言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2013'11.03.Sun
「おはよう。帰り何時だった?」
「おはよう。12時過ぎてたな」
「全然気づかなかった」
笠井が寝てから帰宅し、起きるより早く支度を済ませている三上に舌を巻く。もう慣れてはいたが、相変わらずてきぱきした人だ。朝食を済ませて皿を片づけている三上を見てあくびをする。
「ああ、そうだ」
笠井の前を横切ろうとして三上は足を止めた。
「誕生日おめでとう」
「どーも」
そういえば、今日は笠井の誕生日だった。
三上の隣で過ごすようになってから、もう10年以上経つ。お互い今更誕生日やクリスマスなどのイベントごとをいちいち恋人らしくこなしてはいられない。身も蓋もない言い方をするなら、ネタが尽きた。三上も言葉だけ残して台所に消える。
「……あ、お皿置いてていいよー、後で俺一緒に洗うから」
「洗う気なかった」
「そーですか」
「パン焼くか?」
「うん」
三上がトースターを開ける音を聞きながら、笠井は奥の部屋に向かった。
男ふたりには不釣り合いな一戸建て。広く取った部屋の1階は笠井のピアノ教室のための部屋だ。壁のカレンダーを見ながら今日の生徒を確認する。祝日なので休みの子がほとんどだ。それ以外は夕方まで、いつもと何も変わらない1日だ。
「布団でも干そうかな」
「焼けたぞー」
「あざーっす」
カレンダーを弾いてリビングに戻った。無造作に食パンを皿に乗せ、三上は笠井と入れ替わるように2階の部屋に上がっていく。冷蔵庫から取り出したマーガリンといちごジャムをべたりと塗って、牛乳をマグに注いで朝食だ。
もう三十路も前になれば、誕生日もさして特別なものでもない。2、3年かに1度ぐらい思い出したように友人が思い出したようにメッセージをくれる以外には、律儀な三上がひと言くれるのがここ数年のパターンだった。誕生日を祝ってもらって無邪気に喜ぶような年でもない。
「じゃあ俺行くからー」
「はーい」
玄関からの声に、食パンを手にしたまま一応見送りに行くと、三上はそれを見て顔をしかめた。行儀の悪さを怒るのかと思いきや、三上が笠井の腹を摘んだので叩き落とす。
「お前絶対肉ついた」
「ついてない!」
「ケーキでも買ってやろうかと思ってたけどやめるわ」
「ケンタのチキンがいい」
「デブ」
「遅刻しろ!」
三上を見送り、笠井はざくざくとトーストを食べながら台所に戻る。怒りのまま咀嚼しながら、そっと腹を撫でた。明らかに昔より柔らかいことは自分でもわかっている。しかし三上が言っているのは、きっと自分がまだ毎日サッカー漬けで走り回っていた頃のことだ。あれから何年経っていると思っているのだろう。
「……走ろうかな」
朝食を済ませて部屋に戻ると、忘れていた携帯に友人からメールが来ている。祝いと一緒に久しぶりに食事でも、という誘いだ。少し迷って、例と一緒に、その前に走りに行かないか、と送ってみる。現役のサッカー選手にどこまでついていけるのかはわからない。送ったメールにやや後悔しながらも、返事がくる前に笠井は着替えを始めた。ああ見えてもまめな三上は、きっと笠井のリクエストに応えたものを買って帰ってくるだろう。
「おはよう。12時過ぎてたな」
「全然気づかなかった」
笠井が寝てから帰宅し、起きるより早く支度を済ませている三上に舌を巻く。もう慣れてはいたが、相変わらずてきぱきした人だ。朝食を済ませて皿を片づけている三上を見てあくびをする。
「ああ、そうだ」
笠井の前を横切ろうとして三上は足を止めた。
「誕生日おめでとう」
「どーも」
そういえば、今日は笠井の誕生日だった。
三上の隣で過ごすようになってから、もう10年以上経つ。お互い今更誕生日やクリスマスなどのイベントごとをいちいち恋人らしくこなしてはいられない。身も蓋もない言い方をするなら、ネタが尽きた。三上も言葉だけ残して台所に消える。
「……あ、お皿置いてていいよー、後で俺一緒に洗うから」
「洗う気なかった」
「そーですか」
「パン焼くか?」
「うん」
三上がトースターを開ける音を聞きながら、笠井は奥の部屋に向かった。
男ふたりには不釣り合いな一戸建て。広く取った部屋の1階は笠井のピアノ教室のための部屋だ。壁のカレンダーを見ながら今日の生徒を確認する。祝日なので休みの子がほとんどだ。それ以外は夕方まで、いつもと何も変わらない1日だ。
「布団でも干そうかな」
「焼けたぞー」
「あざーっす」
カレンダーを弾いてリビングに戻った。無造作に食パンを皿に乗せ、三上は笠井と入れ替わるように2階の部屋に上がっていく。冷蔵庫から取り出したマーガリンといちごジャムをべたりと塗って、牛乳をマグに注いで朝食だ。
もう三十路も前になれば、誕生日もさして特別なものでもない。2、3年かに1度ぐらい思い出したように友人が思い出したようにメッセージをくれる以外には、律儀な三上がひと言くれるのがここ数年のパターンだった。誕生日を祝ってもらって無邪気に喜ぶような年でもない。
「じゃあ俺行くからー」
「はーい」
玄関からの声に、食パンを手にしたまま一応見送りに行くと、三上はそれを見て顔をしかめた。行儀の悪さを怒るのかと思いきや、三上が笠井の腹を摘んだので叩き落とす。
「お前絶対肉ついた」
「ついてない!」
「ケーキでも買ってやろうかと思ってたけどやめるわ」
「ケンタのチキンがいい」
「デブ」
「遅刻しろ!」
三上を見送り、笠井はざくざくとトーストを食べながら台所に戻る。怒りのまま咀嚼しながら、そっと腹を撫でた。明らかに昔より柔らかいことは自分でもわかっている。しかし三上が言っているのは、きっと自分がまだ毎日サッカー漬けで走り回っていた頃のことだ。あれから何年経っていると思っているのだろう。
「……走ろうかな」
朝食を済ませて部屋に戻ると、忘れていた携帯に友人からメールが来ている。祝いと一緒に久しぶりに食事でも、という誘いだ。少し迷って、例と一緒に、その前に走りに行かないか、と送ってみる。現役のサッカー選手にどこまでついていけるのかはわからない。送ったメールにやや後悔しながらも、返事がくる前に笠井は着替えを始めた。ああ見えてもまめな三上は、きっと笠井のリクエストに応えたものを買って帰ってくるだろう。
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