言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2015'06.06.Sat
「俺の寝間着がない」
洗濯物の山を畳みきって、薬研は腕を組んで首を傾げる。本丸の洗濯物は大量で、洗って干してとしているうちはわからなかった。畳みながら各部屋ごとに分けていき、そこでようやく気がついた。
「ほんとだ。飛んでいっちゃったのかな」
ちょっと見てくる、と一緒に洗濯物を畳んでいた燭台切が部屋を出ていく。どこかに紛れてしまったのだろうか、と薬研がもう一度見返すのを、やはり一緒に作業をしていた前田と今剣も手伝って順に見てくれるが見つからない。一枚しかないのはこういうときに不便だと気づくが今更どうしようもない。
「やっぱりわかる範囲にはないなぁ」
戻ってきた燭台切に礼を言う。ないものはしょうがないな、と薬研があっさり言うと周りは少々呆れたようだ。寝間着一枚、と言って目を凝らさなければ見つからないようなものではない。薬研の形は小さくともそれほど面積が小さい寝間着でもなし、見つかるときはすぐに見つかるだろう。そのうち出てこなければまた大将にもらうさ、と答えて、洗濯物をそれぞれの部屋へ運んだ。
「そういえば、薬研はまいばんおへやにいませんね」
「薬研くん、ここ最近ずっと次郎さんの晩酌につき合ってるから……」
「僕たちの部屋ではもう薬研は戻ってこないものとして厚がふたり分の布団を使って寝てますよ」
「あいつそんなことしてんのか。俺の布団もうあの酒飲み部屋に運んじまうかな」
くつくつ笑う薬研を前田が小突く。ときどきはちゃんと帰ってきてください、などと言われて、薬研も悪い気はしない。
「そういえばぼく、薬研のねまきすがたをみたことがありません」
「そうかぁ?」
「いっつもおそくまでおきているから、おふろでもみたことありませんよ」
「俺は宵っ張りでな」
今剣の指摘に薬研はただ笑って返す。幼く見えても、しっかりと周りを見ている。少しひやりとした気がして、薬研はこっそり燭台切を見上げた。そして、思い出す。
「あ」
「どうしました?」
「俺今日、寝間着洗濯に出してねえや」
「なんだ、人騒がせですね」
「ははっ、すまねえな」
あぁ、とどこかぼんやりとした燭台切の反応に薬研は睨んでやりたくなる。薬研がひとまとめに洗濯に出せなかったのは、他でもないこの男のせいだった。
夜。
猫のように薬研は燭台切の部屋に滑り込んだ。部屋の主はまだ戻ってきていなかったがお構いなしに灯を入れる。今日出せなかった洗濯物の回収に来ただけだ。昨日の夜、まんまと汚された寝間着は、少々手間だが他のものと一緒に出すわけにはいかない。見る人が見れば、情事の気配をすぐに察してしまうだろう。そして薬研自身も、他のものと一緒に洗うのは少々気が咎めるのだ。
「だから脱がせろっつったんだ……」
押入れにこっそり隠されたそれを取り出すと、そんなはずはないのにまだ心なしか湿っているような気がしてならない。汗や涙やなんやかんやの体液で汚れて皺の寄ったそれを、さっさと洗ってしまいたかった。薬研は部屋を出ようと立ち上がる。それは燭台切が入ってくるのと同時だった。
「あ、寝間着あった?」
「ああ。とりあえずざっと洗って、明日また潜り込ませとく」
「今日はどうするの?」
「適当に何か着るさ……燭台切?」
ぴしゃりと障子が閉じられる。小さな炎ひとつで部屋の明かりは十分だと思っていたが、今は燭台切の表情が読み切れない。
「あー……燭台切」
「僕が抱いててあげるから、もう裸でいいんじゃない?」
「……あんたは悪趣味だな」
「そう?いいもの選んだと思うんだけどな」
ついと顎の下に指が添えられ、燭台切を見上げると笑っている。人当たりのいい笑顔を誰にでも向けて、こんな時でも変わらないくせに、薬研に断らせる気は少しもない。
「折角だが、こんな上等な布団じゃうまく寝られないんでな」
「ちゃんと寝かしつけてあげるから大丈夫だよ」
「ありゃ気絶してんだよ」
「まぁまぁ」
「あのなぁ……」
するりと腰を抱かれて引き寄せられる。特に抵抗もしないのは、諦めているからだ。決して期待していたわけではないと、言い聞かせる。何度抱かれてもこの男の熱には慣れない。薬研の体には熱すぎて、いつもどろどろに溶かされる。それこそ寝間着のことなど考えられないほどに。
「わかった。でもまたあとでだ」
「まだ何か?」
「次郎のところに行くって言っちまった」
燭台切の腕を抜け出すと溜息をつかれてしまった。溜息をつきたいのはこちらの方だ。
「ほどほどにね」
