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言い訳置き場

言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。

2025'01.19.Sun
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2007'07.11.Wed
「みかみせんぱい抱っこ〜!」

「……えっ!?夢!?」

「俺誉めて!」



笠井を三上に押しつけて、中西は勝ち誇ったようにガッツポーズを決めた。抱き止めた笠井は酒くさい。今日は飲んでくると言っていたが、──一体何事だろう。辰巳と並ぶザルがここまで酔っ払ったのを見たことがない。



「お前何したんだよ!?」

「いや〜笠井ほんとに強いから時間かかっちゃった。酔っ払ったとこ見てみたくてさ〜、ちゃんぽんで次々飲ませちゃった」

「悪酔いじゃねえか!」

「でもカワイイでしょ?危ないから泊まってけって言ったのに三上先輩んちがいい〜って」

「え……」

「これで辰巳も酔う可能性はゼロじゃないことがわかったよ」

「笠井を実験台にすんな!」

「送ってあげたんだからおあいこってことで。じゃあね」



中西本人は素面らしい。笠井に手を振り、車のキーを指先で回しながらご機嫌で帰っていく。



どうすんだコレ……張り付いて離れない笠井を持て余す。とにかく中へ入ろうとするのに、本当に体に力が入らないらしい笠井は動かない。



「抱っこ!」

「……お前、自分の体重知ってるか」

「やだ、三上先輩の抱っこがいい!」

「あーっ、クソ!」



笠井を無理やりドアの内側に引っ張り込む。その勢いでそのまま玄関に倒れ込み、笠井は強か後頭部を強打した。一瞬で嫌な汗をかいたが、笠井は小さい子どものように何が起きたのかわからずきょとんとしている。頭までおかしくなってないだろうな、まさに子どもをあやすようなつもりで頭を撫でると笠井はへらっと表情を緩めた。こぶになっているのがやや気になる。



「……よし」



正体をなくした人間の重さは知っているが、玄関に放置するわけにはいかない。考えたあげく一番抱きやすそうな気がして、いわゆるお姫様抱っこで笠井を抱き上げた。きゃー、と喜んでいるらしい笠井の手が首に回る。



「忘れてたら怒るからな…!」

「みかみせんぱい大好き!」

「落としそうだから黙ってろ!」



やりかけのレポートを横目に、どうにか笠井をベッドまで運ぶ。できるだけ気をつけて降ろしてからも、笠井が手を離す気配はない。



「笠井さ〜ん、おい」

「みかみせぇんぱい!」

「なんだよ」

「みかみせんぱいの抱っこが一番すき!」

「……なんか微妙に納得いかねえんだけど。誰との比較だよ」

「みかみせんぱいが大好き。いっちばんすき」

「はいはい、素面で聞きてえよ。離せ、俺はレポートやるから」

「レポートと俺とどっちがすきなんですかあ」

「お前の方が好きだよ、愛してる。だから一旦離せって」

「ほんとに?」

「ほんとに!」



手が緩んだ隙を逃さずに離れ、笠井の頭まで布団をかぶせる。もごもごしながら顔だけ出てきた。



「じゃあ邪魔しないから、」

「から?」

「もうちょっと、いっぷんだけぎゅってして!」

「……なんつーかもう、俺もなあ……」



中西グッジョブ、だなんて言ってやる気はない。それでもこの機会を堪能したって罰は当たらないだろう。前髪を避けて笠井の額にキスをして、また布団をかぶせてしまう。捕まらないうちにパソコンの前に戻った。しばらく名前を呼ばれたが、そのうち大人しくなったのでほっとする。



(人がよすぎる……)





*





「……どこ?」

「起きたか」



ベッドで身を起こした笠井はすぐにまた沈み、頭を抱える。こいつを追い出してレポート出しに行って戻ったらすぐ寝よう。朝まで寝よう。目玉焼きを作るつもりが黄身が壊れ、大至急スクランブルエッグにしながら三上は寝不足の頭で考える。



