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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.11.Sat
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2009'06.23.Tue
こういうけんひかを求めています。見つけたらまったくけしからんけんひかだ!と通報してください。

見返したらわざわざページ作るほど長くもなかったので連休中は遊んでたし新しいパソコンページ作るのめんどいしってことでブログにカテゴリ作りました。とりあえず書いた分を載せていく。

善哉屋は実在します。こないだストラップ載せたあそこ。











「さいなら~」
 

振り返った白石は謙也と財前を見て溜息をついた。謙也の自転車の後ろに財前がまたがる姿は見慣れたものではあるが、部長としては寛容に見守るわけにはいかないようだ。見かけるたびにひと声かける白石はまじめな男だと思う。
 

「自分らまた2ケツか。気ィつけや」
「いざとなったら先輩置いて逃げますわ」
「うぉい!逃げるんは俺や!」
「ちゃいますって。先輩が降りて、俺がチャリで逃げる」
「意味わからへん。俺のチャリやっちゅーねん」
「ええから早よ帰りましょ」
「俺は怪我すんなって言いたかったんやけどな……」
 

財前が手を振ると白石も呆れながらも返してくれる。走り出す一瞬だけ荷台を掴む手に力を込め、後は謙也に任せた。
 

「今日はまっすぐ帰るか~?」
「先輩の財布と相談して下さい」
「帰ろか」
「アイス食べたいなー」
「せやなー」
「食べたいなー」
「せやなー」
 

体に風を受けながら謙也の背中を見る。カッターシャツの下に着たTシャツの文字がかすかに透けていて、去年の文化祭に作っていたクラスTシャツだと知れた。こんなん常用しとるん他に見たことないわ普通部屋着やろ、言ってやろうかと思ったが面倒になってやめる。
 

「なー光、明日部活なんやった?」
「オサムちゃんのボケ講座」
「あー、いらんな」
「アイス」
「『ぎゅっ』とかかわいいことしたら考えたる」
「……」
 

交換条件とは、またよけいな知恵をつけたものだ。一体誰が吹き込んだのだろう。荷台から手を離して考える。謙也の口振りから期待しているわけではないだろうから、もう少し押せば勝手にルートを変える気がする。しかしこのまま言われっぱなしは言い負かされたようでおもしろくない。
謙也の前に手を伸ばすと背中が一瞬期待したのがわかる。そのまま手探りで股間を掴んでやれば、自転車が大きく揺れた。予想はしていたのでブレーキの鋭い音に合わせて傾いた方に足を出して支える。
 

「光ッ!」
「『ぎゅっ』てしましたよ」
「あほか!ちゃうやろ!あっぶなぁ~……」
「ま、アイスでも食いに行きましょ」
「お前どうせ財布持っとらんのやろ~」
「ちゃんと払いますやん、体で」
「……」
「うわっ顔気持ち悪っ」
「あ~も~、どこ行きたいねん」
「にやにやすんな。あ、いつもの善哉屋冷たいの始まったんすわ」
「アイスは?」
 

しゃーないなぁ、と謙也は再び自転車をこぎだした。財前に引っかからなかったらもっと悪い女に捕まっていたに違いない、そんなことを思いながら謙也のうなじを見る。噛みついてやりたい気分だ。両手をだらりと垂らし、上半身を謙也の背中に預ける。びくりとした謙也は何も言わないので財前も黙ったままでいた。背中を通して伝わる体温は熱い。
 

「先輩ってほんまに俺のこと好きなんですねぇ」
「……なんやねんそれ」
「ちゃいますか」
「違わんけど……いや、ちゃう、なんかちゃうやろその言い方は!」
「意味わからん」
「俺のセリフや!」
「もうええですわ」
 

以前まではひとりで来ていた店にふたりで来るようになってからどれぐらい経つのだろう。善哉屋の前には顔なじみの店員が立っていて、財前たちを見つけて笑顔を向けてくる。中へ案内されると客は他に誰もおらず、迷わず一番奥の机に向かう。
 

