言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2013'09.21.Sat
「あれ、メアリー、くっくどこやったの?」
「あー」
「君はお靴嫌いだねえ」
散歩から帰ってきた娘を抱き上げて、その小さな足の裏を払う。この間掴まり立ちをしたと思えばあっという間に歩き始めた。運動神経がいいのは父親譲りだろうかと微笑ましく思ったのも束の間、どうも窮屈なのか、よく自分で靴を脱いでしまう。メアリーの後ろからついてきたジャンが、娘の靴を手にしていた。ジャンの手におさまってしまうほどのそれは、まるでままごとのおもちゃのようだ。きっとすぐに大きくなってはけなくなってしまうのだろうが、それも愛おしい。
「器用だなぁお前、こんなちっちゃい手で」
「メアリー、くっく嫌?かわいいのにー」
「ぶー」
「嫌のー。でもお靴ははいててほしいなぁ。掃除はしてるけど」
額を合わせるとはしゃいで笑う。汗をかいた幼い子と笑っていると、ジャンが娘を取り上げた。
「昼寝させてくる。遊び回ったからよく寝るだろ」
「ありがとう」
娘の手にキスを落として見送って、アルミンは家事に戻った。洗濯物を取り込んだから畳まなければ。小さな服を畳むたびに幸せをかみしめる。生まれたばかりに着ていた産着はもっと小さかった。すぐに着られなくなってしまったが、そんな当たり前のことも新鮮で、毎日が楽しくて仕方ない。
畳み終えた洗濯物を片づけていき、最後に寝室に向かう。そっとドアを開けると、ベッドで眠る愛しい姿があった。横になったジャンの腕を枕に、幼い娘はぐっすり眠っている。見ればジャンも一緒に寝てしまったようで、静かに寝息をたてていた。ジャンの腹にもタオルケットをかけてやり、屈んで見下ろすとどうにも頬が緩んでしまう。
「僕の特等席だったんだけどなぁ。何年後かでいいから、いつか返してね」
娘の頬にキスを落とした。そのアルミンの頭を大きな手が撫で、ゆっくり顔を上げると寝ぼけ眼のジャンがこちらを見ていた。
「反対側なら空いてっけど」
「……だめ。ご飯作らなきゃ」
身を乗り出してジャンの額にキスを落とす。小さく唸るジャンを笑い、頬を撫でて体を起こした。名残惜しいが、メアリーが寝ている間にしたいこともある。ジャンの額を撫でると目を閉じたので、アルミンはそのまま寝室を出た。
ジャンはときどき、口にはしないが嫉妬を見せる。アルミンが娘にかまいきりなのも、娘が母親の方が好きなのも、どちらもわかるがやや不満らしい。子どもがほしいと言っていたのはジャンなのに、と思うと笑いがこみ上げてくるが、もう少しふたりきりの生活を楽しみたかったな、と思うことはある。どれも全部、贅沢な悩みだ。
ジャンにはああ言ったが、今日はジャンが家にいてくれたおかげで思ったより早く片づいた。少し余裕ができ、アルミンはソファーに座って読みかけの本を開く。夕食の支度を始める時間までには読み終えるだろう。静かな午後は穏やかで、開け放した窓でカーテンがふわりと広がる。アルミンはゆっくりページをめくった。
*
頬を優しく撫でられて、ふっと意識が浮上する。しかし体はまだ起きてくれないのか、目も開けられずにいると体にブランケットがかけられたのがわかった。
「あう」
「しー。メアリー、あっちで遊ぼう」
「あ」
「ママは寝んねしてるから静かにな」
「あー」
小さな手がアルミンの頬を叩き、ジャンが慌てた気配に思わず吹き出してしまった。目を開けるとメアリーがいて、その後ろでジャンが申し訳なさそうにしている。
「メアリー起きたの」
「悪い、起こしたな」
「ううん、元々寝るつもりなかったから」
体を起こしてメアリーを撫でる。膝に上がってくる娘に手を貸して抱き上げた。
「今日はかぼちゃだよーメアリー。この間はよく食べてくれたけど今日はどうかな」
ジャンが隣に座り、じっとこちらを見る。何かと聞けば黙って首を振った。
メアリーの言葉にならない声をそのまま繰り返す。意味はない遊びだが、娘は楽しげに繰り返した。
「大きくなったら、いっぱい遊びに行こうね」
「うー」
