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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'05.10.Sat
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2006'04.21.Fri
濁っている。



女の水死体だ。とてもじゃないが見れるものではないと思ったが、それはまだ綺麗だった。絞め殺されてから川へ投げ込まれたらしい。発見が早かったのだろう。顔は青白いがひどく美しい女で、死体を発見した者は初め人魚だと思ったそうだ。



「山崎助勤」

「うん、扇屋のさ江だね」

「男でしょうか」

「うぅん…」



シクったかな。美しい魂の器を前に、山崎は唇を噛む。彼女はつい先日、土方の相手をした女だ。と言っても情報屋、本人だってただ殺されただけじゃあるまい。仏を前に手を合わせ、目を開けたときに人魚の瞳と目が合う。虚空を見る瞳は澄んでいた、山崎よりはよほど。



「ごめんね」



女はサイズの合わない襦袢を着せられていた。まだ湿ったそれに手をかけて脱がしていく。特に外傷はない。



「綺麗っスね。暴れなかったんでしょうか?」

「それか薬かなぁ。ちょっくら」

「! や、山崎助勤ッ」



死体の脚を担ぎ上げ、なかの秘所へと手を伸ばす。冷たい体に思わず眉をひそめた。



「────山崎助勤」

「あった」

「へ?」



そこから引き抜いた小さな小筒を掲げると、隊士は疲れた様子でしゃがみこんだ。上司がとんでもない趣味の持ち主だと誤解したようだ。確かに、趣味なら悪い。



「賢い女だからね」

「一言言って下さいよぉ…焦った…」

「傷がないかしっかり見てあげて」

「はい」



筒の蓋を慎重に開ける。中に入っていたのは白い粉。…筒と共に調べれば、誰が売りさばいている者か知れるだろう。



「…田代くん」

「はい?」

「俺、副長のために死ぬなら怖くないんだけど、変かな」

「…いいえ」

「……」

「俺だって、うちのツートップのためなら」

「…そうだね」



そうじゃない。俺なら局長のためには死なない。たったひとりのあの人のためになら。



(…腐ってるなぁ)



澄んだ目をした人魚が羨ましい。それはそう、色んな意味で。
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