言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2013'11.03.Sun
パラレル注意
「アルミン?」
鍵がかかっていたのだから不在だろう。わかってはいたがつい探さずにはいられず、ジャンは合い鍵をポケットにしまいながら、部屋の中を探して歩いた。
アルミンが暮らすこの部屋は、ひとりで過ごすには広すぎる。しかし他界した家族の思い出の残るこの部屋を離れることはできなかった。ジャンにはアルミンの孤独はわからない。だからこそ、彼女の笑顔が愛おしくてならなかった。
ジャンがこの部屋の合い鍵を渡されたのは半年ほど前だ。ずっと確信させてくれなかったアルミンの気持ちをはっきりと口にしてくれた日でもある。
ポケットに潜ませたプレゼントを撫でる。今日はアルミンの誕生日だ。ジャンが来ることは知っていたはずだが、買い物にでも出ているのだろうか。
手持ち無沙汰に時間を持て余し、勝手にコーヒーを入れる。アルミンが飲まないのにここに置かれるようになった意味がわからないほど野暮ではない。
会ってすぐ!のつもりでいた勢いを殺がれ、ソファーに沈んで深く息を吐く。もう少し落ち着けと言うことだろうか。改めて言葉を探すうちに玄関で物音がして、覗きに行くとアルミンがやはり帰ってきたところだった。
「おかえり」
「あ、ジャン来てたんだ。ただいま。ありがとう」
荷物を取ると微笑むアルミンに笑い返す。落ち着いて、と思ったことなどすぐに頭から消え去って、ジャンはアルミンの手を引いた。どうしたの、というアルミンの問いには答えないままソファーに座らせる。
「ジャン?」
「アルミン、誕生日おめでとう」
「……ありがとう」
頭の中でのシミュレーションは完璧だったはずなのに、いざとなると言葉が出てこない。緊張を飲み込み、アルミンの手を取る。片手をポケットに入れて取り出したものが合い鍵で、それは慌ててそばのローテーブルに置き、改めて目的のものを探した。ようやく見つけたそれを握り、アルミンの左手を撫でる。彼女はまだわからないようで、首を傾げてジャンを見ていた。
薬指に指輪を通す。ただそれだけだというのにかっと体中熱くなった。サイズはこっそりはかったのでぴったりだ。それに安心して息を吐く。
「……ジャン」
「オレと結婚して下さい」
戸惑うアルミンをじっと見る。目をそらしてしまいたいがぐっとこらえる。彼女の目にみるみるうちに涙が浮かぶが、それがどういう意味なのかわからない。
「アルミン」
「違う、ごめん」
慌てたように涙を拭い、彼女はじっと指輪を見た。やっぱりこういうものはふたりで選びに行くべきだったのだろうか、と少し不安になる。恋人としてのつき合いは確かに長くはないが、幼稚園に通っていた頃から知る仲だ。いずれ結婚はと、口にしなくともふたりともわかっていたはずだ。
「……僕、ジャンに言わなきゃいけないことがあって」
「え」
「……さっき、……」
言葉を口にする前に、ぼろぼろとこぼれる涙がそれを遮る。慌てて手を握ったり背を撫でたりするが、アルミンは顔を覆ってしまった。何か不味いことがあっただろうか。ジャンがつき合った相手はアルミンが初めてだ。手探りの恋でもまじめに取り組んできたつもりだ。
ゆっくり息を吐き、少し落ち着いたアルミンは涙を拭いながら顔を上げた。ジャンを見上げ、唇を震わせる。何か言ったようだが聞き取れず、口元に耳を寄せた。濡れた吐息が触れる。
「……ほんとかっ!?」
どうにか聞こえた言葉に興奮してアルミンの肩を引く。つい声が大きくなったせいでアルミンが怯えた表情を見せ、すぐに手を離して謝った。
「……ほんとなのか」
アルミンは小さく頷いた。感情が言葉にならないのがもどかしく、我慢できずにアルミンを抱きしめる。
「あっ、あの!でも、まだ病院には行ってないから」
「じゃあ一緒に行く」
「ッ……嫌じゃない?」
「なんでだよ。……お前嫌なのか?」
「まさか!」
「返事は?」
手を取って見つめるとアルミンははたと思い出したように指輪を見た。じわりと頬が赤くなる。
「……うん」
「ん?」
「ジャンのお嫁さんに、して下さい」
「……はぁ」
緊張が途切れてアルミンを抱きしめる。戸惑うようにゆっくり抱きしめ返すアルミンがくすぐったい。
「お前の誕生日なのに、オレがもらってばっかになっちまった」
「そんなことない。すごく嬉しい……」
お互いの体温を感じて深く息を吸い込む。思いがけないプレゼントだ。
「……いつ、だろうな……」
「はは……気をつけてたのにね……」
「あっ!結婚式急いだ方がいいか!?」
「も、もう式の話する?」
「だってしんどい時期にはできないだろ」
「無理にしなくても」
「やだ。絶対する。子どもに見せてやらねえと」
「……ジャンに似た、素敵な子になるといいね」
微笑むアルミンにじわじわと実感がこみ上げる。見上げてくる赤い頬を両手で包み、隠れるようにキスを落とした。
