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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'03.19.Sun
なんだかんだ言われるけれど、俺は結局自分のことで精一杯だ。



キャプテン知らなかったんスか、真剣に驚いた丸い目に、俺はその事実以上に驚いた。くるくる表情を変えるその目はいつも俺を驚かせる。



この後輩が部屋に来る間、ルームメイトはうぜぇとかうるさいとか文句を言って部屋を出ていく。俺は近藤か中西の部屋辺りに行っているのだと思っていた。

どっちがルームメイトだかわからないほど頻繁にこのパワーの塊は部屋へ来るから悪いなと思っていたが、ところがそうではないらしい。そのルームメイトは、後輩なんかうっとおしいだけだ、こき使えるのはいいけどななんて口にするような男で、だから思いつかなかったわけだけど。



今日も今日とてルームメイトを追い出した後輩が言うには、ルームメイトは彼の部屋にいるらしい。

三上が藤代の部屋へ。それはつまり、藤代のルームメイトと同じ部屋へ。



確かに人がひとり抜けた部屋へひとりが入る方が計算上は正しい。だけど少し意外だった。



「キャプテンって、ほんとサッカー以外に疎いっスよね」

「そうかな…」

「まぁそんなとこがかわいーんスけど。そりゃあ俺が来たくてキャプテンのとこに来てることもあるけど、最近は先輩が俺を追い出すんスよ」

「三上が?どうして」

「…だから、三上先輩 タク狙い」

「……」



全く初耳だ。ルームメイトと言っても、俺はいいルームメイトじゃないのかもしれない。あいつのことがまるでわかっていない。



キャプテンが俺のルームメイトだったらよかったのになぁ。そしたらずっと一緒なのに。

可愛いことを言う恋人を抱きしめると、でも今更タク以外がルームメイトって考えられないけどね!とからから笑い出した。
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2006'03.18.Sat
どんどん先へ行ってしまう。



テレビの前では藤代を囲んで大騒ぎになっている。先日取材があった。案外まともに受け答えした誠二は妙に済ましていて、どう考えたって昨日の誠二とは重ならない。

どうして無条件に同じ世界にいるなんて思ってたんだろう。自分が惨めで、哀れだ。



名前を呼べば犬みたいにこっちに来るだろうけど、だけど俺は鎖をつけないからあいつはすぐに行ってしまう。足の速いわんこには俺は追いつけない。

…違う。追いつく気がない。だって俺は追いかけてきて欲しい。俺のところまで、あいつから来てくれないと。

じゃないと俺がなんなのかわからなく、なりそう。だってあいつは欲しいもの全部持ってるじゃないか。もし俺が要らないというのなら、あいつは戻ってこないだけ。



なんて、自虐的に言ってみても結局は嫉妬だ。俺だってサッカー少年だ。

もう将来を鷲掴みにしているあの気楽な男に、惚れた俺が悪かっただけ。



「タクー、どうよ俺!めっちゃカメラ映りよくない!?俺プロ引退したらタレントやろーっと」

「あーうんうん、い〜感じでバカっぽく映ってる」

「何で!男前じゃん!」

「はいはい。んで?引退したら売れない芸人と深夜番組か」

「なんだよもー、ヤキモチ焼かなくたってタクは俺が幸せにしてあげるからねv」

「ありがとダーリンv嬉しいv」



また始まったよーと周りは笑う。ばかやろ、洒落になんねっつの。マジで養われちゃったらどうしよう。

好きだよ。やっばいぐらいに。お前がいない夜に泣きたくなるぐらいに。



「…ダーリンv部屋帰っていいことしようか」

「え、」

「おおッ笠井積極的!」

「ふたりっきりになりたいなv」



周りの馬鹿騒ぎの中、誠二だけ笑えてないのに笑ってしまう。だって洒落になんないからね。俺は言ったらほんとにするよ。

だけどお調子者だから、危機を悟りながらも格好つけて俺の手を取る。夜まで待てない?なんてイイ声作って言っちゃって。待てない、待てない。笑って誠二を見ると顔が引きつった。



