言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2006'02.03.Fri
見上げると空がある。
ビルに挟まれて見る空が嫌いだ。晴れにしろ曇りにしろ、見張られているような気になる。
はっと息を吐いて刀を払う。血が飛んだ。
空は青くない。
何だか白んでいる。そう思っているところに雪が降ってきて舌打ちが出た。人がふたり通るのがやっとなこんな細い隙間にも雪を降らす空は、きっと暇なのだ。見つめ続けているだけで暇なのだろう。だからこうしてたまに、俺の気分を悪くさせて喜ぶ。
溜息は、吐きたくない。幸せがこぼれるなんて言わないが、好きじゃない。
だから溜息を吐かせる原因など以ての外だ。…だから斬ったわけではないが。自分が斬った男を見下ろす。こいつが悪い。俺に向かってきたこいつが悪い。
誰が鬼だって?
テメェは何様のつもりだ。
ビルに挟まれて見る空が嫌いだ。晴れにしろ曇りにしろ、見張られているような気になる。
はっと息を吐いて刀を払う。血が飛んだ。
空は青くない。
何だか白んでいる。そう思っているところに雪が降ってきて舌打ちが出た。人がふたり通るのがやっとなこんな細い隙間にも雪を降らす空は、きっと暇なのだ。見つめ続けているだけで暇なのだろう。だからこうしてたまに、俺の気分を悪くさせて喜ぶ。
溜息は、吐きたくない。幸せがこぼれるなんて言わないが、好きじゃない。
だから溜息を吐かせる原因など以ての外だ。…だから斬ったわけではないが。自分が斬った男を見下ろす。こいつが悪い。俺に向かってきたこいつが悪い。
誰が鬼だって?
テメェは何様のつもりだ。
冷えてきたので帰ろう。死体の片付けにはあとで誰かをやればいいだろう。いやもうほっとくか。返り血はないし気づいても山崎ぐらいだろう。俺は今日誰にも会わなかった。よし。
雪は少しずつ強くなる。うんざりだ。雪が降って喜ぶのは沖田ぐらいなものだ。子どもなのだ。
屯所へ戻って真っ直ぐ台所へ入る。山崎がほあっ!ちょあっ!と何だか奇声を発してコンロへ向かっていた。
「危ないクスリやってんなら医者行け、今ならもみ消してやる」
「お帰りなさい。どっかに血ついてますよ」
「…目を瞑れ。お前もなんか生臭い」
「いわし捌いてたんです。空揚げですよー」
「女は?」
「今日は人数少ないんで俺が」
「軟骨」
「揚がってます」
鍋を見るといわしが踊っている。菜箸で指された方に空揚げが山になっていて、そこから軟骨をつまみ食いした。
鬼は外ー!ビシビシッと背中に何かぶつかった。ゆっくり振り返ると総悟が煎り豆を握りしめている。
「…何の真似だ」
「鬼はー外ー!」
「うおっ、沖田隊長!油に入りましたよ!」
「鬼はー外!」
「よーし刀抜けェ」
「狭いとこで暴れないで下さい!」
ひょいと山崎の後ろから鍋を覗き、げー、魚、と沖田が文句を言う。誰のために捌いたと思ってんですか!山崎の抗議が遠く聞こえる。軟骨を口に放り込んでそこを出た。刀の手入れをしなくては。
そうか、今日は節分か。
部屋で上着を脱ぐと首筋から豆が転がり落ちた。
鬼はきっと谷間に住む。日の光を遮断するビルの谷間に。
俺はあそこで呼吸をしすぎているから鬼と呼ばれるのかもしれない。好きでいるわけでもないのに、何故かあの息の詰まる、忌々しい隙間を通るときに人を斬ることが多い。
きっと鬼が棲んでいるのだ。
廊下を通っていった山崎が、もう飯始めますよと声をかけていく。
別件で呼び止めようとしたら、飯食ってから聞きますと言われた。察しているのだろう。
「山崎」
「はい」
「俺は鬼か」
「愚問です」
障子の向こうから真っ直ぐ声は飛んでくる。
山崎は怖い。時々心底恐ろしい。こいつこそ鬼が憑いているんじゃないだろうか。
「鬼以外の何がここにいるというのです」
これからの夜、ビルは増えていくのだろう。そして同時に谷間が増える。鬼が増える。
拾った豆を口に入れた。あとで山崎について死体を片付けに行こう。まだ通報されてなければの話だが。
雪は少しずつ強くなる。うんざりだ。雪が降って喜ぶのは沖田ぐらいなものだ。子どもなのだ。
屯所へ戻って真っ直ぐ台所へ入る。山崎がほあっ!ちょあっ!と何だか奇声を発してコンロへ向かっていた。
「危ないクスリやってんなら医者行け、今ならもみ消してやる」
「お帰りなさい。どっかに血ついてますよ」
「…目を瞑れ。お前もなんか生臭い」
「いわし捌いてたんです。空揚げですよー」
「女は?」
「今日は人数少ないんで俺が」
「軟骨」
「揚がってます」
鍋を見るといわしが踊っている。菜箸で指された方に空揚げが山になっていて、そこから軟骨をつまみ食いした。
鬼は外ー!ビシビシッと背中に何かぶつかった。ゆっくり振り返ると総悟が煎り豆を握りしめている。
「…何の真似だ」
「鬼はー外ー!」
「うおっ、沖田隊長!油に入りましたよ!」
「鬼はー外!」
「よーし刀抜けェ」
「狭いとこで暴れないで下さい!」
ひょいと山崎の後ろから鍋を覗き、げー、魚、と沖田が文句を言う。誰のために捌いたと思ってんですか!山崎の抗議が遠く聞こえる。軟骨を口に放り込んでそこを出た。刀の手入れをしなくては。
そうか、今日は節分か。
部屋で上着を脱ぐと首筋から豆が転がり落ちた。
鬼はきっと谷間に住む。日の光を遮断するビルの谷間に。
俺はあそこで呼吸をしすぎているから鬼と呼ばれるのかもしれない。好きでいるわけでもないのに、何故かあの息の詰まる、忌々しい隙間を通るときに人を斬ることが多い。
きっと鬼が棲んでいるのだ。
廊下を通っていった山崎が、もう飯始めますよと声をかけていく。
別件で呼び止めようとしたら、飯食ってから聞きますと言われた。察しているのだろう。
「山崎」
「はい」
「俺は鬼か」
「愚問です」
障子の向こうから真っ直ぐ声は飛んでくる。
山崎は怖い。時々心底恐ろしい。こいつこそ鬼が憑いているんじゃないだろうか。
「鬼以外の何がここにいるというのです」
これからの夜、ビルは増えていくのだろう。そして同時に谷間が増える。鬼が増える。
拾った豆を口に入れた。あとで山崎について死体を片付けに行こう。まだ通報されてなければの話だが。
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