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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'03.14.Fri
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2007'03.08.Thu
幼なじみが死んだ。交通事故でぐしゃっと一発、かなり悲惨な死に方だったが本人は至って呑気だ。人の気も知らないで、隣で逆立ちに励んでいる。



「じゃーん!見て見て!逆立ち!」

「はいはい……」

「ちゃんと見てよ〜」

「……」



この、猫の手も借りたいほど忙しいときにこいつは何をやっているのだ。溜息をついてもそいつの顔は足元にあるので気づかなかったらしい。

目の前で揺れる、透き通った2本の大根足。



「幽霊なんだから大人しくその見苦しい足しまったら?」

「足だけの幽霊いるらしいし、足がある幽霊がいてもいいんじゃない?」

「ウザいっつってんの」

「だって逆立ちできるんだよ〜」



ほらほら!逆立ちした手でくるくるとその場で回転する。逆立ちと言っても重力はかからないので髪も服も、そのだらしない腹周りの脂肪も垂れてはいないから奇妙な姿だ。



「……そんなに元気なら、香典調べるの手伝ってほしいぐらいだわ」

「猫の手の方がよっぽど役に立つんじゃない?」

「死んでも役に立たないデブね」

「いや、きっと役には立ったよ。ニートの割合を下げた」

「あんたひとり死んだぐらいで変わるもんですか」



それを笑い飛ばして、逆立ちのまま彼は部屋の中をうろうろする。彼が人生のほとんどを、それこそ────中学の頃にいじめられてから、必要最低限の生活のために出る以外はずっと住み着いていた部屋を。



彼は物心ついた頃から『名探偵コナン』のげんたくんのような体型をしていた。私たちの……私の通った中学では体育の時間、準備体操に逆立ちが組み込まれていた。ふたりペアでやるものだが、そんな立派な体格の彼にペアがいたはずもなく、教師も暗黙のうちに彼が逆立ちをしていなくとも気づかないふりを決め込んでいた。

それなのにある日いきなり逆立ちができないことを理由にしたいじめが始まったのだ。幽霊になるまで逆立ちをしてみようとしなかったほどの臆病者が、それに勝てるはずもない。



「……私は逆立ちしてもあんたにはかなわないわ」

「なんで?」

「私が誰を好きだってことにも気づかないまま死んでしまった愚か者には関係ない話よ」
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2006'11.15.Wed
公然と酔っ払ってみようと思い、お酒の入ったチョコレートを財布が許す限り買い占めて学校へ行きました。



それは金曜日のことでした。朝から天気がよく、わたしはいい気分で(中略)そしてわたしはふられました。



チョコレートを買い占めたのは次の日の土曜日です。学校は休みでしたからわたしは私服姿で、忍び込むように教室へ入りました。いつものように自分の机と決められた席に座りました。この席はベストポジションでした。授業中に眠るあの人のよだれまで見えたこともあります。



スーパーの袋から薄い箱を出して机に並べてみました。端から端まで隙間なく、ぴったりと埋めると一箱余ったのでそれから開けます。チョコレートの匂いが広がりました。



一口大のチョコレート、奥歯で噛むとお酒が弾けました。チョコレートとお酒が混ざって不思議な匂いがします。ひとつずつ食べながら箱を眺めました。アルコール度数を見ても、高いのか低いのかわかりません。お酒に弱い方は食べた後に運転するのは危険、と言うレベルのようです。生憎自動車免許は持ってませんが、今日は自転車で来てしまいました。果たしてわたしはお酒に弱いのでしょうか?酒の味がわかるほど酒飲みでないのは確かです。なんと言っても、まだあと数ヶ月はセーラー服の女子高生なのですから。



グランドでは野球部が秋風の中を走っています。ぼんやりとそれを眺めながらチョコレートを食べ続けて、お酒が舌を舐めていき、どうして飲み物を買ってこなかったのかを考えていました。学校にも自動販売機はありますが、3円では買うものも買えません。



