言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2013'10.06.Sun
ファンブックのif幼稚園ネタを引っ張っておりまするよ。あとアルミン女体化ですよ。
*** Twenty years ago ***
「せんせえぇ」
「ジャン!またテメェか!」
「ちげーよばーか!」
泣きじゃくるアルミンを置いてリヴァイはジャンを追いかけた。スモッグを翻して走る子どもを本気で追いかけると捕まえるのは一瞬で、がしりと脇を掴んで担ぎ上げたときにはジャンはアルミン以上に泣きわめいている。アルミンを引き受けたペトラが苦笑しているが、気にせずジャンの顔を覗きこんだ。
「お前お友達を泣かせるなって何回言えばわかるんだコラ」
「リヴァイは園児に本気で凄むなと何度言えばわかるんだい」
涙と鼻水で顔をドロドロにしたジャンが手の中から奪われる。その向こうにいたのは園長のエルヴィンだ。舌打ちをしたリヴァイにジャンが縮み上がり、エルヴィンにすがりつく。
「アルミン泣かせるなって言っても聞かないそいつが悪い」
「言い方を考えてくれ。ジャン、アルミンに謝ろうか」
「やだ!」
「……えーと」
「おいエルヴィン、ジャン寄越せ、逆さにつるす」
「やめてくれ」
「あの、アルミンが別の意味で泣きそうなのでその辺で」
ペトラの声に振り返れば、アルミンは彼女にしがみついて不安げにリヴァイたちを見上げている。ぼろぼろと涙を零すアルミンと視線が合えば、ぷるぷると首を振った。
「じゃ、じゃんをいじめないでください」
「……お前がいじめられてたんだろうが。ったく」
リヴァイは意識して気持ちだけ表情を緩め、ペトラの腕からアルミンを引き受けて抱き上げる。エルヴィンに抱かれたままのジャンの前に、抱いたアルミンの手を取って突き出した。
「仲直りしろ」
「ジャンも、ほら」
エルヴィンも同様にジャンの手を取り、アルミンに向けた。不安げなアルミンにジャンは仏頂面を向け、されるがままに手を合わせるが握ろうとはしない。
「仲直りだ。ジャン、もうアルミン泣かせるんじゃないよ」
「そいつがわるいんだよ!あしおせーしすぐこけるし!」
「うう、ごめんねぇ」
「あーもう……」
ペトラが苦笑しながら、リヴァイからアルミンを引き受けた。もう間もなくお迎えが来る時間だ。アルミンの迎えはまだもう少し遅いので、教室で待つことになる。
ジャンはふてくされたまま、エルヴィンにと一緒に園庭に向かうのでリヴァイもついていく。ジャンの親はもう迎えに来ていて、エルヴィンが降ろすとすぐに母親の足元に駆けて行った。
「かーちゃん、リヴァイせんせいがおこった!」
「あらやだ、すみません〜、今度は誰を泣かせたの?」
「あいつがかってにないたんだぜ」
「ジャン!」
すかさず母親の拳が飛ぶ。こいつ家でもこうなんだろうな、リヴァイは半ば呆れてジャンを見送った。
「……昔のリヴァイを見ているようだね」
「エルヴィン何か言ったか」
「何でもないよ」
*** Ten years ago ***
「うだうだぐだぐだ言ってんじゃねーよ!しつけえな」
「しつこいのはジャンでしょ!もう、なんで僕がとばっちり受けてるのさ……」
幼稚園のそばを通る男女の声に、園児が興味津々に顔を上げる。5歳でも女は女だ、こんなところで痴話げんかは勘弁してほしい。リヴァイが溜息をついて砂場から立ち上がり、フェンスに近づいていく。通りかかったふたりは中学生ぐらいだろうか。それが見たことのある顔で、リヴァイは思わずふたりに声をかける。
「おい」
「あっ……リヴァイ先生!お久しぶりです」
「やっぱりアルミンか。ということはそっちはジャンだな」
「うわ、リヴァイ先生老けましたね」
「お前らが通ってたの何年前だと思ってんだ」
思った通り、昔この幼稚園に通っていたふたりだ。アルミンは大人しかったが少し泣き虫で、その原因は大体ジャンだった。誰彼かまわず無差別にいじめていたわけではないが、アルミンと仲のいいエレンと仲が悪かったというわけでアルミンはただのとばっちりだ。どうやら10年経っても彼らの関係はあまり変わっていないらしい。
「ジャン、お前まだアルミンいじめてるのか……」
「なんで同情的なんだよ!」
「うわ、リヴァイ先生のそんな顔初めて見た……」
「ほっとけよ!」
「どうしたんだ?人参不足か」
「馬じゃねえよ!」
