忍者ブログ

言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.11.Sat
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2009'10.12.Mon
なんかもう、ユウコハがかわいくてどうしようもない。

連載の謙也はいかに自業自得であるか、です。ヒントもらっても気づかずスル―が謙也クオリティ。
あと全然言ったことないけど実は光様のお兄さんとお爺ちゃんについて結構設定作りこんでしまっているのでナチュラルに語らないまま出てきてたらすいません。
おじい様のビジュアルはヤ……!?みたいな人だと思います。多分ちっちゃい光様を連れてたときは職質を受けたろうよ。
お兄さんはエロ漫画描きです。一番好きなものは3次元の嫁です。怒られそうなので言い逃げます。











『おはようございますー』
「……おっ、おはよう」
嬉しくて泣きそうになるのは初めてだ。ぎゅっと携帯を握りしめ、電話を待っていた正座のまま、財前の声に集中する。
『散歩、行きません?』
「行く」
『ほな、戎橋で』
「わかった、すぐ行く」
すぐも何も、もうあとは家を出るだけだった。電話を切るより早く動き出し、家を出る。謙也が早朝に家を抜け出していることに親は気づいているようだが、信用されているのかはたまたそんな度胸はないと舐められているのか、どうせ悪さはしとらんのやろ、と言っただけだった。
早く着きすぎた戎橋、のつもりだったが財前は先に到着していて、手持無沙汰にグリコの看板を見上げていた。謙也がそばに近づくと、視線はそのままでおはようございます、と挨拶をする。
「お、おはよう。早いな」
「送ってもらったんで。……コレあげますわ」
差し出されたのは一輪の薔薇の花。包装されピンクのリボンで締められて、どう見ても贈り物だがスウェット姿の財前には不釣り合いだ。
「これどうしたん?」
「もらったんすけど、いらんし」
「誰に?」
「ホスト」
「は?」
「兄貴の知り合い」
「……その人が何で?」
「さぁ、余ったんちゃいます?」
謙也の手に花を押しつけ、一瞬触れた手にどきりとする。もしかして財前に触れないというのは自分の勘違いだったのだろうか。しかし事故的に触れた一瞬では何も判断できず、行きましょか、とこっちを見た財前に頷くことしかできない。


散歩のコースは毎日違う。方向は同じでも曲がる場所を変えれば同じルートになることはほとんどなかった。財前と歩くようになってから、慣れていたはずの難波がずっと広くなったように感じる。自分以上に財前は地理を把握していて、謙也が通ったことのない道を躊躇なく通っても最終的には謙也も知っている道に出るのだ。ときどき好きな店の看板を見つけては閉まったシャッターをさして教えてくれて、こいつほんまに難波好きやねんな、と思うこともあった。学校帰りに思わずその店を覗いたりしてしまう辺り、ずいぶん財前に振り回されているということは実感する。
「今日もマクド行くか?……今日は、置いて行ったりせんし」
「んー?」
「昨日ほんまごめん、そのうち起きるやろとおもって」
「……昨日なんかありましたっけ」
「あ、あったやん……」
「なんやよーわからんけど、えーっすよ。謙也先輩俺のこと嫌いなんやし、嫌がらせぐらいしたくなるでしょ」
「せやからちゃうって!嫌いじゃないし、つーかなんで何もなかったことにすんの!?毎朝会って散歩しとるやん!」
「それってね、約束してるわけじゃないでしょ」
「え?」
「俺と先輩って継続的な関係でもないでしょ。せやったら『いつも』とか『今日も』とか、そんな言葉に意味あります?」
「は?何それ」
「わからんかったらええですわ。謙也先輩えー人やから、俺の誘い断られへんだけですもんね」
「ちがくて」
「嫌やったら連絡しませんけど」
「嫌じゃないって!いつでも呼び……や」
途中で我に返って恥ずかしくなる。自分は何を言っているのだろう。眠そうな目の財前がわずかに笑った気がした。

 