それがまるで返事をしたようで、ジャンと視線を合わせて笑いあった。
「あー」
「君はお靴嫌いだねえ」
散歩から帰ってきた娘を抱き上げて、その小さな足の裏を払う。この間掴まり立ちをしたと思えばあっという間に歩き始めた。運動神経がいいのは父親譲りだろうかと微笑ましく思ったのも束の間、どうも窮屈なのか、よく自分で靴を脱いでしまう。メアリーの後ろからついてきたジャンが、娘の靴を手にしていた。ジャンの手におさまってしまうほどのそれは、まるでままごとのおもちゃのようだ。きっとすぐに大きくなってはけなくなってしまうのだろうが、それも愛おしい。
「器用だなぁお前、こんなちっちゃい手で」
「メアリー、くっく嫌?かわいいのにー」
「ぶー」
「嫌のー。でもお靴ははいててほしいなぁ。掃除はしてるけど」
額を合わせるとはしゃいで笑う。汗をかいた幼い子と笑っていると、ジャンが娘を取り上げた。
「昼寝させてくる。遊び回ったからよく寝るだろ」
「ありがとう」
娘の手にキスを落として見送って、アルミンは家事に戻った。洗濯物を取り込んだから畳まなければ。小さな服を畳むたびに幸せをかみしめる。生まれたばかりに着ていた産着はもっと小さかった。すぐに着られなくなってしまったが、そんな当たり前のことも新鮮で、毎日が楽しくて仕方ない。
畳み終えた洗濯物を片づけていき、最後に寝室に向かう。そっとドアを開けると、ベッドで眠る愛しい姿があった。横になったジャンの腕を枕に、幼い娘はぐっすり眠っている。見ればジャンも一緒に寝てしまったようで、静かに寝息をたてていた。ジャンの腹にもタオルケットをかけてやり、屈んで見下ろすとどうにも頬が緩んでしまう。
「僕の特等席だったんだけどなぁ。何年後かでいいから、いつか返してね」
娘の頬にキスを落とした。そのアルミンの頭を大きな手が撫で、ゆっくり顔を上げると寝ぼけ眼のジャンがこちらを見ていた。
「反対側なら空いてっけど」
「……だめ。ご飯作らなきゃ」
身を乗り出してジャンの額にキスを落とす。小さく唸るジャンを笑い、頬を撫でて体を起こした。名残惜しいが、メアリーが寝ている間にしたいこともある。ジャンの額を撫でると目を閉じたので、アルミンはそのまま寝室を出た。
ジャンはときどき、口にはしないが嫉妬を見せる。アルミンが娘にかまいきりなのも、娘が母親の方が好きなのも、どちらもわかるがやや不満らしい。子どもがほしいと言っていたのはジャンなのに、と思うと笑いがこみ上げてくるが、もう少しふたりきりの生活を楽しみたかったな、と思うことはある。どれも全部、贅沢な悩みだ。
ジャンにはああ言ったが、今日はジャンが家にいてくれたおかげで思ったより早く片づいた。少し余裕ができ、アルミンはソファーに座って読みかけの本を開く。夕食の支度を始める時間までには読み終えるだろう。静かな午後は穏やかで、開け放した窓でカーテンがふわりと広がる。アルミンはゆっくりページをめくった。
*
頬を優しく撫でられて、ふっと意識が浮上する。しかし体はまだ起きてくれないのか、目も開けられずにいると体にブランケットがかけられたのがわかった。
「あう」
「しー。メアリー、あっちで遊ぼう」
「あ」
「ママは寝んねしてるから静かにな」
「あー」
小さな手がアルミンの頬を叩き、ジャンが慌てた気配に思わず吹き出してしまった。目を開けるとメアリーがいて、その後ろでジャンが申し訳なさそうにしている。
「メアリー起きたの」
「悪い、起こしたな」
「ううん、元々寝るつもりなかったから」
体を起こしてメアリーを撫でる。膝に上がってくる娘に手を貸して抱き上げた。
「今日はかぼちゃだよーメアリー。この間はよく食べてくれたけど今日はどうかな」
ジャンが隣に座り、じっとこちらを見る。何かと聞けば黙って首を振った。
メアリーの言葉にならない声をそのまま繰り返す。意味はない遊びだが、娘は楽しげに繰り返した。
「大きくなったら、いっぱい遊びに行こうね」
「うー」
それがまるで返事をしたようで、ジャンと視線を合わせて笑いあった。
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