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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.19.Wed
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2006'08.12.Sat
「…またわかりやすい拗ね方ね」

「ほっといて下さい」



部室の隅で膝を抱えていた笠井は顔を上げた。ふくれっ面に中西が思わず吹き出すと、更に機嫌を損ねたようで、また膝の間に顔を埋める。



「大丈夫よ」

「……」



中西が肩を叩いて出て行く。静かになった部屋でひとり、宙を見つめて溜息を吐いた。こんなつまらない嫉妬、しなくてもいい余裕がほしい。



ドアが開いた。中西が戻ったのかとそっちを見た笠井は後悔する。



「見つけた」

「…もうハーレムは堪能できましたか」

「あのなぁ…」



三上はドアを閉めながら、呆れた表情で笠井を見た。その息は荒い。意識して三上から顔を逸らす。



「…怒ってませんからね」

「嘘つけ」

「…好きな人いるってぐらい、言ってくれてもいいじゃないですか」

「……お前そんな可愛いキャラだっけ?」

「土下座して謝って下さい」

「ああそういうキャラだよお前」



部室に大きく、鍵を閉める音が響いた。笠井が肩を揺らしたのも無視して三上が近づいてくる。膝を抱える手に力を込めて、目を閉じた。
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2006'08.11.Fri
「山崎、ちょっとそこに膝をつけ」

「俺をひざまづかせて楽しいですか」

「……いまいちだった」



沖田は深く溜息を吐く。溜息を吐きたいのはこっちだ。山崎は立ち上がって、学校机でふんぞり返る沖田を見た。後ろの足だけで椅子のバランスをとっている。学ランを王様風のガウンに見せるのは沖田ぐらいだろう。



「…やっぱり土方じゃねぇと…」

「あんた何をそんなに土方さんに恨みがあるんですか」

「さぁ、なんか未来まで許せねぇ」

「理由もなくそんなに!?」

「きっと過去からの因縁なんでさぁ…俺が殿様で、土方は謀反を企てた家臣」

「どっちかっつーとあんたのが部下っぽいですよ」

「……山崎はどうせ下っ端だよなぁ」

「何その失礼な物言い!」



椅子を正しい位置に戻し、沖田は土方の方を見る。ちょうど女子に代わって黒板を消すという少女漫画的なシーンで、露骨に顔をしかめたのを山崎が笑う。



「徳川さんこそ前世はお姫様って感じ?土方さんが膝ついて、忠誠誓うの」

「……様になりすぎてムカつく」

「はは」

「山崎以外で誰か俺にひざまずかねぇかなー」

「危険思想だなぁ」
2006'08.10.Thu
強い思いと共に、脱力感に襲われてしゃがみこんだ。夏の終わりをこの体で実感する。



「負けたのか」



それは黄金世代の終わりだった。



試合から戻った部員たちを襲ったのはひどい疲労だった。目指した優勝旗は彼らを見限り、目前で身を翻した。



「短い夏だったな」

「ほんとにねぇ」



渋沢の隣で中西が煙草に火をつけた。すんげーシュール、誰かが呟く。寮の屋上、今日ばかりは無礼講なのか、渋沢までが足を投げ出して夜空を眺める。



「…よく帰って来れたなぁ…」

「立てなかったもんな」

フェンスにもたれてしゃがみこんだ近藤は、まだ動揺がおさまらないのだろう、呆けた表情をしている。中西がわざと吹きかけてくる煙を払って顔をしかめた。国家遺産の前で煙草やめろよ、三上が茶化す。その声にも疲労が見えた。



辰巳が屋上へ上がってきた。人数分のペットボトルを抱え、ひとりずつに配って行く。無言だった。



「…藤代が泣いてるぞ」



三上が膝をついた。フェンスが揺れる。金属がこすれる音が続く。



「…終わりかぁ」



思ってたより早かった。夜風が彼らを撫でていく。
2006'08.09.Wed
片や正座、片やあぐら…座り方ひとつで上下関係がはっきりするのは、畳文化ならではじゃないかと山崎はぼんやり考える。目の前の男は不機嫌で、それと言うのも自分の勝手な行動が原因ではあるのだけども。



「…副長」

「わかってんのか」

「自分のミスぐらいわかってます」

「その割には態度がでけぇじゃねぇか」

「お言葉ですが、あのときはあれがベストだと思いました。実際被害は最小限に留めてます」

「そういう問題じゃねぇだろうが!」

「…」

「一般人守るのは当然だ、仕事のうちだからよ。でもテメェが今日守ったのはうちの下っ端で、おまけにそのせいで主犯逃がしてるじゃねぇか!」

「ならば見捨てろとおっしゃるのですか!」

「おうその通りだ!自分さえ守れねぇような奴ここにはいらん!くたばったならくたばったで、真選組にふさわしくなかったってことだろうが!」

「それはあんまりです!」

「お前が文句言える立場か!くっだらねぇ怪我しやがって!」

「……」



思わず睨みつけると、土方も同様に返してくる。わかり合っているつもりでも、どうしても相容れない一瞬があるのは仕方がないのかもしれない。



「…とにかくお前は謹慎だ」

「副長!」

「いいから休んでろっつってんだ!また怪我の治らねえうちにふらふらしてたら承知しねぇからな!」

「……失礼します!」



正座からすっと立ち上がり、一瞬よろけた山崎は傷をかばうように部屋を出る。いつもよりゆっくりとした足音が遠ざかってから、土方はあぐらを解いて廊下を覗いた。そこにはもう影もない。

畜生、ずるずるとその場にしゃがみこみ、誰へとも知れず毒づいた。



何よりお前を失うのが一番怖いなど、どうして口にできようか。
2006'08.08.Tue
ありえない。談話室をのたうち回る近藤を、中西は黙って眺めた。パピコの片割れを食べてくれる人間を探していたら、唯一見つけたのが近藤だったのだが、とても声をかけられない。とりあえずひとつを食べながら、悶絶する近藤を眺める。



「声かけろよ!どうしたって聞けよ!」

「ドウシタノ近藤クン」

「やっぱウゼー!」

「注文多いなぁ」



まぁまぁ食べなさいよ、アイスを渡して中西はソファーに腰を落とす。隣に座り込み、近藤は溜息を吐いた。



「……お前、よく平気だな」

「ンなわけないじゃん。俺が機嫌悪いの知っててみんな部屋から出てこないんだから」

「……あの」

「笠井もバカだよね、俺を捨てて三上に走るなんてさ」



さっさと空にしてしまったアイスの容器を噛んで、中西は不満を訴える。

夏休みの中の本当の夏休み、実家へ戻っている間に笠井は人のものになっていた。一方、近藤からしてみれば、帰省中に友人が後輩とつき合うことになっていた。関係者は全員────男。



「…ありえねぇ…」

「俺の方がありえないよ、あと一歩で陥落だったのにさぁ」

「聞きたくない…」



ありえねー。近藤は頭を抱える。



「ただいまー…何で無人なんだ?」

「さぁ…」



帰ってきたのは渦中の人物。談話室を覗いたふたりを近藤たちは睨みつける。



「三上こっちきて正座しろ!」

「笠井は部屋帰ってなさい!」

「えっ!?」

「何でお前らそんな怒ってんの!?」

「「いいから!」」



こんなにこっちが苦しむのだから、幸せになってもらわなくては困るのだ。
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