「アルミン?」
鍵がかかっていたのだから不在だろう。わかってはいたがつい探さずにはいられず、ジャンは合い鍵をポケットにしまいながら、部屋の中を探して歩いた。
アルミンが暮らすこの部屋は、ひとりで過ごすには広すぎる。しかし他界した家族の思い出の残るこの部屋を離れることはできなかった。ジャンにはアルミンの孤独はわからない。だからこそ、彼女の笑顔が愛おしくてならなかった。
ジャンがこの部屋の合い鍵を渡されたのは半年ほど前だ。ずっと確信させてくれなかったアルミンの気持ちをはっきりと口にしてくれた日でもある。
ポケットに潜ませたプレゼントを撫でる。今日はアルミンの誕生日だ。ジャンが来ることは知っていたはずだが、買い物にでも出ているのだろうか。
手持ち無沙汰に時間を持て余し、勝手にコーヒーを入れる。アルミンが飲まないのにここに置かれるようになった意味がわからないほど野暮ではない。
会ってすぐ!のつもりでいた勢いを殺がれ、ソファーに沈んで深く息を吐く。もう少し落ち着けと言うことだろうか。改めて言葉を探すうちに玄関で物音がして、覗きに行くとアルミンがやはり帰ってきたところだった。
「おかえり」
「あ、ジャン来てたんだ。ただいま。ありがとう」
荷物を取ると微笑むアルミンに笑い返す。落ち着いて、と思ったことなどすぐに頭から消え去って、ジャンはアルミンの手を引いた。どうしたの、というアルミンの問いには答えないままソファーに座らせる。
「ジャン?」
「アルミン、誕生日おめでとう」
「……ありがとう」
頭の中でのシミュレーションは完璧だったはずなのに、いざとなると言葉が出てこない。緊張を飲み込み、アルミンの手を取る。片手をポケットに入れて取り出したものが合い鍵で、それは慌ててそばのローテーブルに置き、改めて目的のものを探した。ようやく見つけたそれを握り、アルミンの左手を撫でる。彼女はまだわからないようで、首を傾げてジャンを見ていた。
薬指に指輪を通す。ただそれだけだというのにかっと体中熱くなった。サイズはこっそりはかったのでぴったりだ。それに安心して息を吐く。
「……ジャン」
「オレと結婚して下さい」
戸惑うアルミンをじっと見る。目をそらしてしまいたいがぐっとこらえる。彼女の目にみるみるうちに涙が浮かぶが、それがどういう意味なのかわからない。
「アルミン」
「違う、ごめん」
慌てたように涙を拭い、彼女はじっと指輪を見た。やっぱりこういうものはふたりで選びに行くべきだったのだろうか、と少し不安になる。恋人としてのつき合いは確かに長くはないが、幼稚園に通っていた頃から知る仲だ。いずれ結婚はと、口にしなくともふたりともわかっていたはずだ。
「……僕、ジャンに言わなきゃいけないことがあって」
「え」
「……さっき、……」
言葉を口にする前に、ぼろぼろとこぼれる涙がそれを遮る。慌てて手を握ったり背を撫でたりするが、アルミンは顔を覆ってしまった。何か不味いことがあっただろうか。ジャンがつき合った相手はアルミンが初めてだ。手探りの恋でもまじめに取り組んできたつもりだ。
ゆっくり息を吐き、少し落ち着いたアルミンは涙を拭いながら顔を上げた。ジャンを見上げ、唇を震わせる。何か言ったようだが聞き取れず、口元に耳を寄せた。濡れた吐息が触れる。
「……ほんとかっ!?」
どうにか聞こえた言葉に興奮してアルミンの肩を引く。つい声が大きくなったせいでアルミンが怯えた表情を見せ、すぐに手を離して謝った。
「……ほんとなのか」
アルミンは小さく頷いた。感情が言葉にならないのがもどかしく、我慢できずにアルミンを抱きしめる。
「あっ、あの!でも、まだ病院には行ってないから」
「じゃあ一緒に行く」
「ッ……嫌じゃない?」
「なんでだよ。……お前嫌なのか?」
「まさか!」
「返事は?」
手を取って見つめるとアルミンははたと思い出したように指輪を見た。じわりと頬が赤くなる。
「……うん」
「ん?」
「ジャンのお嫁さんに、して下さい」
「……はぁ」
緊張が途切れてアルミンを抱きしめる。戸惑うようにゆっくり抱きしめ返すアルミンがくすぐったい。
「お前の誕生日なのに、オレがもらってばっかになっちまった」
「そんなことない。すごく嬉しい……」
お互いの体温を感じて深く息を吸い込む。思いがけないプレゼントだ。
「……いつ、だろうな……」
「はは……気をつけてたのにね……」
「あっ!結婚式急いだ方がいいか!?」
「も、もう式の話する?」
「だってしんどい時期にはできないだろ」
「無理にしなくても」
「やだ。絶対する。子どもに見せてやらねえと」
「……ジャンに似た、素敵な子になるといいね」
微笑むアルミンにじわじわと実感がこみ上げる。見上げてくる赤い頬を両手で包み、隠れるようにキスを落とした。
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