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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.18.Sat
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2015'09.15.Tue
戦場から帰ってきた何人かを手入れ部屋にぶちこんで、男はようやく一息ついた。審神者なる職についてもう随分たち、血と土で汚れて帰ってくる男たちを見慣れてしまった。しかし歓迎したくないものであることに代わりはない。

一仕事終えたので薬研を誘って少し休憩にしようと仕事部屋に向かう。残してきた薬研は果たしてどれほど仕事を片づけてしまっただろうか。ここ最近の忙しさを理由に部屋が荒れており、ようやく切りのついた今日こそ掃除日和だと張り切っていたから、雑務などさっさと終わらせているかもしれない。

部屋のふすまを開ける。中では薬研が畳の上に横になり、すべらかな腿を惜しみ無くさらしていた。男は二度それを見て、たぢとふすまを閉める。周囲に誰の姿もないのを確認し、そこが間違いなく自分の仕事部屋であることも再度確認してから再び部屋を覗いた。

薬研はすっかり眠ってしまっているらしい。薄いまぶたが猫のような目を覆い、柔らかい髪が畳に散っている。一見華奢に見えるがその実しっかりと男の骨格である肩はセーラーカラーが隠し、胸元ではうまくいかなかったのかスカーフが無造作に結ばれている。白い生地のトップスの裾とスカートのウエストの間にかすかに肌色が覗くが、しかしそれよりも太ももの半ばほどの長さのプリーツスカートから覗くしなやかな脚の艶かしさに視線が釘付けになる。投げ出された紺ソックスもあいまって、さながらセーラー服の少女の無防備な寝姿だ。

しかし。

男が部屋を出る前は、薬研はいつも通り重たい装備をつけた一張羅を着ていたはずだった。そろりと部屋に入った男は静かにふすまを閉め、部屋のなかに視線を巡らせる。はたして薬研のそばに脱ぎ捨てられた薬研の衣服が落ちていて、彼がそれをさっきまで着ていたことは間違いないだろう。

寝ている薬研のそばに膝をつき、じっと顔を覗きこむ。少しも起きる気配はない。規則正しい、まるで赤子のような健やかな寝息とセーラー服とのギャップにうろたえる。それは触れてはならない美術品のようでありながら、触れろと誘ってくるようだ。

そろそろと男は薬研の足元の方へと体をずらす。スカートはいつものショートパンツよりよほど長いが、しかしいつも以上にいけないものを見ている気になるのはなぜだろうか。思わずじっと、スカートの中を覗きこむ。それは鉄壁とばかりにどの角度からも男が見ようとするものの影さえ見せない。それがまた男を必死にさせる。

するり、と腿が擦りあわされる様に息を飲んだ。スカートの襞が広がるように腿から落ちる。スカートと腿の隙間が作り出す陰影に男は取りつかれ、そのせいだ、薬研が起きていることに気づかなかった。

「うっ!」

男を襲う刺激に慌てて顔をあげると、薬研が首をかしげるように男を見て、うっそりと唇に笑みをのせている。その間も靴下が覆う足は器用に男の股間をまさぐり、足の裏が柔らかくそれを踏みつけた。

「あっ……あのっ……これは、ですね、その」

「俺のじゃなかったか?」

「いや、その、着ていただけるなどとおこがましいことは微塵も考えておらず、ただ」

「俺が着てるのを想像するだけで満足してたってか?本当に?それならわざわざ手に入れる必要はなかったんじゃねえか?」

「いや、それは、その、生地の感じ、とか?」

「じゃあ俺は着ない方がよかったか?俺はてっきり大将のお望みだと思って袖を通したんだが、余計なお世話だったみてえだなぁ」

「いやそんな、あのですね」

「妄想だけで満足なんだろ?」

「薬研に着せてあわよくばそのままセックスになだれ込むイメトレを日夜繰り返してました、させてください」

男は一息に言い切って、土下座をしようと背を丸めた。しかし薬研の足は変わらず股間を陣取っているので、体をかがめるに至らない。恐る恐る薬研の様子をうかがえばしばらく睨むように男を見ていたが、やがて口角をあげて唇が弧を描く。

「苦心して着たんだ、簡単に脱がしてくれるなよ?」

「薬研っ!」

勢いまかせに薬研に飛びかかるように覆い被さる。否、覆い被さろうとした。しかし薬研は腕を張って男を拒む。

「えっと」

「仕事と部屋が片付いたらな」

「えっ」

「ちゃんと手伝ってやるからな」

「えっ、その格好で?」

「やる気でるだろ?」

「ヤる気はね……?」

かつてない早さで男が仕事を片付けたのはいうまでもない。
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2015'06.16.Tue
ばたばたっ。



