言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2013'12.04.Wed
「俺実は宇宙人なんじゃ」
「へえ」
仁王の言葉に丸井は顔も上げなかった。ベッドにうつぶせで携帯を睨んだまま、ゲームに集中しているふりをする。なんじゃつまらん、と言葉では言うが、特に気にした様子もなく仁王はまた手元に意識を戻した。仁王はさっきから、ひとりで懐かしいゲームをしている。小さなピースを互い違いに積み上げて、それを抜いて行って更に重ねていく、ジェンガと言うパーティゲームだ。それはひとりでするものではないが、誘われた丸井が断ると仁王はあっさりと引き下がり、さっきから機嫌よくひとりで遊んでいる。尤も、――
がらがらがら。
机の上でピースの搭が倒れ、プラスチックの音が響く、仁王はけらけらと笑い声をあげた。
――この、酔っぱらいが。
丸井の舌打ちにも気づかずに、仁王はまたそれを元のように積み上げ始めた。
もうすぐ日付が変わる。夜には来るよ、と言っていた仁王は約束通りに夜までに一人暮らしの丸井の部屋にやってきたが、来た時にはもう完全に出来上がっていた。大学の友人たちと飲み会だと聞いてはいたが、こんなに酔っぱらった仁王は見たことがない。
「うーん、ブンちゃん、詰んで」
「はぁ?」
「落ちていく」
「どんだけ酔ってんだよ!」
けらけら笑う仁王に頭を抱えたくなる。ピースを摘まむ指先にも力が入らないのか、いくつか積んでも狙いを外すのか、まっすぐ詰めずにバランスが崩れていくらしい。
しばらく無視していたが、なぁなぁと甘える仕草で袖を引かれ、鬱陶しくなって携帯を手放し隣に座る。仁王はいつになく上機嫌だ。顔色は何も変わっていない分たちが悪い。
わざとらしく深く溜息をついて仁王の手からジェンガを奪って積んでいく。仁王は何か鼻歌まで歌っていているようで、彼の上機嫌に合わせて自分の機嫌が悪くなっていくのがわかった。
いつだって、仁王が丸井を第一にしてくれるわけではない。それは自分も同じことだし、いざそうべったりされると鬱陶しく思うのだろう。だからこれはただの自分のわがままだ。それでも不満が隠せない。
明日は仁王の誕生日で、丸井が仁王を部屋に呼んだ理由だってわからないはずがない。
「ほらよ!」
いくつかピースは足りなさそうだが、目につく分は全部積み上げてやる。仁王はへらへら笑い、笑いながら丸井の腰を抱いて抱きついてきた。大きな犬にでものしかかられているような気分だ。ただしこの犬は酒臭い。
「重いんだけど!」
「ブンちゃん優しいから好き〜」
「あーそう!知ってるよ!」
声を荒げると仁王はくつくつ肩を揺らした。その振動が伝わってくる。その楽しげな様子に、拗ねている自分が馬鹿らしくなってきた。もう二十歳も越えれば誕生日ぐらいで浮かれるようなこともない。自分の誕生日でもないのに、自分が浮かれていただけだ。
「ブンちゃん」
「何……何?」
重さから逃げるように体を傾ければ、ずるずるとそのまま床に倒される。そのまま伸し掛かられて、首筋に唇が触れた。
「おい、」
「時計見て」
「は?」
「言うことあるじゃろ?」
丸井の目の前に、仁王が自分の携帯をかざした。並ぶ数字が四つ揃って、日付が変わったことを知らせている。しかし丸井はそれよりも、声色を変えたこの男が気に食わない。そうしている間に仁王の携帯は震え、着信ランプが光る。
「今なら一番乗りなんじゃけど?」
「……ぜってー言わねー」
「聞かせてよ」
ちゅ、ちゅ、と繰り返される触れるだけの唇は首から顎、そのまま丸井の唇に重なる。離れたと思えば仰向けに倒されて、仁王が室内灯を背負ってまっすぐ丸井を覗き込んだ。
「言ってくれないならちゅーしていい?」
「今勝手にしたじゃねえか」
「じゃあちゅーして」
「……お前ほんっと嫌い」
溜息をついてみせ、ついと軽くキスをした。やや不満げに唇を尖らせてくる仁王に笑いが込み上げ、もうしばらく拗ねたふりをしておきたかったのについ頬を緩めてしまった。
「もうほんっと、めんどくせー彼氏だな」
首に手を伸ばして引き寄せて、改めてキスをやり直す。温かい手がするりと後頭部を撫で、酒を飲んでいるのは本当であるらしい。
「……誕生日おめでとう」
「ありがと」
「で、何で脱がす?」
「え?プレゼントじゃろ?」
「宇宙人に抱かれる趣味はねーんだけど」
「大丈夫、今のキスで人間になったから」
「もう好きにしろよ」
くつくつ笑ってしまうと仁王も笑い、丸井の服に改めて手をかけた。
「終わったらケーキな」