「はは……エレンとミカサが、遂につき合い始めたんです」
「エレンとミカサ……それは……どうせミカサがゴリ押したんだろう」
「はは、エレンが折れました」
「そうか」
幼稚園に通っている頃からミカサのアプローチは熱烈で、ついからかったこともあったが、エレンが10年あのアプローチに耐えたことも意外だった。もっと早く諦めるかと思っていたが、意外と慎重であるようだ。
「で、そいつが落ち込んでるってわけか」
「その通りです」
「うるせーよ。あーもー、ミカサ……あんな馬鹿のどこがいいんだってんだ……」
「少なくとも10年アルミンをいじめてるやつよりエレンの方がいくらかましだろう」
「いじめてねーし!」
「いじめられてます!もうすっごいいじめてきますから!」
「ふざけんなよムネタイラ」
「それが!」
じゃれ合うふたりにしみじみ息を吐く。絶対に向いていないと思っていたこの仕事も、こうして見送った子どもたちの姿を見ると満更でもない。ジャンはもう少し更生させてやるべきだったような気もするので、今の園児たちはもっと気をつけてやろう、と静かに決意する。
わらわらとリヴァイの足元に近づいてきた女の子たちが、興味津々にフェンスの向こうのふたりを見た。
「せんせぇ、ちわげんか?」
「うわき?」
「りこんするの?」
「……」
5歳でも、女は女だ。リヴァイは深く溜息をついた。
*** Last year ***
庭の掃除をしている最中に、門前に立つ女性を見つけた。園児募集のチラシを見ているようなので、箒を手にしたまま門に近づく。彼女はリヴァイに気づいて顔を上げ、それをみてリヴァイは驚いた。
「リヴァイ先生!」
「お前、アルミンか」
久しぶりに見るアルミンは随分と女らしくなった。近所ではあるが大学にも進学した頃からは園が開いているような時間に通りかかることは滅多になく、久しぶりに姿を見た。
「リヴァイ先生、まだこの幼稚園にいらっしゃったんですね」
「まあな。もうそのうち辞めてやるつもりだ」
「そうなんですか?残念」
「……」
懐かしさに隠れていたが、ふと彼女の腹部に気がついた。リヴァイの視線に気づき、彼女は少し前にせり出した腹を撫でる。
「リヴァイ先生にならお任せできると思ったのになぁ」
「何か月だ」
「5か月です」
「そうか……子どもの成長は早いもんだな、ずっと泣いてたアルミンが母親とは」
「自分でもびっくりです。あ、エレンとミカサも結婚したの、知ってますか?」
「そうなのか」
「そうか、引っ越したからこの辺りあまり通らないのかもしれませんね。ふたりもすごく楽しみにしてくれてて」
幸せそうに笑うアルミンに思わず頬を緩めた。アルミンが驚いた顔をして、リヴァイ先生が笑った顔初めて見ました、などと言う。そんなわけがあるか、と返そうとすると、誰かが近づいてきてそちらに視線を遣った。やはりどこかで見たことのあるその顔は、アルミンに笑いかけたかと思えばリヴァイに気づいて顔を強張らせる。
「お前、ジャンか」
「リヴァイ先生……老けましたね……」
「第一声がそれか」
「帰ろうアルミン」
「挨拶しなよ」
「……どうも」
「お前まだアルミンいじめてるのか」
「いじめてませんよ!」
「ふふ、いじめられてません。優しい旦那様です」
アルミンが顔を綻ばせて笑う。その笑顔に少し気が抜けたが、引っ掛かるものがあって聞き返した。
「何だって?」
「旦那様です」
アルミンが笑う隣で、リヴァイの視線から逃げるようにジャンが顔をそらした。
「何だって?」
「素敵な旦那様です」
「……すまん、オレがきちんと男の選別も教えておけば……」
「あんたの中でオレはどんな奴なんですかッ!もう帰るぞ、体冷えるだろ」
ジャンがアルミンの手を取った。それに微笑みかけるアルミンに、わからんものだな、と思わず溜息をつく。
「あれほど泣かされてたのにな」
「最近ジャンに泣かされたのは、プロポーズの時ぐらいです」
「ほう」
「もう行くぞ!」
見ればジャンの方は顔を真っ赤にしている。どうやら嘘ではないらしい。
「……しょうがない、あと5年ぐらいは園にいてやる」
「ほんとですか?」
「ああ。ジャンみたいなクソガキだったらしばき倒してやる」
「お願いします」
終始笑顔だったアルミンを見送り、リヴァイは掃除の最中だったことを思い出した。振り返るとジャンはずっとアルミンを気遣って歩いている。
「馬鹿も年を重ねれば大人になるということか」
