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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2006'02.28.Tue
そこから遠く離れていても、赤い空が見えていた。



隣で総悟が綺麗だと呟いた。

その向こうのトシは何を考えているかわからなかった。知らぬ間に覚えていた煙草をふかし、はしゃぐ総悟をたしなめる。

俺は心底恐ろしかった。



俺の故郷は田舎だから、戦の最中でもそこそこ平和なものだった。血気盛んな一部の男達は勇んで戦へ向かったけれど、誰一人として帰ってこない(江戸へ出てからひとり、遊里で豪遊しているのを見たが事情は知らない)。

トシは血気盛んなひとりで、それでも自分の実力はちゃんとわきまえていたのだろう。素振りは見せても戦へは行かなかった。俺が行かなかったせいかもしれない。



そのときはこんな田舎にまでも、恐ろしい兵器を天人は準備しているという噂が流れてきていた。

それは本当に相当なもので、人が足を踏み入れたことがない空から沢山の爆弾を落とした。江戸の町が真っ赤に燃えて、空まで赤く、何が燃えているのかわからないほどだった。



「近藤さん、空も燃えてらァ」

「…あぁ…」

「雨が降りゃいいのにな」



悲鳴が 聞こえるようだった。

小高い丘から江戸を見て、視線が離せなかった。心底恐ろしかった。

だけど天人が憎いとは思わなかった。恐ろしいと同時に、燃える空は美しかった(後にトシがあれは女のようだったと言った。どういう意味かは聞いてない)。



江戸の町を守るようになる頃には空は燃えることはなくなった。

澄んだ空に天人の船が飛ぶ。



「局長」

「――――」



あの空が俺を作ったのだろう。今でも俺の心で燃える空。

震える手で人を殺した瞬間も、洗っただけのその手で触れた女も、赤い空のせいだ。



「局長」

「…トシにまでそう呼ばれるとかなわんな」

「泣いても笑っても、あんたは今日から局長だ」
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