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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.11.Sat
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2009'06.25.Thu
どうやって付き合いだすのか、の光から告白版。告白と言えるのか知らないけど。
でもこんななれそめよりももっと素晴らしいシチュエーションの謙也から告白版を友達が書いてくれるのを首を長くして待っています。








「財前はどうしてそうやねん!」
「先輩のこと好きやからですやん」
「はいはい。ったく……」

ダブルスを組むことになった後輩は今日も変わらず憎まれ口しか叩かない。1年の癖に生意気で、殴ったろか、と思ったが殴り返して来ることは容易に想像ができた。謙也は溜息をついて部室へ向かう。ラケットをもてあそびながら無言でついてくる財前は、一体何を考えて自分を好きだなどというのだろう。先ほどのようなやりとりを繰り返しては好きの一言で片づけられ、結局何もわからないままだ。……もっとも、最近ではそれを少し楽しんでいる節がある自分もどうかとは思う。それどころか自分は確かな思いを抱いていた。財前の口からあまりにもあっさりと好き、と出た日から、目は無意識に財前を探している。

普段の謙也ならばスピードが信条、好きとなればすぐさま告白だ。しかし今回ばかりは勝手が違う。これからダブルスのパートナーとしてやっていかなければならない相手で、しかも男。どこまでがお笑いなのかわからない小春とユウジとは訳が違うのだ。

「どうしたもんかなぁ……」

だらだらと蛇行で自転車をこぐ隣を財前の自転車が追い越していく。わー背中見えた。むらっとしてもた。一度自転車を止めて溜息をつく。俺ってドMやったっけ?

「謙也くん」
「ん?」

今日はまだおった、と笑ったのは、確か女子テニス部の子だ。はにかんだ笑みがかわいらしい。

「ちょっと話あんねんけど、ええかな」
 

*
 

「謙也彼女できたってマジ?」
「おう、昨日な」
「相方おらん間に浮気すんなよ~」
「え、何?今日財前おらんの?」
「白石が言っとったで」

情報の早いユウジから離れて白石に確認を取れば、確かに休みの連絡があったらしい。風邪やって、の言葉にがっかりしたあと、はっとして首を振る。自分にはかわいい彼女ができたのだ。あの柔らかい体を抱きしめていればきっと財前への思いなんて変わるだろう。それは別として、風邪とは心配だ。いつもだるそうな態度だから昨日から体調が悪かったのかどうはかわからない。隣にいたのに気づけなかったことに少し落ち込んでしまう。辛気くさいことはなしや、と己を奮い立たせても、どうしても思考は財前のことへ流れてしまう。

結局財前は3日休んだ。
 

久しぶりに見る財前の姿にどきりとした。財前が休みの間に気持ちは随分と彼女へ傾き、結局は俺も男ってことやんな、と柔らかい体を楽しんだりしていた。それでもいざ財前を見るとそんな思いは吹き飛んで、そんなことをしたこともないのに抱きしめたくなる。

「もう大丈夫なん?」
「ハァ、すんませんでした」
「いや、俺はええけど。風邪やったって」
「風呂で寝てもーたんすわ」
「あほやな~」

あ、やばい、財前の入浴シーンとかマジ見たい。乱れる心拍をごまかすのにへらへら笑い、とりあえず練習しよか、とラケットを握る。体調はもう万全なようで、テニスの腕は相変わらずだ。へたくそ、と嫌味を投げてくることも忘れない。

「あーあ、俺が休みの間どんだけ先輩に会いたかったと思ってんすか。かっこええとこ見せて下さいよ」
「うっさいなー、かっこええ姿なら財前やのうて彼女に見せるわい」
「……は?」
「あ、俺彼女できてーん!女テニのめっちゃかわいい子ぉ……財前?」

キリ、とつり上がった目が謙也をにらむ。言葉を失う迫力にどうしていいかわからない。

「あんた俺のこと好きやったんちゃうん?」
「……へ?」
「うっわ信じられへん!あんなに物欲しそうに人のこと見とって結局女に逃げんのか」
「何言って」
「……胸くそ悪ッ。帰りますわ」
「財前!」

ラケットを振り回して部室へ戻る財前を慌てて追いかける。腕を取って引き留めると睨みつけられ、逆にその手を引かれた。乱暴に引っ張られ、部室に連れ込まれる。ドアを閉めるなり突き飛ばされ、よろけた足を引っかけられて倒れ込んだ。起き上がる間もなく体をまたいだ財前に胸ぐらを捕まれる。

「なあ、先輩どうなん」
「ど……どうって、何が」
「俺のこと好きなんやろ」
「なっ……何の話やねん!」
「ちゃうん?」
「……」

正に絶句とはこのことだ。展開が早すぎて頭がついていかない。財前の顔が目の前に迫って、屈み込んだせいでユニフォームの合間から鎖骨が見えて息を飲む。男の体に触りたいと思う日が来るなんて思ってもいなかった。思わず手を伸ばして腰を撫でると財前の背筋が伸びる。

「何か言うことあるんちゃう?」
「……財前くんが好きです」
「よおできました」

ユニフォームを引かれるままに顔が近くなる。ぺろりと唇を舐められて頭に血が上った。抱き寄せて乱暴にキスを押しつける。財前の両手は謙也の胸に当てられ、それ以上は近づけない。もてあそぶようなキスに翻弄される。

「っ……財前」
「ほんっま信じられへんわ、俺が3日間どんな思いやったと思ってんですか。ふらっふらであんたのこと考えてる間に彼女できた?アホ抜かせ、ヘタレにもほどがあるっちゅー話や。俺が好きなんやったら素直に俺だけ見とったらええねん」
「はい、すんません。……財前は?」
「は?」
「いや、その、言葉で聞かせていただけたら……」
「……そんなん毎日聞かせとったやろ」

大好きじゃアホ、痛いほど抱きしめられて息が詰まった。
 

 

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