涙は少しも出なかったのです。あんなに好きだと思っていたのに、いいえ今でも好きなのですが。



山になったゴミを見て、ここはひとつ失恋したのだから奇行に走ってみようと思い、空箱をひとつ手に窓から落としてみました。おそらく酔っ払っていたのでしょう。

スパイクの音がしたので顔を出すと、野球部員が空箱を手に困惑していました。受け止められてしまったようです。その調子で、来年は甲子園まで行ってくれると卒業生としても鼻が高いのですが。



こっちを見ていた野球部員と目が合いました。わたしだってマネージャーになればもっと近づけるかもしれない、と思っていたのです。どうしてやめたのかは忘れましたが、面倒だったのだと思います。困っている彼を無視してわたしは教室へ戻りました。寒いのにわざわざ外で走り回る酔狂は、わたしにはできません。



体育館に冷水機があるのを思い出し、机に残った大量のゴミをゴミ箱に捨て、わたしは教室を出ました。少し落ち着かなければなりません。わたしは近いうちに、体重増加の事実を受け止めなくてはならないでしょうから。
2006'11.10.Fri
子を背負い山を登る。落ち葉を踏みしめる足を見ながら。秋の色に染まった落ち葉は、母の足をも濡らしていく。目玉まで塗られた気がして目を閉じて、子を背負い直して歩き出す。雪道は足を凍らせた。かじかんだ手で子を支え、時折肩に積もった雪を払う。光る雪に目を刺されて目を閉じた。子と触れ合う肌がどくどくと鳴った。背負う子に叩かれて、若葉の上を歩き出す。柔らかい緑は視線を受け止め、受け流す。青臭い緑の匂いを胸一杯に吸い込んで深呼吸をした。脳まで達した匂いに目を伏せる。背負った子が身じろいだ。じりじりと焼ける音のする砂を踏んで前へ進む。日差しに照りつけられて息が荒れた。汗が浮いて視界を汚し、目を拭う。汗ばんだ母の手から子が滑った。



横殴りの風のような泣き声に母は目を覚ました。泣きじゃくる子に視線をやり、一度は抱き上げるが落とすように布団へ戻す。いっそう声を震わせる子の喉に手を伸ばした。暖かい皮膚に触れたとき、じくんと腹が痛んだ。幼い我が子の首を撫で、赤子を背負って立ち上がる。
2006'09.27.Wed
星と赤ん坊が手に手を取って踊っている。チップ・タック・ターン、チップ・タック・ターン。紛れもない幻覚だった。



窓の向こう、電車と同じ速度で社交ダンスと洒落込む彼らは、某映画で有名なクイックステップで目の前を維持して進んでいく。審査員に見せるように、駅で止まればリフトにターン。なめらかな手足が艶めかしい。



魔法使いが手に汗を握る戦いを繰り広げていても、彼らは踊りを止めなかった。BGMに合わない盆踊り、ご丁寧に地元の踊りで、思わず頭の中で踊ってしまう。何も映画館のスクリーンの前でやらなくてもいいじゃないか。



おっとブレイクダンス、激しいな。それよりも、教授の頭上でやるのやめてくれないかな。幻覚だってわかってても、その可哀想な頭が気になるじゃないか。ダンスに失敗して恥ずかしそうに笑ってみたり、なんだか可愛く思えてくる。



そういえばしばらく踊っていない。軽くステップを踏んでみる。顔を上げると星と赤ん坊は消えていた。
2006'06.25.Sun
星屑をぶち込んだカクテルを一杯。



日の光で溶かした情熱と氷は先に混ぜておく。蜂蜜のかけらと砂糖菓子、優しさを込めたアップルパインをミキサーにかけて、雷を混ぜて更にミックス。音と光を絡めたミステリーはお好みで。

ミラーボールの青を落とし、最後に全部、混ぜる、混ぜる。



グラスは夜霧で作って妖しさを塗ったものを使う。キャッツアイをいち、に、さん。

怪奇で狂気でハッピーエンドを夢見る少女を見つけたら、最後の仕上げに涙を一粒失敬しましょう。



さぁ召し上がれ、ドラゴンにも負けないカクテル。
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