空から落ちる雨が傘を叩く。今日の雨は昨日より強く、地面に落ちたものが跳ね返るほどだった。雨は傘にとどまることなく流れ落ち、先ほど降り始めたばかりだというのに庭へ出た平野の足をあっという間に濡らす。

雨の音を聞きながら、平野はずっと鶯丸を見ていた。みんなの暮らす屋敷から少し離れた茶室の中で、鶯丸は、眠っていた。

眠っているように見えた。座ったまま少しも身動きを取らない背中しか、平野には見えていない。

雨は少しもやむ気配を見せなかった。ここのところ多い雨は庭のあじさいを鮮やかにし、それを喜ぶ刀剣もいた。あじさいは場所によって色を変え、主が土が違うのだといった。土は土だろうと誰かが言ったが、主は焼き物もそれぞれ土が違うだろうと言った。刀が作られるときに使う土も。ふるさとが違うと違うものになるのだ、と主は言った。

それは土のことだろうか、この身を打ったおとこの手だろうか。平野はもう、土も炎も覚えていない。人が赤子であって頃を覚えていないように。

鶯丸は動かない。平野は起こそうかと考えて、やっと、迎えにきたはずなのに自分の傘しか持っていないことに気がついた。



ばたばたっ。



屋根から落ちた滴がひときわ強く傘を叩く。ふっと鶯丸が動いた気配がしてどきりとした。音を探して鶯丸が振りかえる。

ふるさとが違っても、共にいられるのだ、となぜかこのとき思った。



「平野」



ああ、やはり寝ていたのだ、と思わせる声だった。起こしたことを謝ると、何、と軽く笑う。

「雨か。しばらく多いな」

「梅雨ですから」

「ああ……そうか」

静かに、しかし深々と鶯丸は息を吐いた。それから入っておいで、と平野を手招きする。慌てて首を振った。平野の足はここへ来るまでの間に汚れている。茶室へは上がれない。鶯丸はそうか、ととりわけ残念がるでもなく応え、では少し待つようにと平野に言った。その手は淀みなく動き、用意していた茶器で茶を入れる。茶室にいたので抹茶かと思いきや、ポットと急須だ。一杯分待てばいいのかと思っていると、鶯丸がずいと近づいてきた。平野の前に今しがた入れたばかりの茶が差し出される。

「えっ」

「もうしばらく付き合え」

慌てて例を言って、傘を肩にかけて手を伸ばした。知らぬ間に冷えていた指先は、茶であたたまった焼き物に触れるとじんと痺れるようだ。

鶯丸は元いたところに戻っていき、自分の分の茶も入れる。



ばたばたっ。



雨は世界を閉じ込めた。その中にあって

茶は雨にも負けず甘く香る。透き通る緑はもう過ぎようとする春にも似て、しかしこれから来る夏でもあった。

とてつもなく贅沢な、相合傘をしていることに気がついた。
2015'06.09.Tue
鶯丸がこの本丸へやって来たのはずいぶん遅かったように思う。現在確認されている刀剣男士の中で一期一振を始めとする粟田口の刀がみんな集まっても、あまり人の前に現れることがないと言われる三日月宗近や小狐丸がやってきても、鶯丸はやってこなかった。この本丸の主は新しい刀にはあまり興味がなくて、それよりもそれまで関係を深めてきた刀剣たちを大切にしていた。もちろん、新しい仲間がないがしろにされるわけではない。一番新しくやってきた三日月も、これまでの仲間と同様に一から始まり、同じように経験を重ねて日々戦っている。

だから、鶯丸がやってきたときも、主はいつも通りだった。出陣していた舞台が連れて帰った鶯丸にいつも通りの挨拶をして、自ら我々の役目と本丸の案内をかってでた。

平野は長い間、鶯丸が来たと耳にはしたが、その姿を見ることがなかった。当時新しく敵の出現が確認された時代と場所が見つかり、そこは今までの戦場と違いひとの暮らす町中だった。その場所に詳しい新選組の刀たちや、町中で小回りの利く短刀たちが中心となってその洗浄を日々制している最中で、比較的早くからこの本丸へやってきた平野はときに隊長を勤めるほどには経験を重ねていたので、ほとんど出ずっぱりであった。

そうしながらも刀たちはみな本丸の中でも仕事かあった。馬の世話や畑仕事、手合わせも立派な仕事だった。それらの仕事も平野は嫌いではなく、無理をしない程度に、と言われながらきちんとこなしていた。