深く溜息をつき、リヴァイは箒を握りなおした。
*** Twenty years ago ***
「せんせえぇ」
「ジャン!またテメェか!」
「ちげーよばーか!」
泣きじゃくるアルミンを置いてリヴァイはジャンを追いかけた。スモッグを翻して走る子どもを本気で追いかけると捕まえるのは一瞬で、がしりと脇を掴んで担ぎ上げたときにはジャンはアルミン以上に泣きわめいている。アルミンを引き受けたペトラが苦笑しているが、気にせずジャンの顔を覗きこんだ。
「お前お友達を泣かせるなって何回言えばわかるんだコラ」
「リヴァイは園児に本気で凄むなと何度言えばわかるんだい」
涙と鼻水で顔をドロドロにしたジャンが手の中から奪われる。その向こうにいたのは園長のエルヴィンだ。舌打ちをしたリヴァイにジャンが縮み上がり、エルヴィンにすがりつく。
「アルミン泣かせるなって言っても聞かないそいつが悪い」
「言い方を考えてくれ。ジャン、アルミンに謝ろうか」
「やだ!」
「……えーと」
「おいエルヴィン、ジャン寄越せ、逆さにつるす」
「やめてくれ」
「あの、アルミンが別の意味で泣きそうなのでその辺で」
ペトラの声に振り返れば、アルミンは彼女にしがみついて不安げにリヴァイたちを見上げている。ぼろぼろと涙を零すアルミンと視線が合えば、ぷるぷると首を振った。
「じゃ、じゃんをいじめないでください」
「……お前がいじめられてたんだろうが。ったく」
リヴァイは意識して気持ちだけ表情を緩め、ペトラの腕からアルミンを引き受けて抱き上げる。エルヴィンに抱かれたままのジャンの前に、抱いたアルミンの手を取って突き出した。
「仲直りしろ」
「ジャンも、ほら」
エルヴィンも同様にジャンの手を取り、アルミンに向けた。不安げなアルミンにジャンは仏頂面を向け、されるがままに手を合わせるが握ろうとはしない。
「仲直りだ。ジャン、もうアルミン泣かせるんじゃないよ」
「そいつがわるいんだよ!あしおせーしすぐこけるし!」
「うう、ごめんねぇ」
「あーもう……」
ペトラが苦笑しながら、リヴァイからアルミンを引き受けた。もう間もなくお迎えが来る時間だ。アルミンの迎えはまだもう少し遅いので、教室で待つことになる。
ジャンはふてくされたまま、エルヴィンにと一緒に園庭に向かうのでリヴァイもついていく。ジャンの親はもう迎えに来ていて、エルヴィンが降ろすとすぐに母親の足元に駆けて行った。
「かーちゃん、リヴァイせんせいがおこった!」
「あらやだ、すみません〜、今度は誰を泣かせたの?」
「あいつがかってにないたんだぜ」
「ジャン!」
すかさず母親の拳が飛ぶ。こいつ家でもこうなんだろうな、リヴァイは半ば呆れてジャンを見送った。
「……昔のリヴァイを見ているようだね」
「エルヴィン何か言ったか」
「何でもないよ」
*** Ten years ago ***
「うだうだぐだぐだ言ってんじゃねーよ!しつけえな」
「しつこいのはジャンでしょ!もう、なんで僕がとばっちり受けてるのさ……」
幼稚園のそばを通る男女の声に、園児が興味津々に顔を上げる。5歳でも女は女だ、こんなところで痴話げんかは勘弁してほしい。リヴァイが溜息をついて砂場から立ち上がり、フェンスに近づいていく。通りかかったふたりは中学生ぐらいだろうか。それが見たことのある顔で、リヴァイは思わずふたりに声をかける。
「おい」
「あっ……リヴァイ先生!お久しぶりです」
「やっぱりアルミンか。ということはそっちはジャンだな」
「うわ、リヴァイ先生老けましたね」
「お前らが通ってたの何年前だと思ってんだ」
思った通り、昔この幼稚園に通っていたふたりだ。アルミンは大人しかったが少し泣き虫で、その原因は大体ジャンだった。誰彼かまわず無差別にいじめていたわけではないが、アルミンと仲のいいエレンと仲が悪かったというわけでアルミンはただのとばっちりだ。どうやら10年経っても彼らの関係はあまり変わっていないらしい。
「ジャン、お前まだアルミンいじめてるのか……」
「なんで同情的なんだよ!」
「うわ、リヴァイ先生のそんな顔初めて見た……」
「ほっとけよ!」
「どうしたんだ?人参不足か」
「馬じゃねえよ!」
「はは……エレンとミカサが、遂につき合い始めたんです」
「エレンとミカサ……それは……どうせミカサがゴリ押したんだろう」
「はは、エレンが折れました」
「そうか」
