忍者ブログ

言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2006'02.12.Sun
初めて人を殺した。



甘やかされて育ったせいか、人を憎むと言うことが出来なかった。

ものを壊されても新しくなったし、兄弟がないから喧嘩をしたことも見たこともなかった。



道楽で船を始めたときも何一つ障害はなかった。指定した通りのいい船が出来て満足だった。船酔いするタチだとわかったときも、迷惑をかけた人たちは文句ひとつ言わなかった。



だから憎んでもいない相手を殺すなんて思いも寄らなかった。



『正しい殺生』までのプロセスは至って簡単。

真面目な桂に『抵抗戦』に誘われ、迷っている間に俺は参加することになっていた。噂が広がり収集がつかなっていたが、違うと否定してもいつものように済むだろうと思った。



父ががっかりした顔を見せた。



それだけだった。怒りもしないし、けなしもしない。ただ残念がった。



だけど初めてそんな顔を見て、ほんとに悪いことをしたような気になって、俺は戦場へ行くことになったのだった。



要するに俺は子どもだった。



「あ〜……せったァ」

「……」



陸奥が目を丸くしてこっちを見た。

俺の手には煙の昇る拳銃。今し方、ひとりの男を撃ち殺したばかりの。



「…怪我ァないか」

「……あぁ」

「正当防衛じゃから警察呼ばんとの」



立ち尽くす陸奥へ近づいて手を引く。死体が握るナイフ。

俺は怖いから剣を捨てたのだ。



「…のぅおんし、これでもわしに着いてくるんか?」

「ッ…教えろ!」

「誰がおんしに人殺しを覚えろと言うか」

「…」

「戦場でなければ何人殺しても覚えちゅう。『正しい殺人』は、あっこだけじゃ」



思えばあの頃自分は大人だと思っていた。女抱いたことがあるだけで大人になったと思っていた。



そりゃあこんなろくでもない大人になるのは道理だ。

敵があってもやっぱり憎み方を知らない。
PR
Post your Comment
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
trackback
この記事のトラックバックURL:
[564] [563] [562] [561] [560] [559] [558] [557] [556] [555] [554
«  BackHOME : Next »
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新CM
[08/03 mkr]
[05/26 powerzero]
[05/08 ハル]
[01/14 powerzero]
[01/14 わか]
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
アクセス解析

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP

忍者ブログ[PR]