鶯丸に初めて、この本丸で姿を得た鶯丸に出会ったのは、共に馬小屋の仕事を任されたときだった。どう挨拶をしたものかと緊張して作業用の服に着替え、何もまとまらないまま馬小屋へ向かったが、結果として平野の緊張は無駄だった。

鶯丸は先にやってきて馬の世話を始めていて、平野に気がついてもとりわけ意識することもなく、先に始めている、と言ったきり、あとはひとりで仕事をしていた。

平野は己の緊張が無駄であったことを知ると、すうと胸が軽くなるのと同時に、ひどく冷たくなったのを感じた。

鶯丸は太刀である。太刀はみな大人の男の体つきをしている。短刀である平野はそれと比べるとずっと幼い少年の姿で、他の短刀たちほどではないと自分では思っているが、姿に合わせたように思考や態度が子どものそれと近かった。

だからだろうか。こんなにつまらない気持ちになるのは。

「平野藤四郎」は現在皇室御物として人の手で管理されている。そこには現在この本丸で肩を並べている「一期一振」と「鶴丸国永」があり、「鶯丸」もまた、そこにあった。

刀剣男士は付喪神だが、それは本来このような人形を成すものではない。現在のこの姿は敵と戦うために主に与えられたものだ。だから、知らないといえば知らない。しかし平野は、鶯丸の気配があの静かな場所にあったことを知っている。初めて見る鶯丸をひとめで鶯丸であると思ったのも、それが知っているものだったからだ。

一期一振も鶴丸国永も、この肉の体を得て、平野に会って、親しげに、懐かしげに接してくれた。姿を知らなかった兄弟刀も、全く縁もゆかりもなかった刀も。

期待を、したのは自分だ。しかし平野は腑に落ちないということ感情をうまく消化できずに、むっつりと仕事をこなした。どんな仕事もこんなに静かにしたことがないというぐらい黙りこんでいたのに、鶯丸は時おり馬に声をかけるだけだった。

人の体というものは、刀を振るうのに最適な形をしている。それは当然で、人が先にあったからだ。だから平野は己が戦うために得た肉体が人の形をしていることは当然であると思っている。しかし、この人の体というものは、感情や気分が体に直結するのだけが非常に不便だ。

平野は戦いで傷を負った。出会い頭に素早い動きの槍に身を守るための刀装の隙をついて貫かれ、そこからの戦いは無様でもあった。最後まで刀は離さなかったが、これが最期かもしれないとよぎるような負傷に、部隊は平野を囲んで撤退した。

手入れ部屋で目を覚ました平野は自分が折れなかったことに少なからず驚いたが、それ以上に鶯丸が平野のそばに控えていたことに驚いた。背を正して座り、平野ではないどこかを見ている。平野の傷は寝ている間に半ば癒えたのか、痛みこそあるが倒れるようなものでもない。平野が体を起こそうとしたことに鶯丸はすぐに気がついて、平野を止めて布団を直した。

なぜここに、という問いも口へのぼらなかった。鶯丸が何か話してくれることを期待したが、彼は平野の額や頬を撫でたり、布団から出た指先をつまんだりしたあと、また姿勢を正した。

「あの」

「面白いものだな」

鶯丸の言葉に平野はただ絶句した。短刀ごときと侮られただろうか。無様な姿をさらしたとしても、平野はまだ自分が肉体を持ったままであることを後悔する気持ちはない。折れてしまえば、そこで終わりだ。平野が顔をこわばらせたことには気がついたのか、鶯丸は小さく笑う。

「お前はあの倉庫にいても、馬小屋にいても、そうしていても、少しも変わらないな」

鶯丸が、平野を知っていたことにひどく安堵した。同時に情けなくもあった。

初めましてをやり直したい。歴史を変えたいという気持ちは、こんな些細なものから生まれるのかもしれなかった。
2015'06.06.Sat
「俺の寝間着がない」

洗濯物の山を畳みきって、薬研は腕を組んで首を傾げる。本丸の洗濯物は大量で、洗って干してとしているうちはわからなかった。畳みながら各部屋ごとに分けていき、そこでようやく気がついた。

「ほんとだ。飛んでいっちゃったのかな」

ちょっと見てくる、と一緒に洗濯物を畳んでいた燭台切が部屋を出ていく。どこかに紛れてしまったのだろうか、と薬研がもう一度見返すのを、やはり一緒に作業をしていた前田と今剣も手伝って順に見てくれるが見つからない。一枚しかないのはこういうときに不便だと気づくが今更どうしようもない。

