中にショックを受けた。どう考えても、避けられた。露骨に謙也に会いたくないと意思表示されたようなものだ。この持ち前の性格と合わず自分を嫌う人間がいることはわかっていても、自分の態度ではっきりと誰かを傷つけたと実感したのは初めてだった。
ビニールがかさりと鳴る。気づけば手をきつく握りしめていた。――自分は今朝、やはりしっぱいしたのだろうか。あのとき出て行って顔を合わせていれば、素直に謝れたかもしれない。いや、やはり電話でもすればよかったのか。胸がざわついて、今買ったものもとてものどを通るとは思えなかった。
 

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