「おはようございまーす!」
「おはよう謙也、……にやにやしてどないしたん、キモいで」
「え?何でも」
穏やかな散歩の後、財前を家まで送った。それが自分が思っていたよりもずっと近くて驚いていたら、財前は謙也の家が近いと知っていたらしい。病院も近くだから名前を知っていれば大体想像がつくことだが、なんとなく財前が知っているということに嬉しくなった。誤解も解けたし、今日からまた仲良くやっていけるだろう、と期待に胸が高鳴る。終業式も終わり、もう夏休みに突入した。朝の散歩だけじゃなく、シャッターの空いた商店街を歩く機会もあるかもしれない。
「おはよーございますー」
着替えている途中で財前が入ってきてどきりとした。謙也が挨拶をするより早く、今日の主役のお出ましね、と小春が近づいていく。主役?
「光ちゃんお誕生日おめでとう!」
「あー、どーもっす」
「んもー!もっと喜びなさいよ。アタシとユウくんでケーキ作ったから、帰りに渡すわね」
「……小春先輩」
すっと小春の手を取り、それに唇を寄せる。触れる手前で笑って小春を見上げ、ありがとうございます、とはっきりと伝える。はうッ、妙な声を上げて小春が胸を押さえ、ユウジが慌てて相方を引きよせて財前の手を振り払った。
「くぉら!誕生日やからって調子乗っとんちゃうぞ!」
「えー?プレゼントに小春先輩をくれるんやなくて?」
「やらんわッ小春は俺のもんや!」
「いやーん!あげちゃうっ、抱いて!」
「小春ッ!」
「謙也、どないしたん」
「……へ?」
白石に肩を叩かれ、自分が硬直していたことに気がついた。――誕生日、だって?誰の?頭の中に、今朝母親に渡した一輪の花が浮かぶ。
「大丈夫か謙也、変な顔しとんで」
「謙也が変な顔なんはいつもやろ」
「ユウジ!――あ、せや、俺もプレゼントあんねん」
白石がロッカーを開け、ラッピングされたプレゼントを取り出す。それを財前に渡す様を見て茫然としている謙也を、小春とユウジが交互につついた。
「謙也、今日光と散歩してへんの?」
「した……」
「ほんならもう言うたんか?」
「……つーか……え?今日?」
「知らんかったん?」
「え?なんでみんな知ってんの?」
「部員名簿載っとるやん」
「そ――」
そんなん、知らん。白石からのプレゼントを開けて、中から出てきたサプリ類のうんちくを聞かされている財前を見る。――今朝、財前は何も言わなかった。あの花についてもっと深く聞けばわかっていたのだろうか。謙也は自分の誕生日は朝から言い続けるので、黙っていた財前の気持ちはわからない。一言言ってくれれば、
「おめでとうぐらい、言うたら?」
小春の言葉にはっとして、確かに今知ったことは明らかだが、言わないよりはいいはずだ。謙也が近づこうとしたとき、財前はプレゼントを鞄にしまいこむ。
「白石部長、俺今日帰ってええすか」
「なんで?来たとこやん」
「さっきそこまで来たときに家から連絡あって、なんや兄貴ら家あけるから甥がひとりになるんすわ」
「甥っ子小さいんやっけ、そらいかんな。オサムちゃんには言うといたるから帰りぃ」
「すんません」
「あ、ほなケーキ渡すし、調理室だけ寄りや」
「はーい」
トントンと会話が進み、謙也が引き止める間もなくユウジと財前は部室を出て行った。ぽかんと立ち尽くす謙也の頭を小春が撫でる。
「白石……」
「ん?謙也さっきからどうしたん」
「謙也くん、光ちゃんのお誕生日知らんかってんて」
「えっ、ほんなら自分朝会うたのにスルーしたんか」
「だって財前何も言わんかった……」
「謙也に祝われたくなかったんちゃう?……いやごめん、さすがに冗談やって。謙也、謙也くーん」
しゃがみこむ謙也に白石が慌てて、子供をあやすように撫でてくる。どうしていつも財前のことでこんなに悩まされるのだろう。落ち込んだ気分は上昇せず、どんな言葉の謙也の耳に入らなかった。

 


このとき使わなくて、いつ使うのだ。文明の利器を握りしめ、時計を見る。夜10時、まだ電話をかけても大丈夫な時間だろう。財前の番号を呼び出して電話をかける。誕生日おめでとう、と言いたいだけだ。欲しいものがないか聞いてもいい。それから、明日の朝の約束も。――いつまで経っても続く呼び出し音はついに留守番電話のサービスセンターにつながり、肩を落として発信を切る。
ならばメールを、と開いたアドレス帳には電話番号しか入っていなかった。ユウジや小春ならメールアドレスも知っているだろうか。ユウジ宛にメールを作成して、結局文章が作れずにやめてしまう。溜息ばかりが増える夜だった。

 

PR
Post your Comment
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[405] [404] [403] [402] [401] [400] [399] [398] [397] [396] [395
«  BackHOME : Next »
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新CM
[08/03 mkr]
[05/26 powerzero]
[05/08 ハル]
[01/14 powerzero]
[01/14 わか]
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
アクセス解析

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP

忍者ブログ[PR]