「薬いるか、二日酔いの」

「二日酔い?」

「……忘れてんのかよ」

「これが二日酔いか……あー」



卵を皿にあけて笠井の様子を見に行く。布団にくるまってぐったりしているので、おいていくべきなのかと考えた。



「お前、予定は?」

「……キャンセル」

「あっそ。俺レポートだけ出しに行くから」

「みかみせんぱい」

「何?」

「お姫様抱っこって、ないよ」

「……やっぱり帰れ、な?」

「こぶできてるし……ひどい……きもい……」

「……お前の本音は聞かなかったことにしてやるから礼ぐらい言えよ」

「あいしてる」

「!」

「とでも言えば満足ですか?」

「かっわいくねえ…!」
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2007'07.09.Mon
体を起こすと汗でじっとりと背中が濡れていた。早起きは3文の得と言うけれど、欲を言うならもうもっと早く起きたかった。時計は5時、窓の外の明るさと布団に絡まって眠る笠井を見比べ、今が朝だと判断して藤代は溜息を吐いた。──どうして誰も、起こしてくれなかったのだろうか。昨日の部活では集中攻撃的に精も根も搾り取られ、帰るなりベッドに沈んだ。それから眠り続けていたらしい。一体何時間寝たのだろう。ああそうか、夕食がエビフライだったのか。寮内でも5本の指に入る人気メニューだ。起こしてやろうなどと言う慈悲深い人間は生き残れない。弱肉強食の世界なのだ。布団に体を預けて失態を嘆く。あんなに楽しみにしていたのに、どうして。夕食を食べていないという事実に気づくと寝起きだが腹が減ってくる。寮に門限はあるが朝は何時まで出てはいけないという決まりは知らないので、藤代は財布を掴んで部屋を出た。



静かな朝ではあるがそれでもすでにスーツ姿の人がまばらに見える。涼しいだけが救いだろう。夏休みだと言うのに大変だ。将来あんな仕事は絶対に嫌だ、と思ってしまう。元々少ない選択肢の中にはない。安いビーチサンダルでペタペタやる気なく歩く自分を革靴がさっと追い抜いた。顔も洗わずに出てきた藤代と違ってもっと早く起きているのだろう。奥さんが大変だ。



(プロの選手って何時まで寝れんのかなー)



笠井が聞いたらあきれそうなことを考えながらコンビニに向かって歩き続けると、夜はちょっとワルいお兄ちゃんたちの溜まり場になる公園に出た。明るくなると彼らもどこかへ消えていく。その彼らと入れ替わるかのように早朝だというのに女の人がいた。それを横目に冷やかして、いつもより遠い気がしたコンビニにたどり着く。店員はやる気がなさそうで挨拶もない。しかし品揃えだけはよかった。サッカー部は下手すると一番活動時間が長かったりするので、部活が終わってからくるとコンビニは既にハイエナに襲われた後だ。こんなにおにぎりが詰まってる棚見たことないかも。ゆっくり時間をかけて厳選し、朝食がこれからあることをすっかり忘れている藤代は食べたことのない種類を3つほど選んでレジに向かった。



あ、公園で食べよう。帰り道で思いついたことが素晴らしいアイデアに思え、上機嫌で道を辿る。近づいていくと賑やかな声、子どもたちの団体と大人が数人、流れるのは耳に慣れたラジオ体操。夏休みだなあと思いながら、ベンチを陣取ってエネルギーを手にする。普段鬼監督によって統制されたラジオ体操を見ている身としてはぐだぐだにしか見えない。眺めながらおにぎりにかぶりつく。中心で体操をしている女の人は慣れていないようで、体操が変わるたびに戸惑っている。何度も間違えているので動きが鈍くなっていた。見ているとイライラしてきて、藤代は残りを口に押し込んで立ち上がる。ベンチに乗り上がってラジオ体操に参加すると彼女はすぐに気づいた。それからは藤代の動きにあわせてなんとかついてくる。



ジュース買うの忘れてた。ヤケになって体操をしたら喉が乾いて初めて思い出す。買いに戻るのも面倒で、座り直して次のおにぎりに取りかかった。小学生ははんこをもらいに群がっている。ジュースぐらいくれればいいのに、ぼやいていると女の人が近づいてくる。近くで見ると案外大人だったので驚いた。ありがとう、とジュースを差し出され、エスパーなのかと思ってしまった。



