言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
今日夜バスで帰ってきた友達がものすげー渋滞に引っ掛かっていたので、明日もそうなりそうなら夜バス利用のお姉さんは最悪京都で降りて大阪まで電車で来るといいと思います。
その友達を待っている間に連載分すげー進んだ。
どうでもいいけど、やべえ、これ、初めの構想より謙也がちょろすぎる。
「あれ……?」
まさかもうないだろう、と思っていた早朝の電話は、今日もまた謙也を起こした。謙也の携帯を鳴らし続けるのは財前で、しばらく呆然とする。そのあとはっとして、慌てて通話ボタンを押した。
「もっ、もしもし!」
『おはよーございます』
「お、おはよう……あ、あのな」
『散歩しません?』
「あ、う、うん、行く」
『何どもってんすか。きっしょいわ』
「……あのな、俺は」
『ほんなら戎橋で』
返事をする前に通話は途切れる。例によって通話時間はわずかで、何度も着信履歴を確認してから着替えて家を出た。昨日のあの態度は偶然なのだろうか。考えながら向かった待ち合わせ場所は、先日とは違っていた。レンタルショップからわずかに離れ、道頓堀川にかかる戎橋に財前の姿を見つけ近づいていく。相変わらずのスウェット姿で、謙也を見つけたくせに口を開きもしない。
「おはよう」
「すんませんねえ、顔も見たない後輩につきおうてもろて」
「えっ」
「行きたいとこあります?」
「いや……」
「ほんなら、適当に歩きましょか」
昨日とは逆の心斎橋筋に向かって歩き出す財前についていく。何を話すでもない財前に謙也もどうしていいのかわからない。こいつは俺のことが嫌いなのかなんなのか、そんなことをぐるぐる考える。
「ざ――財前、なんでテニス部入ったん?」
「そんなんテニスやりたかったからに決まってるでしょ」
「え、あ、せやんなあ……テニスやっとったん?」
「近所のガキと遊んだことある程度ですけど。もーあいつマジで泣かしたらんと気が済まん」
「それでテニス部入ったん?」
「……来年、めっちゃゴンタなん入ってきますよ。あー、ウザいなー」
「そいつ嫌いなん?」
「俺嫌いなやつにつき合うほど心広くないんで」
「あー、自分そういうタイプやな……」
じゃあ俺は?
とは聞けない。あの店うまいっすよ、とシャッターの閉まった商店街を歩きながら教えてくれる財前への相槌が適当になってしまう。
「ユウジとは仲ええの?」
「まあ、それなりに」
「何やそれ」
「ちょっと趣味がかぶっとったんで話は合いますけどね。うざいけど」
「お前先輩に向かってうざいとかよう言うわ」
「俺嘘ついたら鼻のびるんすわ」
「ピノキオか」
何やこいつ結構おもろいやん、少し気を良くして財前の肩を叩いてつっこむ。不意をつかれたのか数歩よろけた財前は謙也を振り返って溜息をついた。
「ほんま、テニス部の先輩らってうざいわ」
「なんでやねん、かわいがっとるだけやろ」
財前からはふーん、と気のない返事が返ってくるだけで手ごたえはない。それでも財前という後輩が少しわかった気がする。きっとわかりにくいだけで、本質は正直なのだろう。ユウジの言う「かわいない後輩」のニュアンスが今わかる。確かにこれは、面倒を見ざるを得ないかもしれない。ガキは嫌いやとなかなか後輩を相手にしないユウジをメロメロにするとか、どんなごっついやつやねん。
帰りは御堂筋側を歩いてまた戎橋へ戻った。来た時と比べると人通りは減っている。蝉の鳴き声を聞きながら、久しぶりに御堂筋を歩いた気がしてイチョウの季節が恋しくなる。秋の御堂筋は絶景だ。
「あ、あかん」
「ん?」
「腹減ったんで帰りますわ」
「……おう」
謙也を振り返り、財前はさっさと歩いていく。なんかもう、ええか。諦めて謙也はひとりで散歩を続けた。朝に歩くのは新鮮で、たまにはこういうのも悪くない。財前は何を思って毎朝歩くのだろう。
地下鉄への入り口を目に留めてふと気づく。財前は今日歩いて帰ったということは、家は近いのだろうか。それなら案外近所なのかもしれない。散歩の足も淀みなく歩くから、地理には詳しそうだ。近くなら一緒に帰ればよかった。次はそうしよう、思いながら財前が向かった方へ足を進めた。