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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'05.11.Thu
どこかひとつ思い出せといわれたら爪。



いやに大人しいなと思ったら、人に指先を預けて完全に夢の世界に旅立っていた。お前いい加減にしろよ、毒づいてやることはいつでも出来るから、とりあえず寝かせておく。邪魔にならなければいい。

腕を抱えなおして爪を切った。いつからか忘れたけれど、彼の爪を切るのが自分の仕事になってしまって、おかしいと思いながらも何となく今日も爪を切る。ピアノを弾く彼は、自分で切らせると深爪をするせいもあるのか。



携帯が着信を告げたが眠り姫が少し呻いただけで、自分も爪を切ることに集中しているから無視をする。今鳴ったのがどっちの携帯なのか、それすらわからない。ベッドから腕を投げ出して眠る女王様にとっては更にどうでもいいことだ。



丁寧にやすりをかけて、片手は終わり。そしてはっと気がつけば、天井を仰いで眠る男、そっち側の手を貸してほしい。しかし爪きりごときで起こすのもはばかられ、かと言って向こう側へ回って爪が切るのも億劫だ。



(…俺の爪じゃないし、いいか)



丸い指先をなでる。一本一本、丁寧に爪を切った。趣味になってきているかもしれない。

女のように飾ることはない。おまけに動作が荒いのか不注意なのか、爪が弱いせいもあってしょっちゅう割っている。どれだけ丹精込めようともしばらくすればがたがたになってしまうのだ。



寝顔を見下ろしてみれば妙に間抜けな顔をしていて、こいつこんな顔だっけ、思ってしまって指先を見る。この爪の形は確かに彼。

ゆっくり 爪を撫でてみる。目を閉じて形だけ感じて。



「…終わった?」

「こっちだけ」

「う〜…」



一瞬だけ目を開けた彼はしばらく空ろな目で天井を眺め、そのうち布団を引っ張って丸くなった。そのとき自分の手から手は離れていき、なんとなく惜しくなって一緒にベッドに潜り込む。



「俺お前がばらばらになっても手だけだったらお前だってわかるかも」

「……何スかその危ない思想」
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