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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'08.22.Tue
だるい、中西のつぶやきも無視して辰巳は階段を登る。思わず足を止めるとその後ろ姿が徐々に全景を現した。



「…おい」

「俺辰巳の尻好きだな〜」

「……」

「階段登るたびに筋肉がね」

「…お前前歩け」

「嫌」

「前!」



引っ張り上げられて背中を押される。言わなきゃよかった〜、言いながら後ろに体重をかけてやると本気で怒った声がした。そんなに怒らなくても。本気じゃないのわかってる癖に。



早く、と急かされて歩き出す。階段なんて大嫌いよ、オール電化で行きましょう。つまりエレベーター完備で。



「お前猫背だな」

「……ウルサイな」

「姿勢悪い」

「はいはい知ってます」

「はいはい登って登って」



容赦なく背中を押されるので中西はしぶしぶ先へ進む。階段を登る。油断すると前へ転けそうだ。



「……なんで辰巳まで一緒に登ってるんだっけ?」

「お前ひとりじゃ落ちるからだろ」

「…大好きよ」

「聞きあきた」

「かっわいくねぇの」



俺に可愛さを求めてどうする。辰巳が溜息混じりに吐き出した。
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2006'08.20.Sun
「あっち〜い……」



フローリングに大の字になって三上は誰にでもなく呟いた。返事を期待したわけではない。何故なら部屋にはひとりで、完全にひとり言だからだ。



伸ばした四肢が緩んでいるのがわかる。暑さにだらけ始めてしまうとエンジンがかからなくなる。今まではどうしていただろう────



汗でべたつく肌を嫌って手を伸ばす。なんとなくセックスの雰囲気を思い出す。夏はいつも、笠井がいた。



(…あっついのに、よーイロイロやったな)



笠井が留学していったのは去年の夏だった。あれから1年が経つ。帰ってくるはずの夏だが、もう既に半年ほど連絡を取っていなかった。



俺は待っていてよかったんだろうか。



携帯の振動音が静かに響く。手探りでベッドから携帯を引っ張り、通話ボタンを押して黙る。横を向くと埃のたまったベッドの下に、笠井からの手紙が落ちていた。



「…笠井」

『…人違いだったらどうすんですか』

「誤魔化す」

『バカだなぁ…その、1年経ったんですけど』

「…うん」

『俺は…どこへ行ったらいいですか?』

「隣なら空いてる」



暑苦しい。全身が汗で濡れている気がする。電話の向こうはどんな気候なのか、連絡を取らない間にわからなくなっていた。



「笠井、電話越しでいいからセックスしない?」

『帰るのやめようかな…』
2006'08.18.Fri
(なんで俺の部屋に来るかな)



帰って来るなり人のベッドに倒れ込み、そうかと思えばそのまま寝てしまった。ただいまぐらい言えばいいのに。それでも叩き起こさないのは、選抜合宿での結果を聞いていたせいだ。



普通って難しい。思わず溜息を吐く。変に気を使わないよう、普通に接しようと思っていたはずなのに、やはりどこか甘さが出る。少なくとも三上が望んでいるものではないのが確かだ。



うつ伏せで三上は熟睡している。よっぽど疲れていたのだろう。規則正しい寝息は聞こえるが、ぴくりとも身動きをしない。試しにくすぐってみたが、わずかに体を動かしただけだった。



すぐ隣に座り、眠る背中に体重をかける。熱い背中に顔を伏せた。



(……汗臭い)



「重いんですけど」

「……汗臭いんですけど」

「もうちょっと慰めるとかしろよ」

「どうしたらいいんですか」

「脱ぐとか」

「……殺人計画たてたくなった」



うつ伏せの頭を布団に押しつけると三上が暴れ出した。ひとの気も知らないで。────それで気がすむのなら、いくらでもからかえばいい。
2006'08.16.Wed
高く、澄み渡る空。雲ひとつない青い空は、いつもと違う迫力で迫ってくる。酷く焦らされて、笠井は頭を降った。髪の先から汗が散る。



(走らなきゃ)



炎天下をひとりで走る。仰ぎ見た空が追ってくる気がして足を早めた。昔、青空が怖かったことを思い出す。



鍵盤を叩いていた手はかたく握られ、楽譜を追っていた目の先はボールを見据える。現状に不満はない。



ピアノをやめて外に飛び出した日の空も、こんな空だった。仰ぎ見た青、身にまとわりつく過去が消えない。
2006'08.14.Mon
窓越しにぺこりと頭を下げた姿を見かけ、中西は少し迷ってから隣の三上に視線だけで訴えた。後輩、と端的に返事が返ってくる。



「外でまで律儀ねぇ」

「怖〜い中西先輩に挨拶しないなんて勇者だろ」

「俺挨拶はどうでもいいんだけどなー、めんどいし」



残ったジュースを吸い上げて、中西は興味なさそうに顔を伏せた。



松葉寮全体的にクーラーが不調である中、久しぶりの休日、勿論寮にいる気などない三上は中西を引っ張って外に出ている。寒がりではあるが暑がりでもある中西は、ファーストフード店に入ってしばらくした後上着を着た。



「…どういうつもりだろう」

「何が」

「お辞儀って。誠意を見せるなら土下座でしょ」

「…お前、学校の廊下でいちいち土下座されてみろよ」

「やだん大名行列みたいで素敵」

「…なるほどな」

「つむじ見せられてもねぇ」



目的もなく虚ろに窓の外を眺める。ふたりにしてみれば殺人的な熱気の中、人と人がぶつかり、互いに頭を下げる姿が見えた。



「…ジェスチャーって便利」

「どうした」

「好きって言葉だけじゃ伝わらない相手ばっかり好きになるの」

「しょうがねぇな」

「あーあ、こうも暑いと本領発揮する場がないなぁ」

「お前の本領発揮なんか見たくねぇし」

「…夏なんてなければ、三上に笠井を取られたりしなかったのに」

「……それはそう、こう、何やら」

「バカ」
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