「やっぱりわかる範囲にはないなぁ」

戻ってきた燭台切に礼を言う。ないものはしょうがないな、と薬研があっさり言うと周りは少々呆れたようだ。寝間着一枚、と言って目を凝らさなければ見つからないようなものではない。薬研の形は小さくともそれほど面積が小さい寝間着でもなし、見つかるときはすぐに見つかるだろう。そのうち出てこなければまた大将にもらうさ、と答えて、洗濯物をそれぞれの部屋へ運んだ。

「そういえば、薬研はまいばんおへやにいませんね」

「薬研くん、ここ最近ずっと次郎さんの晩酌につき合ってるから……」

「僕たちの部屋ではもう薬研は戻ってこないものとして厚がふたり分の布団を使って寝てますよ」

「あいつそんなことしてんのか。俺の布団もうあの酒飲み部屋に運んじまうかな」

くつくつ笑う薬研を前田が小突く。ときどきはちゃんと帰ってきてください、などと言われて、薬研も悪い気はしない。

「そういえばぼく、薬研のねまきすがたをみたことがありません」

「そうかぁ?」

「いっつもおそくまでおきているから、おふろでもみたことありませんよ」

「俺は宵っ張りでな」

今剣の指摘に薬研はただ笑って返す。幼く見えても、しっかりと周りを見ている。少しひやりとした気がして、薬研はこっそり燭台切を見上げた。そして、思い出す。

「あ」

「どうしました?」

「俺今日、寝間着洗濯に出してねえや」

「なんだ、人騒がせですね」

「ははっ、すまねえな」

あぁ、とどこかぼんやりとした燭台切の反応に薬研は睨んでやりたくなる。薬研がひとまとめに洗濯に出せなかったのは、他でもないこの男のせいだった。



夜。

猫のように薬研は燭台切の部屋に滑り込んだ。部屋の主はまだ戻ってきていなかったがお構いなしに灯を入れる。今日出せなかった洗濯物の回収に来ただけだ。昨日の夜、まんまと汚された寝間着は、少々手間だが他のものと一緒に出すわけにはいかない。見る人が見れば、情事の気配をすぐに察してしまうだろう。そして薬研自身も、他のものと一緒に洗うのは少々気が咎めるのだ。

「だから脱がせろっつったんだ……」

押入れにこっそり隠されたそれを取り出すと、そんなはずはないのにまだ心なしか湿っているような気がしてならない。汗や涙やなんやかんやの体液で汚れて皺の寄ったそれを、さっさと洗ってしまいたかった。薬研は部屋を出ようと立ち上がる。それは燭台切が入ってくるのと同時だった。

「あ、寝間着あった?」

「ああ。とりあえずざっと洗って、明日また潜り込ませとく」

「今日はどうするの?」

「適当に何か着るさ……燭台切?」

ぴしゃりと障子が閉じられる。小さな炎ひとつで部屋の明かりは十分だと思っていたが、今は燭台切の表情が読み切れない。

「あー……燭台切」

「僕が抱いててあげるから、もう裸でいいんじゃない?」

「……あんたは悪趣味だな」

「そう?いいもの選んだと思うんだけどな」

ついと顎の下に指が添えられ、燭台切を見上げると笑っている。人当たりのいい笑顔を誰にでも向けて、こんな時でも変わらないくせに、薬研に断らせる気は少しもない。

「折角だが、こんな上等な布団じゃうまく寝られないんでな」

「ちゃんと寝かしつけてあげるから大丈夫だよ」

「ありゃ気絶してんだよ」

「まぁまぁ」

「あのなぁ……」

するりと腰を抱かれて引き寄せられる。特に抵抗もしないのは、諦めているからだ。決して期待していたわけではないと、言い聞かせる。何度抱かれてもこの男の熱には慣れない。薬研の体には熱すぎて、いつもどろどろに溶かされる。それこそ寝間着のことなど考えられないほどに。

「わかった。でもまたあとでだ」

「まだ何か?」

「次郎のところに行くって言っちまった」

燭台切の腕を抜け出すと溜息をつかれてしまった。溜息をつきたいのはこちらの方だ。

「ほどほどにね」

「そっくり返すぜ」
2011'08.08.Mon
もんのすごく今更で申し訳ないですが、ひっそりと携帯サイトなおしました。アドレス変えたので、見られるようになってるはずです。ほったらかしですみませんでした……

http://tomoshibia.web.fc2.com/i/
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