「助かったわ」

「……おねーさん?」

「あら、もうおばさんよ。あれだけで汗かいちゃった」

「さっきさあ、ここにいたよね。体操始まる前」

「ゴミ拾いしてたの。この公園って夜の間にすごく汚れるから」

「あー、小学生来るのにエロ本落ちてたらまずいしね」

「……まあ、そうね。ね、よかったら明日から来てくれない?」

「無理無理、今日こんな時間に起きたのって夜7時に寝たからだし。こんな早くから起きれない、朝練もあるし」

「あ、そっかあ……」

「……はんこ代わりにジュースくれるなら、これるときだけ来るよ」

「ほんとに?」



あ、笑うとかわいい。あの子どもの群の中に子どもがいるのかと思うと納得がいかない。



(人妻とひと夏の危険な恋──タクと三上先輩の方がよっぽどまともかも)

「名前は?」

「藤代誠二!有名になるから覚えてて!」
2007'03.10.Sat
つい先日同じ格好で犯されていた。そんなことを思い出してしまって、一気に悔しさだとか悲しさだとか、そんな感情が吹き飛んだ。



両手両膝をグランドについて、ゆっくり顔を上げると勝利を逃したチームメイトはみんなそれぞれそれらしい顔をしている。自分と同じように膝をつくもの、頭を抱えるもの、涙を流すもの。探した人は、我らがキャプテンと肩を組んでいた。泣いているのだろう。



「負けちゃったなあ」

「────誠二は泣くようなキャラじゃないかあ」

「期待した?」

「ちょっとね」

「タクこそ泣かないんだね」

「……こないだ、泣かされたからね」



先日の夜、泣き出した俺を慰めるでもなく優しく抱いて、壊れ物のように触れる癖に俺の顔を見なかった。四つんばいになって快感にわけがわからなくなりながら、何が悲しいのかもわからなくなりながら泣いていた。



「──なんかむらむらしてきたなあ」

「……タクって変態だよねえ」

「最後って、気がしない」

「……」



地面に落ちた涙がはじける。獣の俺のそばにしゃがんで、誠二が黙って頭を撫でた。
2007'02.10.Sat
愛しいあなたを見つけた瞬間、ワタシの頭はあなたでいっぱいになってしまうのヨ!



「うっ!」

「……あれ?辰巳?」

「……」



口を押さえた愛しい人は黙って中西を突き放し、背中で拒絶を語る。大丈夫?と寄り添えばまた押し返された。



「とびかかってくるなと何度言えばわかるんだ…」

「とびかかってるんじゃないわよお、愛が溢れちゃっただけ」

「愛情表現なら穏やかにしてくれ」

「照れないの!」

「……」



何度目かの説得を早々に諦め、辰巳は溜息を吐いてさっきの衝撃で落とした本を拾った。本はそのまま開かない。



「どうしたんだ」

「何が?」

「こうしてくるときは何かあるだろ」

「……ん〜」



そうでもない、とは言いにくい。やっぱりこいつ、俺のことわかってるふりだけしてるなあ、それでも好きだって、愚かだ。考えていると心配そうな顔をされてしまった。



おかげでどんどん嘘がうまくなる。俺なりの愛し方だから、許してね。



「   」
2006'11.03.Fri
ぐいと乱暴に引っ張ってキスをした。一瞬で離れたらぽかんと間抜け面。あまりにも悔しいから顔をつかんで上を向かせて、バカみたいに開いた口から舌を差し込んで歯を触る。逃げようともがいたのを押さえつけて首を引っ張るみたいにキスを続けた。



「何……」

「だから、誕生日プレゼントに俺をやるって言ってんの」



無理やり引っ張って自分の土俵にあげてしまう。いつまでもあんたのペースでやってたら、白髪のジジイになってしまう。辰巳の場合ははげそうだけど。



そのままじっと様子を見てたら、何か言いたげにこっちを見返してきたけど口を開かない。俺の独りよがりなのはわかってるけど、拒否はしないってことは多少なりとも俺のことが好きだって思ってもいい?



「拒否権…とか」

「与えると思ってんの?」

「だよな」



引きはがされたかと思うとベッドに押しつけられた。遂に覚悟を決めたのかと思えば揺らいだ視線。



「…なんと言おうと俺は逃がさないからね」

「…逃げてやる気はないよ」



うわあ、なんて顔。くらくらする。引っ張られてるのは俺だ。
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