誰にも渡したくないなんて思ってる。鎖で繋ぐほどの勇気がないから、せめてその手を。
2006'03.13.Mon
動物みたい。



馬鹿みたいに遠慮して、照れてんだか怖いんだか。

俺まで届く指先まで緊張しているのがわかって、こっちまで緊張してくる。

あんまり遅いから手首を掴んで指先に噛み付いた。馬鹿と怒られて笑ってしまう。



いいから早く触ってよ。俺はお前になら何をされても怖くないところまできてる。



「意気地なし」

「……」

「大丈夫」



俺はお前が思ってるほど綺麗じゃない。

もっと好きに穢して。



指先を捕まえて触れる。見つめる。



おまえがここにいることが凄い。

だからもっと現実感を俺に教えて。
2006'03.07.Tue
君のためならあの星にだって手が届くと思ってた。



そんな幻想を抱いていた。

親元を離れるのを一番不安がったのは最後まで本人だった。泣きじゃくるのを俺が無理矢理電車に載せた。やっぱり東京まで一緒に行こうか、と甘いことを言う彼の両親を俺が突っぱねた。大丈夫俺が守るから。偉そうなことを言って。



電車に乗ってからも泣き続けるのを俺は黙って見ていた。こういうときに話しかけても聞いてくれないのは経験でわかっているし、何より適当なことを言って体面を取り繕っていたら俺まで泣きそうな気がしたから。

俺だって不安がないわけじゃない。だってのん気に田舎で暮らしていた小学生がふたり、ふたりで東京まで向かうのだから。電車にだってろくに乗ったことがないのに、ましてや子どもだけで出かけるなんて。



そしていざ着いた東京では最悪のパターンとして思い描いたとおり、迷子になった。

今思えば運のいい話、あからさまにおのぼりさんだった俺達を見かねて声をかけてくれた親切な人の導きで俺達は道を見つけた。

この道を真っ直ぐ行けば、俺達の家になるはずの寮がある。



東京は怖いと俺は思った。

泣きじゃくっていた本人は、いざ着いてしまえば興味深々に辺りを見回し、俺はといえば人の量の多さに酔った。

情けなくも手を引かれ、気分も最悪で俺はほとんど泣きそうだった。



「一番星」



間抜けな声に顔を上げた。

明るい空に一番星、いつのまにか夜に近付いていた空に、星が輝いて俺を見下ろしていた。



ここでも星が見える。

気が抜けた拍子に涙か零れた。

見て見ぬふりなんて器用なことが出来ないあいつは、焦って俺の顔を拭う。



「だ、大丈夫?」

「大丈夫」



しっかりと手を握って歩き出す。

いつだって一番星を探して誓うよ、俺はここで強くなる。この手の先を守れるように。
2006'03.06.Mon
付き合って下さい、だって。



立ち聞きどころかそこにいることも知らなかったけれど、結果的には立ち聞きになってしまった。転がったボールを取りにきた部室の裏、小島と隣のクラスの男子。名前は知らない。



離れないとと思うけれど足は動かなかった。自分の感情に迷う。



俺よりも少し低い声が小島を捕まえている。言葉は少ないけれど、必死なのが伝わってくる。

俺みたいに、外ばかりを気にするのとは違うんだろう。顔だけは知ってる誰かを、明日から平然と見れる自信がない。



小島は迷ってるようだった。だけどいつだったか部室でそんな話になったときに、彼氏なんかいらないと言っていたのをよく覚えてる。それどころじゃない、と。今はサッカー部で精一杯だと。



「あ、あのっ、……ご、ごめんなさい…」

「…やっぱり水野と付き合ってるってほんとなのか?」

「ち、違うよ! あの…でも、好きな人がいるから…」

「…そっか。水野じゃないの?」

「違う違う!な、なんであいつ?」

「噂になってるよ」

「違うよォ…」



――――血の気が引いた、俺がむなしい。

あぁそうなんだという納得と、やっぱり俺の先走りなのかというむなしさ。俺の一方的だったのか。



サッカーしてる姿が好きでした。

最後の言葉に、ありがとうと明るく答える。



「サッカーだけは、何があっても捨てられないから」



俺は



俺は――――
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