幼稚園に通っている頃からミカサのアプローチは熱烈で、ついからかったこともあったが、エレンが10年あのアプローチに耐えたことも意外だった。もっと早く諦めるかと思っていたが、意外と慎重であるようだ。
「で、そいつが落ち込んでるってわけか」
「その通りです」
「うるせーよ。あーもー、ミカサ……あんな馬鹿のどこがいいんだってんだ……」
「少なくとも10年アルミンをいじめてるやつよりエレンの方がいくらかましだろう」
「いじめてねーし!」
「いじめられてます!もうすっごいいじめてきますから!」
「ふざけんなよムネタイラ」
「それが!」
じゃれ合うふたりにしみじみ息を吐く。絶対に向いていないと思っていたこの仕事も、こうして見送った子どもたちの姿を見ると満更でもない。ジャンはもう少し更生させてやるべきだったような気もするので、今の園児たちはもっと気をつけてやろう、と静かに決意する。
わらわらとリヴァイの足元に近づいてきた女の子たちが、興味津々にフェンスの向こうのふたりを見た。
「せんせぇ、ちわげんか?」
「うわき?」
「りこんするの?」
「……」
5歳でも、女は女だ。リヴァイは深く溜息をついた。
*** Last year ***
庭の掃除をしている最中に、門前に立つ女性を見つけた。園児募集のチラシを見ているようなので、箒を手にしたまま門に近づく。彼女はリヴァイに気づいて顔を上げ、それをみてリヴァイは驚いた。
「リヴァイ先生!」
「お前、アルミンか」
久しぶりに見るアルミンは随分と女らしくなった。近所ではあるが大学にも進学した頃からは園が開いているような時間に通りかかることは滅多になく、久しぶりに姿を見た。
「リヴァイ先生、まだこの幼稚園にいらっしゃったんですね」
「まあな。もうそのうち辞めてやるつもりだ」
「そうなんですか?残念」
「……」
懐かしさに隠れていたが、ふと彼女の腹部に気がついた。リヴァイの視線に気づき、彼女は少し前にせり出した腹を撫でる。
「リヴァイ先生にならお任せできると思ったのになぁ」
「何か月だ」
「5か月です」
「そうか……子どもの成長は早いもんだな、ずっと泣いてたアルミンが母親とは」
「自分でもびっくりです。あ、エレンとミカサも結婚したの、知ってますか?」
「そうなのか」
「そうか、引っ越したからこの辺りあまり通らないのかもしれませんね。ふたりもすごく楽しみにしてくれてて」
幸せそうに笑うアルミンに思わず頬を緩めた。アルミンが驚いた顔をして、リヴァイ先生が笑った顔初めて見ました、などと言う。そんなわけがあるか、と返そうとすると、誰かが近づいてきてそちらに視線を遣った。やはりどこかで見たことのあるその顔は、アルミンに笑いかけたかと思えばリヴァイに気づいて顔を強張らせる。
「お前、ジャンか」
「リヴァイ先生……老けましたね……」
「第一声がそれか」
「帰ろうアルミン」
「挨拶しなよ」
「……どうも」
「お前まだアルミンいじめてるのか」
「いじめてませんよ!」
「ふふ、いじめられてません。優しい旦那様です」
アルミンが顔を綻ばせて笑う。その笑顔に少し気が抜けたが、引っ掛かるものがあって聞き返した。
「何だって?」
「旦那様です」
アルミンが笑う隣で、リヴァイの視線から逃げるようにジャンが顔をそらした。
「何だって?」
「素敵な旦那様です」
「……すまん、オレがきちんと男の選別も教えておけば……」
「あんたの中でオレはどんな奴なんですかッ!もう帰るぞ、体冷えるだろ」
ジャンがアルミンの手を取った。それに微笑みかけるアルミンに、わからんものだな、と思わず溜息をつく。
「あれほど泣かされてたのにな」
「最近ジャンに泣かされたのは、プロポーズの時ぐらいです」
「ほう」
「もう行くぞ!」
見ればジャンの方は顔を真っ赤にしている。どうやら嘘ではないらしい。
「……しょうがない、あと5年ぐらいは園にいてやる」
「ほんとですか?」
「ああ。ジャンみたいなクソガキだったらしばき倒してやる」
「お願いします」
終始笑顔だったアルミンを見送り、リヴァイは掃除の最中だったことを思い出した。振り返るとジャンはずっとアルミンを気遣って歩いている。
「馬鹿も年を重ねれば大人になるということか」
深く溜息をつき、リヴァイは箒を握りなおした。
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