言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2013'01.05.Sat
「俺たちってどういう風に見えてるんでしょうね」
久々知のストレートな物言いに言葉を失った。タカ丸の様子を知ってか知らずか、久々知は何事もなかったかのように、慎重に選んだ豆腐を買い物かごに入れた。感情の起伏もなくこだわりもない彼が唯一執着するのが豆腐だ。今夜は麻婆豆腐にするのだ、とそれにふさわしいものを選んだ彼は、カートを押して次の食材を探しに行く。
スーパーで買い物をするカップル、には見えないだろう。ふたりとも立派な成人男子で、女らしい柔らかさやかわいらしさは微塵もない。久々知は寝間着のままのよれよれのスウェット姿、タカ丸は金髪にスーツといったホスト同然の格好だ。繁華街の美容院の店員など、世間から見ればホストとそう変わらないのかもしれない。今日も贔屓にしてくれているキャバクラの開店2周年のパーティーに呼ばれていて、朝帰りならぬ昼帰りでさっきようやく久々知の顔を見たばかりだ。
「タカ丸さん?」
「……兄弟、とか?」
「は?」
「え?」
「ああ、考えてたんですか?どう見えてようがどうでもいいですよ」
「えぇ〜」
真剣に考える程度には衝撃的な言葉だったのだが、久々知の方はそうではなかったらしい。彼と会話がかみ合わないのは今に始まったことではないが、こうして肩すかしを食らうことになかなか慣れない。
「酒飲みますか?……って、もういいですよね」
「はは、もう浴びるように飲んだよ」
「さっさと帰って風呂ですね。先に帰ってていいのに」
「いいの、一緒がよかったの!」
「疲れてないならいいですけど」
「お酒より味噌汁が飲みたいかな〜」
「いいですよ」
「あ」
しまった、と思ってももう遅い。久々知は味噌汁用の豆腐を選びにコーナーへ戻っていった。
*
「ただいま〜」
「お帰りなさい」
先に入ったタカ丸の後ろから久々知が応えた。体を返して久々知に笑いかける。
「兵助くんおかえり!」
「ただいま」
靴を脱いだ久々知が不意に顔を寄せてくる。ぎょっとして硬直したタカ丸の首筋に鼻先を当てて少し笑った。
「お風呂いってらっしゃい。味噌汁作っておきますから」
「……超どきどきした……」
心臓に悪い。彼の周囲の人間は、久々知は空気が読めないだとか間が悪いだとか言うが、タカ丸はしばらくつき合ってきてよくわかった。彼はそうと悟らせず、かなり狙って行動する。今すぐ抱きしめたい衝動を押さえ、香水の匂いを落とすべくタカ丸は浴室に走った。
久々知のストレートな物言いに言葉を失った。タカ丸の様子を知ってか知らずか、久々知は何事もなかったかのように、慎重に選んだ豆腐を買い物かごに入れた。感情の起伏もなくこだわりもない彼が唯一執着するのが豆腐だ。今夜は麻婆豆腐にするのだ、とそれにふさわしいものを選んだ彼は、カートを押して次の食材を探しに行く。
スーパーで買い物をするカップル、には見えないだろう。ふたりとも立派な成人男子で、女らしい柔らかさやかわいらしさは微塵もない。久々知は寝間着のままのよれよれのスウェット姿、タカ丸は金髪にスーツといったホスト同然の格好だ。繁華街の美容院の店員など、世間から見ればホストとそう変わらないのかもしれない。今日も贔屓にしてくれているキャバクラの開店2周年のパーティーに呼ばれていて、朝帰りならぬ昼帰りでさっきようやく久々知の顔を見たばかりだ。
「タカ丸さん?」
「……兄弟、とか?」
「は?」
「え?」
「ああ、考えてたんですか?どう見えてようがどうでもいいですよ」
「えぇ〜」
真剣に考える程度には衝撃的な言葉だったのだが、久々知の方はそうではなかったらしい。彼と会話がかみ合わないのは今に始まったことではないが、こうして肩すかしを食らうことになかなか慣れない。
「酒飲みますか?……って、もういいですよね」
「はは、もう浴びるように飲んだよ」
「さっさと帰って風呂ですね。先に帰ってていいのに」
「いいの、一緒がよかったの!」
「疲れてないならいいですけど」
「お酒より味噌汁が飲みたいかな〜」
「いいですよ」
「あ」
しまった、と思ってももう遅い。久々知は味噌汁用の豆腐を選びにコーナーへ戻っていった。
*
「ただいま〜」
「お帰りなさい」
先に入ったタカ丸の後ろから久々知が応えた。体を返して久々知に笑いかける。
「兵助くんおかえり!」
「ただいま」
靴を脱いだ久々知が不意に顔を寄せてくる。ぎょっとして硬直したタカ丸の首筋に鼻先を当てて少し笑った。
「お風呂いってらっしゃい。味噌汁作っておきますから」
「……超どきどきした……」
心臓に悪い。彼の周囲の人間は、久々知は空気が読めないだとか間が悪いだとか言うが、タカ丸はしばらくつき合ってきてよくわかった。彼はそうと悟らせず、かなり狙って行動する。今すぐ抱きしめたい衝動を押さえ、香水の匂いを落とすべくタカ丸は浴室に走った。
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