「そっくり返すぜ」
洗濯物の山を畳みきって、薬研は腕を組んで首を傾げる。本丸の洗濯物は大量で、洗って干してとしているうちはわからなかった。畳みながら各部屋ごとに分けていき、そこでようやく気がついた。
「ほんとだ。飛んでいっちゃったのかな」
ちょっと見てくる、と一緒に洗濯物を畳んでいた燭台切が部屋を出ていく。どこかに紛れてしまったのだろうか、と薬研がもう一度見返すのを、やはり一緒に作業をしていた前田と今剣も手伝って順に見てくれるが見つからない。一枚しかないのはこういうときに不便だと気づくが今更どうしようもない。
「やっぱりわかる範囲にはないなぁ」
戻ってきた燭台切に礼を言う。ないものはしょうがないな、と薬研があっさり言うと周りは少々呆れたようだ。寝間着一枚、と言って目を凝らさなければ見つからないようなものではない。薬研の形は小さくともそれほど面積が小さい寝間着でもなし、見つかるときはすぐに見つかるだろう。そのうち出てこなければまた大将にもらうさ、と答えて、洗濯物をそれぞれの部屋へ運んだ。
「そういえば、薬研はまいばんおへやにいませんね」
「薬研くん、ここ最近ずっと次郎さんの晩酌につき合ってるから……」
「僕たちの部屋ではもう薬研は戻ってこないものとして厚がふたり分の布団を使って寝てますよ」
「あいつそんなことしてんのか。俺の布団もうあの酒飲み部屋に運んじまうかな」
くつくつ笑う薬研を前田が小突く。ときどきはちゃんと帰ってきてください、などと言われて、薬研も悪い気はしない。
「そういえばぼく、薬研のねまきすがたをみたことがありません」
「そうかぁ?」
「いっつもおそくまでおきているから、おふろでもみたことありませんよ」
「俺は宵っ張りでな」
今剣の指摘に薬研はただ笑って返す。幼く見えても、しっかりと周りを見ている。少しひやりとした気がして、薬研はこっそり燭台切を見上げた。そして、思い出す。
「あ」
「どうしました?」
「俺今日、寝間着洗濯に出してねえや」
「なんだ、人騒がせですね」
「ははっ、すまねえな」
あぁ、とどこかぼんやりとした燭台切の反応に薬研は睨んでやりたくなる。薬研がひとまとめに洗濯に出せなかったのは、他でもないこの男のせいだった。
夜。
猫のように薬研は燭台切の部屋に滑り込んだ。部屋の主はまだ戻ってきていなかったがお構いなしに灯を入れる。今日出せなかった洗濯物の回収に来ただけだ。昨日の夜、まんまと汚された寝間着は、少々手間だが他のものと一緒に出すわけにはいかない。見る人が見れば、情事の気配をすぐに察してしまうだろう。そして薬研自身も、他のものと一緒に洗うのは少々気が咎めるのだ。
「だから脱がせろっつったんだ……」
押入れにこっそり隠されたそれを取り出すと、そんなはずはないのにまだ心なしか湿っているような気がしてならない。汗や涙やなんやかんやの体液で汚れて皺の寄ったそれを、さっさと洗ってしまいたかった。薬研は部屋を出ようと立ち上がる。それは燭台切が入ってくるのと同時だった。
「あ、寝間着あった?」
「ああ。とりあえずざっと洗って、明日また潜り込ませとく」
「今日はどうするの?」
「適当に何か着るさ……燭台切?」
ぴしゃりと障子が閉じられる。小さな炎ひとつで部屋の明かりは十分だと思っていたが、今は燭台切の表情が読み切れない。
「あー……燭台切」
「僕が抱いててあげるから、もう裸でいいんじゃない?」
「……あんたは悪趣味だな」
「そう?いいもの選んだと思うんだけどな」
ついと顎の下に指が添えられ、燭台切を見上げると笑っている。人当たりのいい笑顔を誰にでも向けて、こんな時でも変わらないくせに、薬研に断らせる気は少しもない。
「折角だが、こんな上等な布団じゃうまく寝られないんでな」
「ちゃんと寝かしつけてあげるから大丈夫だよ」
「ありゃ気絶してんだよ」
「まぁまぁ」
「あのなぁ……」
するりと腰を抱かれて引き寄せられる。特に抵抗もしないのは、諦めているからだ。決して期待していたわけではないと、言い聞かせる。何度抱かれてもこの男の熱には慣れない。薬研の体には熱すぎて、いつもどろどろに溶かされる。それこそ寝間着のことなど考えられないほどに。
「わかった。でもまたあとでだ」
「まだ何か?」
「次郎のところに行くって言っちまった」
燭台切の腕を抜け出すと溜息をつかれてしまった。溜息をつきたいのはこちらの方だ。
「ほどほどにね」
「そっくり返すぜ」
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