言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2012'01.29.Sun
「次屋先輩、委員会行きましょー」
「おー」
次屋が顔を上げると、三年ろ組の教室を覗いて時友がにこりと微笑んだ。どうも甘えん坊が治らず、委員会の前はいつもこうして迎えに来る。かわいいやつだよな、と誰かにそれを話したとき、妙な顔をされた。やはり奇異にうつるだろうか。
富松と左門に見送られ、次屋は時友のそばへ行く。ぎゅ、と熱い手が次屋のそれを掴み、元気よく引っ張られた。体は小さいがそこは体育委員、ちょっとした実技の授業があっても体力を持て余すほどだ。
今日も体育委員長は絶好調で、「いけいけどんどん!」と裏山を駆け抜けていく。
「次屋先輩は今日のランチどっちにしましたかー?」
「からあげ」
「いいなー。ぼく授業が伸びて、からあげ食べられなかったんですよねー」
右、左と軽快に足を動かしながら、次屋は時友の走りに着いていく。迷子防止に、と滝夜叉丸が次屋と時友を縄でつないでしまったので、着いていくしかないのだが。四郎兵衛すぐいなくなるよな、なんて次屋の言葉に、時友はえへへと笑っただけだったが、滝夜叉丸にはどつかれた。
「なー四郎兵衛、委員長たちどこ行った?」
「どこでしょーねー」
気がつくと走っているのはふたりだけになっている。時友は相変わらずにこにこしていた。またいつものように誰かが迷子になったのだ。
――ふと、木々のざわめく音に足を止める。それは時友も感じていたようで、一緒に周囲の気配を探った。野生動物のような、殺気立ったものではない。裏山であるから体育委員以外の忍たまがいても不思議はないのだが。
時友がはっと気づいて顔を上げる。
「……ぁぁぁぁああああ!!!」
悲鳴と共に山を転がり落ちてきたのは、二年の川西左近だった。方向を確認し、時友と声の方へ走る。勢いが止まらない川西を時友が止め、次屋がそれを支えた。ぐっと土を踏みしめて転倒は回避する。左近はすぐに顔を上げたが、服は乱れ、息も荒くそれどころではない。どうにか視線が定まってから、四郎兵衛を見て小さく礼を言った。
「左近どうしたの?」
「……いつもの不運だよ」
「ああ……。頭巾なくなってるよ」
「え、あっ、ほんとだ」
頭を撫でてそれに気づき、左近は振り返ったが見つかるはずもない。溜息をついて左近はがくりと頭を垂れる。ふとその首に目が行き、次屋はそこを指差した。
「川西、首んとこ赤くなってる」
「へ?」
「首。耳の下ぐらい」
次屋が言いきるより早く、左近はぱっとそこを手で覆う。じわりと頬が赤く染まった。あれ、こいつもしかして。
「左近どうしたの?痛いの?」
「いっ、いやっ!痛くない!大丈夫!」
「ほんとに?あ、学園まで送ろうか?」
「いい!大丈夫、ありがと!委員会中だろ?七松先輩上の方で見たよ」
「あ、ほんとに?まだ間に合うかも。次屋先輩、行きましょう」
「ああ、うん」
首から手を離さない左近をにやにやと見ていると、キッと鋭い眼で睨まれる。それを笑って、時友を引き寄せて彼の頭巾を取った。それを左近に渡してやる。
「次屋先輩?」
「いるだろ?」
「……左近、頭巾いる?」
「えっ!?あ……か、貸してもらっていい?」
「いいよー」
「ありがと、ちゃんと返すから」
次屋の手からそれを取り、しかしまだ睨むことは忘れない。時友と走りだし、左近の動揺を思い出して笑いがこみ上げる。
「変な左近ー。どうしたんだろ」
「ま、大したことじゃねぇよ」
「おー」
次屋が顔を上げると、三年ろ組の教室を覗いて時友がにこりと微笑んだ。どうも甘えん坊が治らず、委員会の前はいつもこうして迎えに来る。かわいいやつだよな、と誰かにそれを話したとき、妙な顔をされた。やはり奇異にうつるだろうか。
富松と左門に見送られ、次屋は時友のそばへ行く。ぎゅ、と熱い手が次屋のそれを掴み、元気よく引っ張られた。体は小さいがそこは体育委員、ちょっとした実技の授業があっても体力を持て余すほどだ。
今日も体育委員長は絶好調で、「いけいけどんどん!」と裏山を駆け抜けていく。
「次屋先輩は今日のランチどっちにしましたかー?」
「からあげ」
「いいなー。ぼく授業が伸びて、からあげ食べられなかったんですよねー」
右、左と軽快に足を動かしながら、次屋は時友の走りに着いていく。迷子防止に、と滝夜叉丸が次屋と時友を縄でつないでしまったので、着いていくしかないのだが。四郎兵衛すぐいなくなるよな、なんて次屋の言葉に、時友はえへへと笑っただけだったが、滝夜叉丸にはどつかれた。
「なー四郎兵衛、委員長たちどこ行った?」
「どこでしょーねー」
気がつくと走っているのはふたりだけになっている。時友は相変わらずにこにこしていた。またいつものように誰かが迷子になったのだ。
――ふと、木々のざわめく音に足を止める。それは時友も感じていたようで、一緒に周囲の気配を探った。野生動物のような、殺気立ったものではない。裏山であるから体育委員以外の忍たまがいても不思議はないのだが。
時友がはっと気づいて顔を上げる。
「……ぁぁぁぁああああ!!!」
悲鳴と共に山を転がり落ちてきたのは、二年の川西左近だった。方向を確認し、時友と声の方へ走る。勢いが止まらない川西を時友が止め、次屋がそれを支えた。ぐっと土を踏みしめて転倒は回避する。左近はすぐに顔を上げたが、服は乱れ、息も荒くそれどころではない。どうにか視線が定まってから、四郎兵衛を見て小さく礼を言った。
「左近どうしたの?」
「……いつもの不運だよ」
「ああ……。頭巾なくなってるよ」
「え、あっ、ほんとだ」
頭を撫でてそれに気づき、左近は振り返ったが見つかるはずもない。溜息をついて左近はがくりと頭を垂れる。ふとその首に目が行き、次屋はそこを指差した。
「川西、首んとこ赤くなってる」
「へ?」
「首。耳の下ぐらい」
次屋が言いきるより早く、左近はぱっとそこを手で覆う。じわりと頬が赤く染まった。あれ、こいつもしかして。
「左近どうしたの?痛いの?」
「いっ、いやっ!痛くない!大丈夫!」
「ほんとに?あ、学園まで送ろうか?」
「いい!大丈夫、ありがと!委員会中だろ?七松先輩上の方で見たよ」
「あ、ほんとに?まだ間に合うかも。次屋先輩、行きましょう」
「ああ、うん」
首から手を離さない左近をにやにやと見ていると、キッと鋭い眼で睨まれる。それを笑って、時友を引き寄せて彼の頭巾を取った。それを左近に渡してやる。
「次屋先輩?」
「いるだろ?」
「……左近、頭巾いる?」
「えっ!?あ……か、貸してもらっていい?」
「いいよー」
「ありがと、ちゃんと返すから」
次屋の手からそれを取り、しかしまだ睨むことは忘れない。時友と走りだし、左近の動揺を思い出して笑いがこみ上げる。
「変な左近ー。どうしたんだろ」
「ま、大したことじゃねぇよ」
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