言い訳置き場
言い訳を書いていきます。誤字の報告などあればありがたいです。 ※唐突にみゅネタややぎゅにおの外の人のかけ算が混ざるのでご注意下さい。 日常はリンクのブログから。
2012'08.09.Thu
「暑いですねえ……」
「暑いなぁ……」
ぐでんと四肢を投げ出し、流れる汗もそのままに、時友と次屋はさっきからこうして縁側に転がっていた。太陽はてっぺんからこれでもかとばかりに夏の日差しでふたりを照りつけ、じりじりと肌の焼けるような想像をしながらも、ふたりはもう影へ移動するだけの体力も残ってはいなかった。七松体育委員長率いるいけどんマラソンは、季節などものともしないのだ。
ふたりの一歩手前、どうにかぎりぎり動く力の残っていた滝夜叉丸は、最後の力を振り絞って金吾を長屋まで送り届けている。さすがにいつものぐだぐだとした口上を口にする気力はないのか、無言のままであったが、金吾はそんなことに気づく余裕もなかっただろう。
額に浮いた汗がつうと流れ、耳に入って鬱陶しい。次屋がゆるりと顔を倒すと、こちらはうつ伏せになった時友が腕を枕のようにして顔を伏せている。自分の息がこもって暑そうだが、気にならないのだろうか。自分よりも一回り小さな体はまだ肩で息をしている。どこか変な気がしてそのまま時友を見ていたが、しばらくのちようやく気がついて次屋はのたりと体を起こした。這うようにしながら時友に近づき、うつ伏せの体を転がす。
「なんですかぁ」
「お前、脱げよ」
「もうそんな元気もありません〜」
「ほんと、七松体育委員長はどうしてあんなに元気なんだか」
溜息をつきながら、すでにかなり乱れてはいるが着たままの時友の忍び装束を引き剥がす。次屋はそんなもの、走っている途中から脱いでしまっていた。
ほそっこい柔らかい腕を掴んで袖から引き抜き、脱がしてやると時友は涼しい、と言って笑う。少し風が出てきた。汗の浮いた肌を撫でて冷やすほどではないが、あるとなしでは大違いだ。
じっとしていると蝉時雨が聞こえてくる。否、蝉はずっと鳴いていたのだろうが、どうやら疲労はよけいな音を聞き取れないほどであるらしい。
「夏だなぁ……」
「次屋先輩は、夏はお好きですか」
視線をやると時友と目が合う。前掛けは汗をかいて色が変わっていて、自分よりも随分と汗をかいているように見えた。四郎兵衛は、と返すと、時友はきょとんとしたあと、溶けるように笑う。
「夏の暑さも、蝉の声も、夕方の風も、体育委員のみんなで走るのも、みんな大好きです」
「……物好きだなぁ四郎兵衛は」
「次屋先輩はお嫌いですか?」
「んー」
外に視線をやる。眩しい夏は、まるで七松のようにも思えた。
「お嫌いではないかな。しんどいのもまぁ、嫌いじゃないよ」
首から流れた汗が背中を伝う。走る足を止めてから随分経つというのに、まだじわじわと全身から汗が噴き出している。しかしこの疲労感には達成感が混じっていた。きっとこの感覚は、七松と共に走ることのできる体育委員会だけのものなのだ。
「暑いなぁ……」
ぐでんと四肢を投げ出し、流れる汗もそのままに、時友と次屋はさっきからこうして縁側に転がっていた。太陽はてっぺんからこれでもかとばかりに夏の日差しでふたりを照りつけ、じりじりと肌の焼けるような想像をしながらも、ふたりはもう影へ移動するだけの体力も残ってはいなかった。七松体育委員長率いるいけどんマラソンは、季節などものともしないのだ。
ふたりの一歩手前、どうにかぎりぎり動く力の残っていた滝夜叉丸は、最後の力を振り絞って金吾を長屋まで送り届けている。さすがにいつものぐだぐだとした口上を口にする気力はないのか、無言のままであったが、金吾はそんなことに気づく余裕もなかっただろう。
額に浮いた汗がつうと流れ、耳に入って鬱陶しい。次屋がゆるりと顔を倒すと、こちらはうつ伏せになった時友が腕を枕のようにして顔を伏せている。自分の息がこもって暑そうだが、気にならないのだろうか。自分よりも一回り小さな体はまだ肩で息をしている。どこか変な気がしてそのまま時友を見ていたが、しばらくのちようやく気がついて次屋はのたりと体を起こした。這うようにしながら時友に近づき、うつ伏せの体を転がす。
「なんですかぁ」
「お前、脱げよ」
「もうそんな元気もありません〜」
「ほんと、七松体育委員長はどうしてあんなに元気なんだか」
溜息をつきながら、すでにかなり乱れてはいるが着たままの時友の忍び装束を引き剥がす。次屋はそんなもの、走っている途中から脱いでしまっていた。
ほそっこい柔らかい腕を掴んで袖から引き抜き、脱がしてやると時友は涼しい、と言って笑う。少し風が出てきた。汗の浮いた肌を撫でて冷やすほどではないが、あるとなしでは大違いだ。
じっとしていると蝉時雨が聞こえてくる。否、蝉はずっと鳴いていたのだろうが、どうやら疲労はよけいな音を聞き取れないほどであるらしい。
「夏だなぁ……」
「次屋先輩は、夏はお好きですか」
視線をやると時友と目が合う。前掛けは汗をかいて色が変わっていて、自分よりも随分と汗をかいているように見えた。四郎兵衛は、と返すと、時友はきょとんとしたあと、溶けるように笑う。
「夏の暑さも、蝉の声も、夕方の風も、体育委員のみんなで走るのも、みんな大好きです」
「……物好きだなぁ四郎兵衛は」
「次屋先輩はお嫌いですか?」
「んー」
外に視線をやる。眩しい夏は、まるで七松のようにも思えた。
「お嫌いではないかな。しんどいのもまぁ、嫌いじゃないよ」
首から流れた汗が背中を伝う。走る足を止めてから随分経つというのに、まだじわじわと全身から汗が噴き出している。しかしこの疲労感には達成感が混じっていた。きっとこの感覚は、七松と共に走ることのできる体育委員会だけのものなのだ。
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