「ふたり分でええね~?」
「冷たいの下さい」
「謙也くんも冷たいの?」
「あ、はい」
 

お茶を持ってきた店員は終始笑顔だ。機嫌がいいらしい。あの人にいつ先輩の名前教えたっけ、適温のお茶をすすりながら、思い出したように財布を開く謙也を見る。
 

「俺財布持ってませんからね」
「ちょお待って、100円ぐらいない?100円」
「うわ~、金足りんのに連れてくるとかないわ」
「財布持たずに来る方がおかしいやろ!」
「ま、しゃーないから100円は出したりますわ」
「おう、ありがとう……何で偉そうやねん」
 

小銭ぐらいならポケットにある。謙也がぶちぶちと文句をいう間に善哉が運ばれてきた。昔両親に連れてこられてからこの店はずっと財前のお気に入りだ。他の誰かと来ることは滅多にない。
 

「自分さ~、ほんまに俺のこと好きなん?一体俺のどこが好きなんや」
 

割り箸を割りながら謙也がいつものように軽口を叩く。ここで嫌いと言ってやればどんな顔をするのか、大体想像はつくので言ったことはない。白玉を食べようとしている謙也にあほう、と投げた。
 

「そんなん一目惚れやから知りません。気づいたら好きやったんですから」
 

ぼちょん。謙也の箸から白玉がお椀に飛び込んだ。うわ、と顔をしかめてやる。
 

「何してるんすか、飛び散りましたよ。すんませーん、なんか拭くもん下さい」
「お前恥ずかしくないんか……」
「俺正直者なんで」
「君らなぁ……丸聞こえやで」
 

苦笑混じりの店員と顔を合わせられずにうつむく謙也の代わりにふきんを受け取ってそばに置いてやる。他に客もおらず、彼女がふたりの関係を知っているとわかっているからこんな話をするのだ。
 

「……ほんっまかわいない」
「知ってます」
 

謙也は怒ったような態度で善哉を飲んでしまう。もっと味わえよ、とは何度言っても無駄だ。何でも早ければいいというわけじゃない。
殴ってやりたくなるのも愛情だと伝えてやるのは難しい。まあええか、溜息を隠して小豆を噛む。
 

「……先輩こそ、なんで俺なんすか」
「……今更なんやねん」
 

口直しの塩こぶを口に運び、謙也は呆れたように溜息をつく。
 

「かわいないからに決まってるやろ」
「……あほ」
「イッ……!」
 

机の下で思い切り臑を蹴り飛ばす。肩をすくめて痛みにもだえる謙也を無視して白玉を噛んだ。なぜか勝ち誇った顔をしていたのが引っかかったが、よく考えてみると問題発言だ。
 

「あ~絶対青タンできた、なんやねんもー」
「それって」
「ああ?」
「どんなわがままでも聞けるってことっすか?」
「……や、ゆうてへん」
「もう聞いた」
「ゆうてへんで?なあ姉ちゃん」
「さて?光くんお茶いる~?」
「下さい~」
「うっわ~やってもた……!死亡や!」
「殺しませんて」
「お前とつきあっとったら絶対死ぬ」
「死ぬなら勝手に死んで下さいね」
「いくたまさんでお前の名前呼びながら死んでやる」
「ご馳走さまでした」
 

手を合わせて割り箸を袋にしまった後、ポケットから100円玉を出して謙也のそばに置いた。硬貨と財前を見比べ、謙也は溜息をついて立ち上がる。
 

「行くでー」
「ほんませっかちやな」
 

笑顔の店員に見送られて再び自転車にまたがった。期待した目を見せられたのでもう寄りかかりはしない。
 

「光んちあいとる?」
「来るんすか~?」
「700円払えや」
「よう考えたら俺めっちゃ安ぅないですか?もうさっきサービスしたからチャラにしません?」
「青タンでチャラや」
「……なんかさせたったら、先輩ボコってええんすか」
「やめたげて!」
 

逃げられもしないのに逃げるように自転車の速度を上げた謙也に溜息をつく。気持ちをうまく伝えるのは難しい。
 

「あーあ、先輩が俺にもっとメロメロになれへんかな」
「これ以上メロメロにさせてどないすんねん」
 

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