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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.25.Sat
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2009'09.28.Mon
実は13ぐらいまでたまってるんだ。
早朝の宗右衛門町はきれいなお姉ちゃんとホストがいっぱいでした。
眠いのでレスは明日。











「お……おはよー」
「……おはよーございます」
「いつにもまして眠そうやな」
「眠いっすよ」
壁から背を離し、軽く首を回して財前は謙也を見上げた。ほな行きましょか、いつも通りの声だ。早朝の電話もいつもと何も変わらなくて、いっそ何か言ってくれれば、と思う。今回こそは謝ろう、と決意して家を出たのに、財前の様子がいつも通り過ぎてどう切り出したらいいのかわからなかった。
――ほら、絶対、気にしてへんやん。心の中で白石に訴えるも、実は自分が一番気にしている。
「朝マックして行かん?」
「ええっすよ」
いつも通り始まる散歩は、落ち着かないのは謙也ばかりのようだ。アホらしいと思いはするが、気になって仕方がない。
「なあ財前、昨日のこと、やけど」
「昨日?」
「せやから、部室で……」
「ああ、ええですよ。先輩が俺の顔も見たないって知ってますし」
「だから、ちゃうねん!」
「フォローはええですわ」
歩き出した財前の後を慌てて追う。もう慣れた早朝5時の戎橋、顔を覚えてしまったホストに見られながら川を渡る。スウェット姿の中学生と一緒に歩くのは着替えも済ませた金髪の中学生、向こうも嫌でも覚えるだろう。財前の方が早い日が多いから、謙也はともかく財前はおそらく完全に記憶されている。

「なあ、財前!」
「何すか」
「何って、だから昨日のは……ど、どこ行くん?」
「そえもん通って行こうか思て」
「そ……」
宗右衛門通りは謙也が立ち入ったことのない通りだ。中学に通い出し、寄り道を覚えた謙也に父親が苦々しい顔でそこは通ったらあかん、と言ったその通り。そこは未成年お断りの店が目につく通りで、一度興味で覗いて逃げ帰ったのは、少々刺激が強すぎたからだ。そこを堂々と歩いていく財前はただ不思議そうに謙也を見て、それをみるとプライドを捨てて財前を引きとめる、なんて選択はできない。謙也はええかっこしいなのが玉にキズや、昔から何度となく言われた言葉が頭をよぎる。
「変な人」
ふいと謙也から顔をそらして前を向く財前のそばを、ばっちり決めたホストがすれ違う。服装も髪形も決まっているのに顔だけは少し疲れていて、お仕事ご苦労様、と声をかけたくなった。
「なんも話ないんすか」
「え、あ、……うん」
ふん、と鼻で空気を逃がし、財前はもう口も開かない。目に飛び込むいかがわしい看板も目に留めずに歩く財前が何を考えているのかさっぱりわからなくて、なぜか必死で掛け算九九を頭の中で続けた。
「そういえば、謙也先輩」
「えっ、なっ、何?」
「カノジョ、おったんすよね」
「お、……おったけど」
なぜその話をこのシチュエーションで口にするのか。そわそわしている謙也のことなどきっと見越しているだろうに、この後輩は意地が悪い。
「なんかしたんすか」
「な、なんかて、何」
「なんか、や」
「……」
「ふうん」
「……何やねん」
「べっつに。趣味悪いよなぁ思て」
「自分俺の彼女知らんやろ!」
「元カノ、やろ。知らんけど大体わかりますわ」
「何やねんそれ」
「わかりやすい、ってことっすわ」
「……なら財前はどうやねん。彼女おらんの」
「いませんよ、邪魔くさい」
「好きな女子とかおらんのかい」
「……女ぁ?」
目に留めた看板の前で足を止め、じっとそれを見る財前に慌てる。さっさとこの通りを抜けてしまおう、もうなりふり構っていられない。財前の手を引いて歩き出すとわざとらしく溜息をつかれる。
「謙也先輩って女のことしか考えてへんの?」
「アホか!なんでそーなんねん!」
「彼女、えー女でした?」
「……えー女やったわ!」
「何で別れたんでしたっけ」
「うっさい!」
しばらく黙って謙也に腕を引かれていた財前だったが、ふいに手を振り払う。その乱暴さに驚いて財前を振り返ると、しかめっ面で謙也を見ていた。
「ざ……財前?」
「なんや胸糞悪いから帰りますわ。あーシクった。いらんこと言うた」
「財前」
もう財前は振り返らない。最近背中ばかり見ている気がする。俺何か悪いこと言うたか?ぽかんとしてその背中を見送りながら考えるが、何が財前を怒らせたのかわからない。顔を見たくないと言っても怒らなかったのに。
「……えー?」
早足の財前が見えなくなってから自分がどこにいるのか気づき、はっとして逃げ出すように慣れた道へ戻る。すぐに帰る気分にはなれずにそわそわとした気分を抱えたまま歩くが、目的地がないせいでスタート地点に戻ってしまった。
「……何やねん」


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