「……頑張って今から消費するわ」
「へえ」
仁王の言葉に丸井は顔も上げなかった。ベッドにうつぶせで携帯を睨んだまま、ゲームに集中しているふりをする。なんじゃつまらん、と言葉では言うが、特に気にした様子もなく仁王はまた手元に意識を戻した。仁王はさっきから、ひとりで懐かしいゲームをしている。小さなピースを互い違いに積み上げて、それを抜いて行って更に重ねていく、ジェンガと言うパーティゲームだ。それはひとりでするものではないが、誘われた丸井が断ると仁王はあっさりと引き下がり、さっきから機嫌よくひとりで遊んでいる。尤も、――
がらがらがら。
机の上でピースの搭が倒れ、プラスチックの音が響く、仁王はけらけらと笑い声をあげた。
――この、酔っぱらいが。
丸井の舌打ちにも気づかずに、仁王はまたそれを元のように積み上げ始めた。
もうすぐ日付が変わる。夜には来るよ、と言っていた仁王は約束通りに夜までに一人暮らしの丸井の部屋にやってきたが、来た時にはもう完全に出来上がっていた。大学の友人たちと飲み会だと聞いてはいたが、こんなに酔っぱらった仁王は見たことがない。
「うーん、ブンちゃん、詰んで」
「はぁ?」
「落ちていく」
「どんだけ酔ってんだよ!」
けらけら笑う仁王に頭を抱えたくなる。ピースを摘まむ指先にも力が入らないのか、いくつか積んでも狙いを外すのか、まっすぐ詰めずにバランスが崩れていくらしい。
しばらく無視していたが、なぁなぁと甘える仕草で袖を引かれ、鬱陶しくなって携帯を手放し隣に座る。仁王はいつになく上機嫌だ。顔色は何も変わっていない分たちが悪い。
わざとらしく深く溜息をついて仁王の手からジェンガを奪って積んでいく。仁王は何か鼻歌まで歌っていているようで、彼の上機嫌に合わせて自分の機嫌が悪くなっていくのがわかった。
いつだって、仁王が丸井を第一にしてくれるわけではない。それは自分も同じことだし、いざそうべったりされると鬱陶しく思うのだろう。だからこれはただの自分のわがままだ。それでも不満が隠せない。
明日は仁王の誕生日で、丸井が仁王を部屋に呼んだ理由だってわからないはずがない。
「ほらよ!」
いくつかピースは足りなさそうだが、目につく分は全部積み上げてやる。仁王はへらへら笑い、笑いながら丸井の腰を抱いて抱きついてきた。大きな犬にでものしかかられているような気分だ。ただしこの犬は酒臭い。
「重いんだけど!」
「ブンちゃん優しいから好き〜」
「あーそう!知ってるよ!」
声を荒げると仁王はくつくつ肩を揺らした。その振動が伝わってくる。その楽しげな様子に、拗ねている自分が馬鹿らしくなってきた。もう二十歳も越えれば誕生日ぐらいで浮かれるようなこともない。自分の誕生日でもないのに、自分が浮かれていただけだ。
「ブンちゃん」
「何……何?」
重さから逃げるように体を傾ければ、ずるずるとそのまま床に倒される。そのまま伸し掛かられて、首筋に唇が触れた。
「おい、」
「時計見て」
「は?」
「言うことあるじゃろ?」
丸井の目の前に、仁王が自分の携帯をかざした。並ぶ数字が四つ揃って、日付が変わったことを知らせている。しかし丸井はそれよりも、声色を変えたこの男が気に食わない。そうしている間に仁王の携帯は震え、着信ランプが光る。
「今なら一番乗りなんじゃけど?」
「……ぜってー言わねー」
「聞かせてよ」
ちゅ、ちゅ、と繰り返される触れるだけの唇は首から顎、そのまま丸井の唇に重なる。離れたと思えば仰向けに倒されて、仁王が室内灯を背負ってまっすぐ丸井を覗き込んだ。
「言ってくれないならちゅーしていい?」
「今勝手にしたじゃねえか」
「じゃあちゅーして」
「……お前ほんっと嫌い」
溜息をついてみせ、ついと軽くキスをした。やや不満げに唇を尖らせてくる仁王に笑いが込み上げ、もうしばらく拗ねたふりをしておきたかったのについ頬を緩めてしまった。
「もうほんっと、めんどくせー彼氏だな」
首に手を伸ばして引き寄せて、改めてキスをやり直す。温かい手がするりと後頭部を撫で、酒を飲んでいるのは本当であるらしい。
「……誕生日おめでとう」
「ありがと」
「で、何で脱がす?」
「え?プレゼントじゃろ?」
「宇宙人に抱かれる趣味はねーんだけど」
「大丈夫、今のキスで人間になったから」
「もう好きにしろよ」
くつくつ笑ってしまうと仁王も笑い、丸井の服に改めて手をかけた。
「終わったらケーキな」
「……頑張って今から消費するわ」
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