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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2024'05.18.Sat
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2014'03.19.Wed
ホームシック、とまではいかないにせよ、訓練兵になったばかりの兵士たちには大なり小なりそのような感情を覚えることがある。幸か不幸か、アルミンには元々家と呼べるほど大した住処もなく、会いたくなる家族といえばエレンとミカサで、ずっと一緒にいたのでそのような気持ちとは無縁だった。しかし体が大きかろうが、年が一番上だろうが、誰でもみんな少しはそんな気持ちになるらしい。それが少し、羨ましくもあった。それは帰る場所があるということだ。

夜、訓練兵たちの部屋では時折すすり泣くような声が聞こえる。それは大抵は頭からすっぽりと布団に囲まれて少しは小さくなるが、全てを殺しきれるものでもない。それでもそれは、見て見ぬふり、聞いて聞かぬふりをされていた。

だから、多分アルミンがしたことは暗黙の了解をある意味では破ったことになるのかもしれない。



アルミンはふと真夜中に目が覚めた。布団の中ですぐに再び目を閉じたが、誰かの泣く声に気がついた。そのつもりがなくても静かな夜、大きないびきの合間にもその泣き声は聞こえてくる。耳を澄ませば、位置から考えるとあれはコニーだろうか。

やがて大きく鼻をすする音がして、衣擦れの音がする。布団を引き上げたのかと思ったが逆のようで、ベッドを降りたようで足音がした。あれは窓の開く音だろうか。

アルミンはそっと目を開けた。月明かりの差し込む窓のそばで、コニーが外を見ている。その頬が濡れているのが見えて、アルミンはどうしたものか迷ったが、ベッドを降りて近づく。アルミンに気がついてコニーは慌てて頬を拭う。

「悪い、起こしたか」

「ううん。眠れないなら飲み物でも入れようか」

「いや、いい。寝るわ。悪いな」

「眠れそう?」

「寝る」

口を引き結んだ彼の横顔は、いつもの彼とは違って見える。兵士なのだから当然なのかもしれないが、果たしてどんな甘えも許されないのだろうか。

ベッドに戻ろうとするコニーを咄嗟に引き留めた。その頬にキスを落とす。日に焼けた肌はまだ柔らかさを残し、きっと自分も同じだろうが驚いた。しかしコニーはアルミン以上に驚いてこちらを見ている。

「あの、ごめん。寝られるようにおまじない」

「……母ちゃんみたいなことすんなよ」

顔をしかめた彼の目にはまた涙が浮かび、アルミンはそれ以上どう言ったものかわからず、彼をベッドまで導いた。

「おやすみ、コニー」

「おやすみアルミン」

日が上れば、またいつもの日常だ。せめて彼がいい夢を見ますようにと、アルミンはベッドの中で願いながら目を閉じた。
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